伶長(うたのかみ)にうたはしめたるコラの子のをしへの歌
あゝ神よ しかの渓水(たにがは)をしたひ喘(あへ)ぐがごとく わが霊魂(たましひ)もなんぢをしたひあへぐなり
わがたましひは渇(かわ)けるごとくに神をしたふ 活神(いけるかみ)をぞしたふ 何(いづ)れのときにか我ゆきて神のみまへにいでん
かれらが終日(ひねもす)われにむかひて なんぢの神はいづくにありやとのゝしる間はたゞわが涙のみ晝夜(よるひる)そゝぎてわが糧(かて)なりき
われむかし群(むれ)をなして祭日(いはひのひ)をまもる衆人(おほくのひと)とともにゆき歓喜(よろこび)と讃美(さんび)のこゑをあげてかれらを神の家にともなへり 今これらのことを追想(おもひおこ)してわが衷(うち)よりたましひを注(そゝ)ぎいだすなり
あゝわが霊魂(たましひ)よ なんぢ何ぞうなたるゝや なんぞわが衷(うち)におもひみだるゝや なんぢ神をまちのぞめ われに聖顔(みかほ)のたすけありて我なほわが神をほめたゝふべければなり
わが神よ わがたましひはわが衷(うち)にうなたる 然(され)ばわれヨルダンの地よりヘルモンよりミザルの山より汝(なんぢ)をおもひいづ
なんぢの大瀑(おほだき)のひゞきによりて淵々(ふちぶち)よびこたへ なんぢの波なんぢの猛浪(おほなみ)ことごとくわが上をこえゆけり
然(しか)はあれど晝(ひる)はヱホバその憐憫(あはれみ)をほどこしたまふ 夜はその歌われとともにあり 此(この)うたはわがいのちの神にさゝぐる祈(いのり)なり
われわが磐(いは)なる神にいはん なんぞわれを忘れたまひしや なんぞわれは仇(あた)のしへたげによりて悲しみありくや
わが骨もくだくるばかりに わがてきはひねもす我にむかひて なんぢの神はいづくにありやといひのゝしりつゝ我をそしれり
あゝわがたましひよ 汝なんぞうなたるゝや 何ぞわがうちに思ひみだるゝや なんぢ神をまちのぞめ われ尚(なほ)わがかほの助(たすけ)なるわが神をほめたゝふべければなり