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現在は、Pylaisia cristataの名称で呼ばれる。
全国的に分布しているが、神奈川県からの報告は少ない。又、非常に古い記録しかない。分類は、有川の一連の論文に詳しい。
均茶庵は、県内何カ所からか候補の標本を採取した事があるが、自宅で詳細について検討した結果、残念ながらいずれも他の種と分かった。従って、県内では、未だお目にかかっていない。写真は、岩手県八幡平で採集した標本を使用した。
1. 箱根 駒ヶ岳 {未}
駒ヶ岳(山頂の標高1356m)の樹幹1330~1280mから、平岡・他によって2006年に報告されている。駒ヶ岳は、火山噴火情報発令により、現在は1330mのロープウエー駅付近を除いて、登山禁止となっている。従って、現状は不明である。
2. 大山 西沢の頭{未}
岩片・他により、2001年に大山山頂北側の西沢の頭から報告された。標高1200mの腐木上に生育していた由。2007年発行の「丹沢大山総合調査学術報告書」にも記載されているが、同所と思われる。
3. 丹沢
2007年発行の「丹沢大山総合調査学術報告書」には、下記3.1及び3.2が記載されている。
3.1 丹沢山(1450-1610m)及び天王寺尾根(1300m) {未}
塩水橋付近が、道路崩壊のため通行禁止となっている。天王寺尾根ルートを登れないため、丹沢山及び天王寺尾根には、塔ケ岳からの登山ルートしかなく、日帰りが出来なくなった。
3.2 鍋割山 (940-1200m){未}
鍋割山頂は、最高点1272mを中心に、灌木・雑木に覆われた比較的平らな地形となっている。それ以下は、ブナ林や植林に覆われる。従って、後沢乗越~鍋割山頂下の間に、広範囲に生育していたものと思われるが、詳細は不明。
鍋割山は、比較的簡単に登れる山のため、均茶庵は年に何度か歩いている。頂上にある鍋割山荘の鍋焼きうどん(今は、1500円になった。均茶庵が最後に食べた時は、1000円だった。)が名物で、ハイカーにもの凄く人気がある。
神奈川県の高い山からは、生育が遍く報告されているので、県内に広範に分布しているものと思われる。但し、目立たない種のため、見落としがあるものと思われる。
神奈川県では、低い山地からはP. brotheriキヌゴケが、比較的高い山地からは、P. cristataが報告されている。蒴歯の形状で種を定義しているため、現場では同定が難しい。良く蒴をつける。P.brotheriの蒴は比較的丸みを帯びており、一方、P.cristataは長卵~円筒形をしている。
有川先生のお話では、「風の抜けるような、強風が当たるような稜線上の樹幹」に生育するとの由。
217.10 Pylaisiella キヌゴケ
【野口】人名に関係がある
【e-Floras】for Aususte Jean Marie Bachelot de la Pylaie, 1786-1856, French bryologist and -ella, diminutive
【Smith】named in honour of a French bryologist, Aususte Bachelot de la Pylaie, 1786-1856
【Crum】A diminutive of Pylaisia, which was named for an early French bryologist, Bachelot de la Pylaie, who collected in Newfoundland.
【田中】フランス人の蘇苔類学者Bachelot de la Pylaireの名前に由来する
【秋山】フランスの植物学者B. de la Pylaie 氏の名前から
Tomotsugu Arikawa 2004. A Taxonomic Study of the Genus Pylaisia. J. Hattori Bot. Lab. No.95
有川智己 2006. 日本産キヌゴケ属蘚類の検索表. 蘚苔類研究. 9(4)
{文献記録ナシ} 均茶庵が生育を確認。文献記録が見当たらない。
{再確認} 均茶庵が生育を確認。文献記録あり。
{未} 均茶庵は生育を確認できていないが、文献記録あり。