ヱホバかくいひたまふ往(ゆき)て陶人(すゑものし)の瓦罇(とくり)をかひ民の長老(としより)と祭司の長老の中より數人をともなひて
陶人(すゑものし)の門の前にあるベンヒンノムの谷にゆき彼處(かしこ)に於(おい)てわが汝(なんぢ)に告(つげ)んところの言(ことば)を宣(のべ)よ
云(いは)くユダの王等とヱルサレムに住(すめ)る者よヱホバの言(ことば)をきけ萬軍(ばんぐん)のヱホバ、イスラエルの神かくいひたまふ視(み)よ我(われ)災(わざはひ)を此處(このところ)にくだすべし凡(およ)そ之(これ)をきく者の耳はかならず鳴(な)らん
こは彼ら我を棄(す)てこの處(ところ)を[けが]し此(こゝ)にて自己(おのれ)とその先祖およびユダの王等の知(しら)ざる他の神に香(かう)を焚(た)き且(かつ)辜(つみ)なきものの血をこの處(ところ)に盈(みた)せばなり
又彼らはバアルの爲(ため)に崇邱(たかきところ)を築(きづ)き火をもて己(おのれ)の兒子(こどもら)を焚(や)き燔祭(はんさい)となしてバアルにさゝげたり此(これ)わが命ぜしことにあらず我いひしことにあらず又我心(わがこゝろ)に意(おも)はざりし事なり
ヱホバいひたまふさればみよ此處(こゝ)をトペテまたはベンヒンノムの谷と稱(となへ)ずして屠戮(ほふり)の谷と稱(とな)ふる日きたらん
また我この處(ところ)に於(おい)てユダとヱルサレムの謀(はかりごと)をむなしうし劍(つるぎ)をもて彼らを其(その)敵の前とその生命(いのち)を索(もとむ)る者の手に仆(たふ)しまたその屍(しかばね)を天空(そら)の鳥と地の獸(けもの)の食物となし
かつ此邑(このまち)を荒して人の胡盧(ものわらひ)とならしめん凡(およ)そこゝを過(すぐ)る者はその諸(もろもろ)の災(わざはひ)に驚きて笑ふべし
また彼らがその敵とその生命を索(もとむ)る者とに圍(かこ)みくるしめらるゝ時我彼らをして己(おのれ)の子(むすこ)の肉女(むすめ)の肉を食(くら)はせん又彼らは互(たがひ)にその友の肉を食(くら)ふべし
汝(なんぢ)ともに行く人の目の前にてその瓦罇(とくり)を毀(こぼ)ちて彼らにいふべし
萬軍(ばんぐん)のヱホバかくいひ給(たま)ふ一回(ひとたび)毀(こぼ)てば復(また)全(まつた)うすること能(あた)はざる陶人(すゑものし)の器(うつは)を毀(こぼ)つが如(ごと)くわれ此民(このたみ)とこの邑(まち)を毀(こぼ)たんまた彼らは葬(はうむ)るべき地なきによりてトペテに葬(はうむ)られん
ヱホバいひ給(たま)ふ我この處(ところ)とこの中(うち)に住(すめ)る者とに斯(かく)なし此邑(このまち)をトペテの如(ごと)くなすべし
且(かつ)ヱルサレムの室(いへ)とユダの王等の室(いへ)はトペテの處(ところ)のごとく汚(けが)れん其(そ)は彼らすべての室(いへ)の屋蓋(やね)のうへにて天の衆群(しうぐん)に香(かう)をたき他の神に酒をそゝげばなり
ヱレミヤ、ヱホバの己(おのれ)を遣(つかは)して預言せしめたまひしトペテより歸(かへ)りきたりヱホバの室(いへ)の庭に立ちすべての民に語りていひけるは
萬軍(ばんぐん)のヱホバ、イスラエルの神かくいひたまふ視(み)よわれ我(わが)いひし諸(もろもろ)の災(わざはひ)をこの邑(まち)とその諸(すべて)の郷村(むらむら)にくださん彼らその項(うなじ)を強(こは)くして我言(わがことば)を聽(きか)ざればなり