ダビデが洞(ほら)にいりてサウルの手をのがれしとき詠(よみ)て「ほろぼすなかれ」にといふ調(しらべ)にあはせて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるミクタムのうた
我をあはれみたまへ神よわれをあはれみたまへ わが霊魂(たましひ)はなんぢを避所(さけどころ)とす われ禍害(わざはひ)のすぎさるまではなんぢの翼(つばさ)のかげを避所(さけどころ)とせん
我はいとたかき神によばはん わがために百事(すべてのこと)をなしをへたまふ神によばはん
神はたすけを天よりおくりて我をのまんとする者のそしるときに我を救(すく)ひたまはん セラ 神はその憐憫(あはれみ)その眞實(まこと)をおくりたまはん
わがたましひは群(むれ)ゐる獅(しゝ)のなかにあり 火のごとくもゆる者 その歯は戈(ほこ)のごとく矢のごとくその舌はとき劍(つるぎ)のごとき人の子のなかに我(われ)ふしぬ
神よねがはくはみづからを天よりも高くしみさかえを全地のうへに挙(あげ)たまへ
かれらはわが足をとらへんとて網(あみ)をまうく わが霊魂(たましひ)はうなたる かれらはわがまへに[あな]をほりたり而(しか)してみづからその中におちいれり セラ
わが心さだまれり神よわがこゝろ定(さだ)まれり われ謳(うた)ひまつらん頌(たゝへ)まつらん
わが榮(さかえ)よさめよ 筝(さう)よ琴(こと)よさめよ われ黎明(しのゝめ)をよびさまさん
主(しゆ)よわれもろもろの民のなかにてなんぢに感謝し もろもろの國(くに)のなかにて汝(なんぢ)をほめうたはん
そは汝(なんぢ)のあはれみは大(おほい)にして天(あめ)にまでいたり なんぢの眞實(まこと)は雲にまでいたる
神よねがはくは自(みづ)からを天よりも高くし光榮(みさかえ)をあまねく地のうへに挙(あげ)たまへ