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汝（なんぢ）イスラエルの君等（きみたち）のために哀（かなしみ）の詞（ことば）をのべて
言ふべし汝（なんぢ）の母なる牝獅（めじし）は何故（なにゆゑ）に牡獅（をじし）の中に伏（ふ）し小獅（こじし）の中にその子を養（やしな）ふや
彼その一（ひとつ）の子を育てたれば小獅（こじし）となりて食（えば）を攫（とる）ことを學（なら）ひ遂（つひ）に人を食（くら）へり
國々の人これの事を聞きこれを[おとしあな]にて執（とら）へ鼻環（はなわ）をほどこしてこれをエジプトの地にひきいたれり
牝獅（めじし）姑（しばら）く待（まち）しがその望（のぞみ）を失（うしな）ひしを見たれば又一個（ひとつ）の子を取（とり）てこれを小獅（こじし）とならしむ
是（これ）すなはち牝獅（めじし）の中に歩（あゆ）みて小獅（こじし）となり食（えば）を攫（とる）ことを學（なら）ひしが亦（また）人を食（くら）ひ
其（その）寡婦（やもめ）をしりその邑々（まちまち）を滅（ほろぼ）せりその咆哮（ほゆる）聲（こゑ）によりてその地とその中に盈（みつ）る者荒（あれ）たり
是（こゝ）をもて四方（よも）の國人（くにびと）その國々より攻來（せめきた）り網（あみ）をこれにうちかけ[おとしあな]にてこれを執（とら）へ
鼻環（はなわ）をほどこして籠（かご）にいれ之（これ）をバビロンの王の許（もと）に曳（ひき）いたりて城の中に携（たづさ）へ入れ其聲（そのこゑ）を再びイスラエルの山々に聞（きこ）えざらしむ
汝（なんぢ）の母は汝の血にして水の側（かたはら）に植（うゑ）たる葡萄樹（ぶだうのき）のごとし水の多きがために結實（みのり）多く蔓（つる）はびこれり
是（これ）に強き枝（えだ）ありて君王等（きみたち）の杖（つゑ）となすべし是（これ）の長（たけ）は雲に至りその衆多（おほく）の枝のために高く聳（そび）えて見へたり
然（しか）るに是（これ）怒（いかり）をもて拔（ぬか）れて地に擲（なげう）たる東風その實（み）を吹（ふき）乾かしその強き枝は折れて枯れ火に焚（やか）る
今これは荒野（あれの）にて乾ける水なき地に植（うわ）りてあり
その枝の芽より火いでてその果（み）を燒けば復（また）強き枝の君王等（きみたち）の杖（つゑ）となるべき者其（それ）になし是（これ）哀（かなしみ）の詞（ことば）なり哀（かなしみ）の詞（ことば）となるべし
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