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婦（をんな）の産む人はその日少なくして艱難（なやみ）多し
その來（きた）ること花のごとくにして散り其（その）馳（はす）ること影のごとくにして止（とゞ）まらず
なんぢ是（かく）のごとき者に汝の目を啓（ひら）きたまふや汝われを汝の前にひきて審判（さばき）したまふや
誰か清（きよ）き物を汚（けが）れたる物の中（うち）より出（いだ）し得（う）る者あらん 一人も無し
その日（ひ）既（すで）に定まり その月の數（かず）なんぢに由（よ）り汝これが區域（さかひ）を立（たて）て越（こえ）ざらしめたまふなれば
是（これ）に目を離して安息（やすみ）を得させ之（これ）をして傭人（やとひびと）のその日を樂しむがごとくならしめたまへ
それ木には望（のぞみ）あり假令（たとひ）[きら]るゝとも復（また）芽を出（いだ）してその枝（えだ）絶（たえ）ず
たとひ其根（そのね）地の中に老（お）い幹（みき）土に枯（かる）るとも
水の潤霑（うるほし）にあへば即（すなは）ち芽をふき枝を出して若樹に異（こと）ならず
然（され）ど人は死（しぬ）れば消（きえ）うす人（ひと）氣（いき）絶（たえ）なば安（いづく）に在（あら）んや
水は海に竭（つ）き河は涸（かれ）てかわく
是（かく）のごとく人も寢臥（いねふし）てまた興（おき）ず天（てん）の盡（つく）るまで目（め）覺（さめ）ず睡眠（ねむり）を醒（さま）さゞるなり
願はくは汝われを陰府（よみ）に藏（かく）し汝の震怒（いかり）の息（や）むまで我を掩（おほ）ひ我（わが）ために期（とき）を定め而（しか）して我を念（おも）ひたまへ
人もし死（しな）ばまた生（いき）んや我はわが征戰（いくさ）の諸日（しょにち）の間（あひだ）望みをりて我が變更（かはり）の來（きた）るを待（また）ん
なんぢ我を呼（よび）たまはん而（しか）して我こたへん汝かならず汝の手の作（わざ）を顧（かへり）みたまはん
今なんぢは我の歩履（あゆみ）を數（かぞ）へたまふ我罪（わがつみ）を汝うかゞひたまはざらんや
わが愆（とが）は凡（すべ）て嚢（ふくろ）の中に封じてあり汝わが罪を縫（ぬひ）こめたまふ
それ山も倒（たふ）れて終（つひ）に崩（くづ）れ巖石（いはほ）も移りてその處（ところ）を離（はな）る
水は石を鑿（うが）ち浪（なみ）は地の塵（ちり）を押流（おしなが）す汝は人の望（のぞみ）を斷（たち）たまふ
なんぢは彼を永く攻（せめ）なやまして去（さり）ゆかしめ彼の面容（かほかたち）を變（かは）らせて逐（おひ）やりたまふ
その子（こ）尊貴（たふとく）なるも彼はこれを知（しら）ず卑賤（いやしく）なるもまた之（これ）を曉（さと）らざるなり
只（たゞ）己（おのれ）みづからその肉に痛苦（いたみ）を覺（おぼ）え己（おのれ）みづからその心に哀（なげ）く而已（のみ）
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