禍(わざは)ひなるかななんぢ害(そこな)はれざるに人をそこなひ 欺(あざむ)かれざるに人をあざむけり なんぢが害(そこな)ふこと終(をは)らば汝(なんぢ)そこなはれ なんぢが欺(あざむ)くことはてなば汝(なんぢ)あざむかるべし
ヱホバよわれらを惠(めぐ)み給(たま)へわれらなんぢを俟望(まちのぞ)めり なんぢ朝ごとにわれらの臂(かひな)となり また患難(なやみ)のときにわれらの救(すくひ)となりたまへ
なりとゞろく聲(こゑ)によりてもろもろの民にげはしり なんぢの起(たち)たまふによりてもろもろの國(くに)はちりうせぬ
[おほねむし]のものをはみつくすがごとく人なんぢらの財(たから)をとり盡(つく)さん また蝗(いなご)のとびつどふがごとく人なんぢらの財(たから)にとびつどふべし
ヱホバは最(いと)たかし高處(たかきところ)にすみたまふなり ヱホバはシオンに公正と正義とを充(みた)せたまひたり
なんぢの代(よ)はかたくたち 救(すくひ)と智惠(ちゑ)と知識とはゆたかにあらん ヱホバをおそるゝは國(くに)の寳(たから)なり
視(み)よかれらの勇士(ますらを)は外にありてさけび 和をもとむる使者(つかひ)はいたく哭(なげ)く
大路(おほぢ)あれすたれて旅客(たびゞと)たえ 敵は契約(けいやく)をやぶり諸邑(まちまち)をなみし人をものゝかずとせず
地はうれへおとろヘ レバノンは恥(はぢ)らひて枯(か)れ シヤロンはアラバの如(ごと)くなり バシヤンとカルメルとはその葉をおとす
ヱホバ言給(いひたま)はく われ今おきん今たゝん 今みづからを高くせん
なんぢらの孕(はら)むところは枇糠(もみがら)のごとく なんぢらの生(うむ)ところは藁(わら)のごとし なんぢらの氣息(いき)は火となりてなんぢらを食(くら)ひつくさん
もろもろの民はやかれて灰のごとくなり荊(いばら)のきられて火にもやされたるが如(ごと)くならん
なんぢら遠(とほく)にあるものよ わが行(おこな)ひしことをきけ なんぢら近(ちかき)にあるものよ わが能力(ちから)をしれ
シオンの罪人(つみびと)はおそる 戰慄(をのゝき)はよこしまなる者にのぞめり われらの中(うち)たれか燒(やき)つくす火に止(とゞま)ることを得(え)んや 我儕(われら)のうち誰かとこしへに燒(やく)るなかに止(とゞま)るをえんや
義(ぎ)をおこなふもの直(なほき)をかたるもの虐(しへた)げてえたる利をいとひすつるもの手をふりて賄賂(まひなひ)をとらざるもの 耳をふさぎて血をながす謀略(はかりごと)をきかざるもの 目をとぢて惡をみざる者
かゝる人はたかき處(ところ)にすみ かたき磐(いは)はその櫓(やぐら)となり その糧(かて)はあたへられ その水はともしきことなからん
なんぢの目ほうるはしき状(さま)なる王を見(み)とほくひろき國(くに)をみるべし
汝の心はかの懼(おそろ)しかりしことどもを思ひいでん 會計(くわいけい)せし者はいづくにありや 貢(みつぎ)をはかりし者はいづくにありや 櫓(やぐら)をかぞへし者はいづくにありや
汝(なんぢ)ふたゝび暴民(あらきたみ)をみざるべし かの民の言語(ことば)はふかくして悟(さと)りがたくその舌は異(こと)にして解(とき)がたし
われらの節會(せちゑ)の邑(まち)シオンを見よ なんぢの目はやすらかなる居所(すまひ)となれるヱルサレムを見ん ヱルサレムはうつさるゝことなき幕屋(まくや)にして その杙(くひ)はとこしへにぬかれず その繩(なは)は一すぢだに斷(たゝ)れざるなり
ヱホバ我らとともに彼處(かしこ)にいまして稜威(みいつ)をあらはし給(たま)はん 斯(かく)てそのところはひろき川ひろき流(ながれ)あるところとなりて その中には漕舟(こぐふね)もいらず巨艦(おほぶね)もすぐることなかるべし
ヱホバはわれらを鞫(さば)きたまふもの ヱホバはわれらに律法(おきて)をたてたまひし者 ヱホバはわれらの王にましまして我儕(われら)をすくひ給(たま)ふべければなり
なんぢの船纜(ふなづな)はとけたり その[ほばしら]のもとを結びかたむることあたはず 帆(ほ)をあぐることあたはず その時おほくの財(たから)をわかち跛者(あしなへ)までも掠物(えもの)あらん
かしこに住(すめ)るものの中(うち)われ病(やめ)りといふ者なし彼處(かしこ)にをる民の咎(とが)はゆるされん