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義者（たゞしきもの）ほろぶれども心にとむる人なく 愛（いつく）しみ深き人々とりさらるれども義（たゞし）きものの禍害（わざはひ）のまへより取去（とりさら）るゝなるを悟（さと）るものなし
かれは平安（やすき）にいり 直（なほ）きをおこなふ者はその寐床（ふしど）にやすめり
なんぢら巫女（みこ）の子 淫人（たはれびと）また妓女（うかれめ）の裔（すゑ）よ 近（ちかづ）ききたれ
なんぢら誰にむかひて戯（たはふ）れをなすや 誰にむかひて口をひらき舌をのばすや なんぢらは悸逆（そむき）の子輩（こら）いつはりの黨類（ともがら）にあらずや
なんぢらは橿樹（かしのき）のあひだ緑（みど）りなる木々のしたに心をこがし 谷のなか岩の狹間（はざま）に子をころせり
なんぢは谷のなかの滑（なめら）かなる石をうくべき嗣業（ゆづり）とし これをなんぢが所有（もちもの）とす なんぢ亦（また）これに灌祭（くわんさい）をなし之（これ）にそなへものを献（さゝ）げたり われ之（これ）によりていかで心をなだむべしや
なんぢは高くそびえたる山の上になんぢの床（とこ）をまうけ かつ其處（そこ）にのぼりゆきて犠牲（いけにへ）をさゝげたり
また戸および柱のうしろに汝（なんぢ）の記念をおけり なんぢ我をはなれて他人（あだしびと）に身をあらはし 登りゆきてその床（とこ）をひろくし かれらと誓（ちかひ）をなし 又かれらの床（とこ）を愛し これがためにその所をえらびたり
なんぢ香膏（にほひあぶら）とおほくの薫物（かをりもの）とをたづさへて王にゆき 又なんぢの使者（つかひ）をとほきにつかはし陰府（よみ）にまで己（おのれ）をひくゝせり
なんぢ途（みち）のながきに疲れたれどなほ望（のぞみ）なしといはず なんぢ力をいきかへされしによりて衰弱（おとろへ）ざりき
なんぢ誰をおそれ誰のゆゑに慴（をのゝ）きていつはりをいひ 我をおもはず亦（また）そのことを心におかざりしや われ久しく默（もだ）したれど汝（なんぢ）かへりて我をおそれざりしにあらずや
我（われ）なんぢの義をつげしめさん なんぢの作（わざ）はなんぢに益（えき）せじ
なんぢ呼（よばは）るときその集めおきたるもの汝をすくへ 風はかれらを悉（ことごと）くあげさり 息（いき）はかれらを吹（ふき）さらん 然（され）どわれに依賴（よりたの）むものは地をつぎわが聖山（きよきやま）をうべし
また人いはん 土をもり土をもりて途（みち）をそなへよ わが民のみちより躓礙（つまづくもの）をとりされと
至高（いとたか）く至上（いとうへ）なる永遠（とこしへ）にすめるもの聖者（せいしゃ）となづくるもの如此（かく）いひ給（たま）ふ 我はたかき所きよき所にすみ 亦（また）こゝろ碎（くだ）けてへりくだる者とともにすみ 謙（へりく）だるものの靈（れい）をいかし碎（くだ）けたるものの心をいかす
われ限（かぎり）なくは爭（あらそ）はじ我（われ）たえずは怒（いか）らじ 然（しか）らずば人のこゝろ我（わ）がまへにおとろへん わが造りたる靈（れい）はみな然（しか）らん
彼のむさぼりの罪により我いかりて之（これ）をうちまた面（かほ）をおほひて怒（いか）りたり 然（しか）るになほ悖（もと）りて己（おの）がこゝろの途（みち）にゆけり
されど我（われ）その途（みち）をみたり 我かれを愈（いや）すべし 又かれを導（みちび）きてふたゝび安慰（なぐさめ）をかれとその中のかなしめる者とにかへすべし
我くちびるの果（み）をつくれり 遠きものにも近きものにも平安（やすき）あれ平安（やすき）あれ 我かれをいやさん 此（こ）はヱホバのみことばなり
然（しか）はあれど惡者（あしきもの）はなみだつ海のごとし 靜かなること能（あた）はずしてその水つねに濁（にごり）と泥（ひぢ）とをいだせり
わが神いひたまはく惡（あし）きものには平安（やすき）あることなしと
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