ダビデのうた
ヱホバよねがはくは我にあらそふ者とあらそひ我とたゝかふものと戦(たゝか)ひたまへ
干(たて)と大盾(おほだて)とをとりてわが援(たすけ)にたちいでたまへ
戟(ほこ)をぬきいだしたまひて我におひせまるものの途(みち)をふさぎ且(かつ)わが霊魂(たましひ)にわれはなんぢの救(すくひ)なりといひたまへ
願(ねがは)くはわが霊魂(たましひ)をたづぬるものの恥(はぢ)をえていやしめられ 我をそこなはんと謀(はか)るものの退(しりぞ)けられて惶(あわ)てふためかんことを
ねがはくはかれらが風のまへなる粃糠(もみがら)のごとくなりヱホバの使者(つかひ)におひやられんことを
願くはかれらの途(みち)をくらくし滑(すべ)らかにしヱホバの使者(つかひ)にかれらを追(おひ)ゆかしめたまはんことを
かれらは故(ゆゑ)なく我をとらへんとて網(あみ)をあなにふせ 故なくわが霊魂(たましひ)をそこなはんとて[あな]をうがちたればなり
願くはかれらが思ひよらぬ間にほろびきたり己(おの)がふせたる網(あみ)にとらへられ自(みづか)らその滅(ほろび)におちいらんことを
然(さる)ときわが霊魂(たましひ)はヱホバによりてよろこび その救(すくひ)をもて樂(たの)しまん
わがすべての骨(ほね)はいはん ヱホバよ汝(なんぢ)はくるしむものを之(これ)にまさりて力つよきものより並(また)くるしむもの貧(まづ)しきものを掠(かす)めうばふ者よりたすけいだし給(たま)ふ 誰かなんぢに比(たぐ)ふべき者あらんと
こゝろあしき證人(あかしびと)おこりてわが知(しら)ざることを詰(なじ)りとふ
かれらは惡(あく)をもてわが善(ぜん)にむくい我(わ)がたましひを依仗(よるべ)なきものとせり
然(され)どわれかれらが病(やみ)しときには麁服(あらたへ)をつけ糧(かて)をたちてわが霊魂(たましひ)をくるしめたり わが祈(いのり)はふところにかへれり
わがかれに作(なせ)ることはわが友わが兄弟にことならず母の喪(も)にありて痛哭(なげく)がごとく哀(かな)しみうなたれたり
然(され)どかれらはわが倒(たふ)れんとせしとき喜びつどひ わが知(しら)ざりしとき匪類(をこのもの)あつまりきたりて我をせめ われを裂(さき)てやめざりき
かれらは洒宴にて穢(きたな)きことをのぶる嘲笑者(あざけるもの)のごとく我にむかひて歯をかみならせり
主(しゆ)よいたづらに見るのみにして幾何時(いくそのとき)をへたまふや 願くはわがたましひの彼等にほろぼさるゝを脱(のが)れしめ わが生命(いのち)をわかき獅(しゝ)よりまぬかれしめたまへ
われ大(おほい)なる會(つどひ)にありてなんぢに感謝し おほくの民のなかにて汝をほめたゝへん
虚偽(いつはり)をもてわれに仇(あた)するもののわが故(ゆゑ)によろこぶことを容(ゆる)したまふなかれ 故なくして我をにくむ者のたがひに[めくば]せすることなからしめたまへ
かれらは平安(やすき)をかたらず あざむきの言(ことば)をつくりまうけて國内(くにのうち)におだやかにすまふ者をそこなはんと謀(はか)る
然(しか)のみならず我にむかひて口をあけひろげ あゝ視(み)よや視(み)よやわれらの眼これをみたりといへり
ヱホバよ汝(なんぢ)すでにこれを観(み)たまへり ねがはくは黙(もく)したまふなかれ主(しゆ)よわれに遠ざかりたまふなかれ
わが神よわが主(しゆ)よ おきたまへ醒(さめ)たまへ ねがはくはわがために審判(さばき)をなし わが訟(うたへ)ををさめたまへ
わが神ヱホバよ なんぢの義(ぎ)にしたがひて我をさばきたまへ わが事によりてかれらに歓喜(よろこび)をえしめたまふなかれ
かれらにその心裡(こゝろのうち)にて あゝこゝちよきかな視(み)よこれわが願ひしところなりといはしめたまふなかれ 又われらかれを呑(のみ)つくせりといはしめたまふなかれ
願(ねがは)くはわが害(そこ)なはるゝを喜ぶもの皆はぢて惶(あわ)てふためき 我にむかひてほこりかに高ぶるものの愧(はぢ)とはづかしめとを衣(き)んことを
わが義(ぎ)をよみする者をばよろこび謳(うた)はしめ大(おほい)なるかなヱホバその僕(しもべ)のさいはひを悦(よろこ)びたまふと恒(つね)にいはしめたまへ
わが舌は終日(ひねもす)なんぢの義(ぎ)となんぢの誉(ほまれ)とをかたらん