一目見ると絶対に忘れない。それ程特徴的な形をしている。しかし、どうにも上手く表現できない。例えば、マンドリンに串を刺したとでも言えば良いだろうか。地面や腐木の上に、米粒を落としたように、パラパラと生えている。ちょっと目が慣れると、地面から蒴が突然飛び出している姿が、とても可愛ゆく見える。所が、蒴が着いていないときは、どんなに頑張っても、絶対に見つからない。何も無いのではないかと疑うほど小さな葉があるだけだ。
亜高山の荒地で良く見かける。神奈川県では、箱根の大涌谷(標高1,000m)と台ケ岳(同 1,045m)から報告されている。(1972, 勝俣)又、『箱根の蘚類目録』にも、標本番号と共に記載されている。(1984, 生出)しかし、県RDBでは、「証拠標本も確認していない」と、今では完全に幻のコケになってしまった。RDB発行以降は、新産地での生育が確認されていない。箱根も含めて、均茶庵は生育を確認していない。{未} 記録に残る両地は、火山情報発令のため、2015年6月から入山禁止となっているので、今からでは調査のしようもない。
均茶庵は、富士山が世界遺産に登録される前は、7月~8月の暑い季節になると、時々涼みに登った。但し、スコリアの中をひたすら頂上を目指すのではなく、一合目にあたる水が塚駐車場から、六合目の宝永山まで登る。見渡す限りの緑の林で、オゾンを胸いっぱい吸って、標高2,000mの御殿庭で一休みする。疲れに横たわると、青空が広がる。この辺りには、これでもかと言うほどウチワチョウジゴケが生えている。特に根こそぎ倒れた大木の土の付いた根元には、小さな粒が沢山ついている。
従って、写真は御殿庭で採取した標本を使用した。又、ついでに在りし日の水が塚駐車場の写真も添付した。駐車場は綺麗に整備されてしまった。今ではもうこんな大それたことはできない。登山シーズンが終わり、人が去った。地上は未だ暑いが、ここはもう秋に入っている。
【野口】人名
【e-Flora】 for John.Christian.Buxbaum, 1693-1730, its discoverer, German botanist
【Smith】named after a German botanist Johann Buxbaum (1693-1730)
【Crum】It was named for a German botanist, Johann Christian Buxbaum, who discovered it in 1712 at the mouth of the Volga River.
【秋山】人名の J. C. Buxbaum から.
【田中】ドイツ人の医者であり植物学者であった、Johann ChHstian Buxbaumの名前に由来する。
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{文献記録ナシ} 均茶庵が生育を確認。文献記録が見当たらない。
{再確認} 均茶庵が生育を確認。文献記録あり。
{未} 均茶庵は生育を確認できていないが、文献記録あり。
*引用文献及び略語については、「コケの参考書」をご覧ください。
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