伶長(うたのかみ)にうたはしめたる讃美(さんび)なり 歌なり
全地よ神にむかひて歓(よろこ)びよばはれ
その名(みな)の榮光(えいくわう)をうたへ その頌美(ほまれ)をさかえしめよ
かみに告(つげ)まつれ 汝(なんぢ)のもろもろの功用(みわざ)はおそるべきかな大(おほい)なる力によりてなんぢの仇(あた)はなんぢに畏(おそ)れしたがひ
全地はなんぢを拝(をが)みてうたひ名(みな)をほめうたはんと セラ
來(きた)りて神のみわざをみよ 人の子輩(こら)にむかひて作(なし)たまふことはおそるべきかな
神はうみをかへて乾(かわ)ける地となしたまへり ひとびと歩行(かち)にて河(かは)をわたりき その處(ところ)にてわれらは神をよろこべり
神はその大能(たいのう)をもてとこしへに統治(すべをさ)め その目(みめ)は諸國(くにぐに)をみたまふ そむく者みづからを崇(あが)むべからず セラ
もろもろの民よ われらの神をほめまつれ神をほめたゝふる聲(こゑ)をきこえしめよ
神はわれらの霊魂(たましひ)をながらへしめ われらの足のうごかさるゝことをゆるしたまはず
神よなんぢはわれらを試(こゝろ)みて白銀(しろかね)をねるごとくにわれらを錬(ねり)たまひたればなり
汝(なんぢ)われらを網(あみ)にひきいれ われらの腰(こし)におもき荷(に)をおき
人々をわれらの首(かうべ)のうへに騎(のり)こえしめたまひき われらは火のなか水のなかをすぎゆけり されど汝(なんぢ)その中よりわれらをひきいだし豊盛(ゆたか)なる處(ところ)にいたらしめたまへり
われ燔祭(はんさい)をもてなんぢの家にゆかん 迫(せま)りくるしみたるときにわが口唇(くちびる)のいひいでわが口ののべし誓(ちかひ)をなんぢに償(つくの)はん
われ肥(こえ)たるものを燔祭(はんさい)とし牡羊(をひつじ)を馨香(かをり)として汝(なんぢ)にさゝげ牡牛(をうし)と牡山羊(をやぎ)とをそなへまつらん セラ
神をおそるゝ人よ みな來(きた)りてきけ われ神のわがたましひのために作(なし)たまへることをのべん
われわが口をもて神によばはり また舌(した)をもてあがむ
然(しか)るにわが心にしれる不義(ふぎ)あらば主(しゆ)はわれにきゝたまふまじ
されどまことに神はきゝたまへり聖意(みこゝろ)をわがいのりの聲(こゑ)にとめたまへり
神はほむべきかな わが祈(いのり)をしりぞけず その憐憫(あはれみ)をわれよりとりのぞきたまはざりき