鍋割山は、丹沢山系の中でも、一番気楽に登れる。散歩と言っても良いくらいだ。均茶庵は、これまでに10回以上登っている。
一般的なコースは、大倉バス停から二俣を経由して、後沢乗越から山頂へ登る。但し、二俣まで70分くらい、平坦な道を歩かなければならない。それが嫌だったら、車で表丹沢県民の森の駐車場(標高450m)まで行き、四十八瀬川にかかる勘七橋から二俣に入る。駐車場からは、20分ちょっとだ。二俣からは、ゆったりした登り道を2時間30分ほど歩けば、頂上に着く。
時折ポッカと出会うことがあった。鍋割山荘主人の「鉄人」だ。鍋割山荘のホームページ(2000年頃に開設)によれば年末には、正月客のために100kgを越える荷物を担ぎ上げていた。1948年10月生まれだから、もう70歳を越えた。今ではもう100kgは無理と思うが、どうだろう。
後沢乗越の手前を流れるみずひ沢を10分くらい遡ると、高さが約20mのみずひ滝が掛かっている。夏場は、涼しくて気持ちが良い。
山頂付近は、最近木道ができたようで、歩き易い。山頂は、平坦で広い。昔は、ススキの原だったが、いつの頃か砕石に変わった。又、人の姿が多くなった分、乾燥が進んだようだ。そのためか、県指定の絶滅危惧種は、殆ど見かけない。
何と言っても、鍋割山荘は、鍋焼きうどんが名物だ。うどんを食べないと、家へもどってからの話題が、一つ少なくなる。
山荘の周辺は、ブナやニシキウツギの疎らな林となっている。
200602 均茶庵
オオミツヤゴケ Entodon conchophyllus 国:絶II 県:絶II
山頂付近には、それ程珍しいコケは生えていない。しかし、当種だけは、例外だ。山頂一帯の木の幹や枝にびっしりと生育している。蒴が良く付くので、肉眼でも判別し易い。県RDB2006年版には、鍋割山は産地として記載されておらず、2007年の県丹沢報告書に初めて現れる。最北限の生育地と考えられている。尚、2006年版では、当種は県絶Iだったが、2022年版で、県絶IIに変更となった。
この周辺では、遠く箱根まで行かないと、当種を見かけない。もしかすると、遙か昔の残存種かもしれない。
テヅカチョウチンゴケ Plagiomnium tezukae 国:絶II 県:絶II
山荘のすぐ裏の地上に生育していたとの記録があるが、均茶庵が探した限りでは、見当たらなかった。山荘のすぐ裏は、疎らに草が生えている。屋外では中々判別が難しい種なので、見落としがあるかもしれない。
以下は、県RDBに指定されていない。
コウヤノマンネングサ Climacium japonicum
山荘のすぐ裏の地上に、小さな群落を作っている。良く目立つ、凄く美しい種だ。群落の大きさは、昔から殆ど変化がない。鍋割山頂でも、当種が生えているのは、この場所に限られている。
トサカキヌゴケ Pylaisia cristata
樹上に生えるが、均茶庵は生育を確認していない。非常に小さいので、見落としている可能性がある。西日本では良く見るが、神奈川では珍しい。
トラノオゴケ Dolichomitra cymbifolia
山荘のすぐ裏の灌木の根元に生えていた。ほんの少量確認できた。以前に比べて、群落の大きさが非常に小さくなってしまった。このまま消えてしまうかもしれない。
追記)220901 均茶庵
これまで1200円だった名物の鍋焼きうどんは、2019年5月から1500円になった。何時頃から値上げになったのだろうかと思っていたが、山小屋のHome Pageに書いてあった。その前の1000円は何時頃だったろうか。『わ~。千円になっちゃった。』と思った記憶がある。
2022年4月に神奈川県RDB2022年改訂版が発行されたので、追記した。