神奈川県特有のカテゴリー『注目種』に区分されているが、産地の報告は思いの外少ない。下記の内、①~④の4ケ所が県RDBに記載されており、その後2ケ所で新規に確認されている。合計6ケ所から報告されている。一見コウヤノマンネングサ Climacium japonicumに似ているが、より高い場所に生育する。あるいは、ぼんやりしていると、シノブヒバゴケHylocomiastrum himalayanumと間違えてしまう。神奈川県でも生育が報告されている場所は、全て丹沢山塊の高所のみだ。
① 菰釣山 標高 1,315m {再確認}
2018年10月に、菰釣山とぶなの丸の間の地上で、生育を確認した。コウヤノマンネングサClimacium japonicumの群落の隣に生えていた。菰釣山は、山梨県と神奈川県の県境甲相国境尾根に位置する。
② 白石峠 標高 1,280m {未}
大室山・加入道山から西丹沢自然教室へ下るルートの途中にあたる。2018年9月の台風24号で登山道が崩落し、丹沢では珍しい大理石の露頭が露出していた。何度も登っているが、残念ながら、均茶庵は未だお目にかかっていない。
③ 大室山 標高 1,560m {未}
山頂が1,587mだから、丁度頂上へ登る分岐の所のちょっとした広場の辺りだ。大室山は、山頂の眺望が良くないから、皆この分岐の広場でお昼ご飯を食べる。②と同様に、均茶庵はここで何度もセブンのおむすびを食べているが、未だ遭遇していない。
④ 檜洞丸 標高 1,540m {再確認}
2006年10月に、岩棚山に降りる途中の標高1,440mで採取した。しかし、当時は未だコケの入門者であり、同定に四苦八苦した。2015年8月に至り、やっと当種とわかった。
⑤ 丹沢山 標高 1,540m {未}
2007年の「丹沢大山総合調査学術報告書」(平岡・他)で報告された。丹沢山は大好きで何度も登っている。山小屋の食事の旨さは、つとに有名だ。しかし、残念ながら、均茶庵は未だこのコケに出会っていない。お酒と美味しい食事と人当たりの良い女将に酔いしれて、幸運を逃しているのかもしれない。
⑥ 三国山 標高1,280~1,315m {再確認}
丹沢山系でも、一番西側にあり、山梨県と静岡県と神奈川県の3県の境にある。均茶庵は、2017年9月に標高1,300mの地上から山頂にかけて生育を確認した。林下の落ち葉の中に群落を作っていた。時には、コウヤノマンネングサに混ざってはえている。不思議なことに、三国峠を挟んだ北側の甲相山地では、山伏峠までその姿を見ない。
【野口】 Pleuroziumに関連して作られた
【e-Floras】Genus Pleurozium and G. -opsis, resembling
参考 227.1 Pleurozium タチハイゴケ
【野口】羽状に出る枝を持つという意味か。
【e-Floras】G. pleura, side, and ozos, branch, alluding to pinnate branching
【Smith】 probably referring to the pinnate branching of the stem
【Crum】The name presumably refers to branches produced on either side of a suberect stem (in a loosely pinnate arrangement.)
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{文献記録ナシ} 均茶庵が生育を確認。文献記録が見当たらない。
{再確認} 均茶庵が生育を確認。文献記録あり。
{未} 均茶庵は生育を確認できていないが、文献記録あり。
*引用文献及び略語については、「コケの参考書」をご覧ください。
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作成: 181215