人の子よ汝(なんぢ)イスラエルの山々に預言して言(いふ)べしイスラエルの山々よヱホバの言(ことば)を聽(き)け
主(しゆ)ヱホバかく言(いひ)たまふ敵(てき)汝等の事につきて言ふ嗚呼(あゝ)是等(これら)の舊(ふる)き高處(たかみ)我儕(われら)の所有(もちもの)となると
是故(このゆゑ)に汝(なんぢ)預言して言へ主ヱホバかく言ふ彼等汝らを荒し四方より汝らを呑(のめ)り是(こゝ)をもて汝等は國民の中の殘餘者(のこれるもの)の所有(もちもの)となり亦(また)人の口齒(くちは)にかゝりて噂(うはさ)せらる
然(され)ばイスラエルの山々よ主(しゆ)ヱホバの言(ことば)を聞け主ヱホバ山と岡と窪地(くぼち)と谷と滅(ほろ)びたる荒跡(あれあと)と人の棄(すて)たる邑々(まちまち)即(すなは)ちその周圍(まはり)に殘れる國民に掠(かす)められ嘲(あざ)けらるゝ者にかく言(いひ)たまふ
即(すなは)ち主ヱホバかく言(いひ)たまふ我まことに吾(わ)が嫉妬(ねたみ)の火焔(ほむら)をもやして國民の殘餘者(のこれるもの)とエドム全國の事を言(いへ)り是等(これら)は心に歡樂(よろこび)を極(きは)め心に誇(ほこ)りて吾地(わがくに)をおのれの所有(もちもの)となし之(これ)を奪ひ掠(かす)めし者なり
然(され)ばイスラエルの國(くに)の事を預言し山と岡と窪地と谷とに言ふべし主ヱホバかく言(いひ)たまふ汝等諸(もろもろ)の國民の羞辱(はづかしめ)を蒙(かうむ)りしに因(より)て我わが嫉妬(ねたみ)と忿怒(いかり)を發して語れり
是(こゝ)をもて主ヱホバかく言(いひ)たまふ我わが手を擧(あ)ぐ汝の周圍(まはり)の諸(もろもろ)の國民は必ず自身(みづから)羞辱(はづかしめ)を蒙(かうむ)るべし
然(され)どイスラエルの山々よ汝等は枝(えだ)を生じわが民イスラエルのために實(み)を結ばん此事(このこと)遠からず成(なら)ん
視(み)よ我(われ)汝らに臨(のぞ)み汝らを眷(かへり)みん汝らは耕(たがへ)されて種(たね)をまかるべし
我(われ)汝等の上に人を殖(ふや)さん是(これ)皆(みな)悉(ことごと)くイスラエルの家の者なるべし邑々(まちまち)には人住み墟址(あれあと)は建直(たてなほ)さるべし
我なんぢらの上に人と牲畜(けもの)を殖(ふや)さん是等(これら)は殖(ふえ)て多く子を生(うま)ん我汝らの上に昔時(むかし)のごとくに人を住(すま)しめ汝らの初(はじめ)の時よりもまされる恩惠(めぐみ)を汝等に施(ほどこ)すべし汝等は我がヱホバなるを知(しる)にいたらん
我わが民イスラエルの人を汝(なんぢ)らの上に歩(あゆ)ましめん彼等汝を有(たも)つべし汝はかれらの産業(もちもの)となり重(かさ)ねて彼等に子なからしむることあらじ
主(しゆ)ヱホバかく言ひたまふ彼等汝らに向ひ汝は人を食(くら)ひなんぢの民をして子なからしめたりと言ふ
是故(このゆゑ)に主ヱホバ言(いひ)たまふ汝ふたゝび人を食(くら)ふべからず再び汝の民を躓(つまづ)かしむべからず
我(われ)汝をして重(かさ)ねて國々の民の嘲笑(あざけり)を聞(きか)しめじ汝は重ねて國々の民の羞辱(はづかしめ)を蒙(かうむ)ることあらず汝の民を躓(つまづ)かしむることあらじ主ヱホバこれを言ふ
ヱホバの言(ことば)また我にのぞみて言ふ
人の子よ昔イスラエルの家その國(くに)に住み己(おのれ)の途(みち)と行爲(わざ)とをもて之(これ)を汚(けが)せりその途(みち)は月穢(さはり)ある婦(をんな)の穢(けがれ)のごとくに我に見えたり
彼等國に血を流し且(また)その偶像(ぐうざう)をもて國を汚(けが)したるに因(より)て我わが怒(いかり)を彼等に斟(そゝ)ぎ
彼らを諸(もろもろ)の國の民の中に散(ちら)したれば則(すなは)ち諸(もろもろ)の國に散(ちり)ぬ我かれらの道と行爲(わざ)とにしたがひて彼等を鞫(さば)けり
彼等その往(ゆく)ところの國々に至りしが遂(つひ)にわが聖(きよ)き名を汚(けが)せり即(すなは)ち人かれらを見てこれはヱホバの民にしてかれの國(くに)より出來(いできた)れる者なりと言(いへ)り
是(こゝ)をもて我イスラエルの家がその至れる國々にて[けが]せしわが聖(きよ)き名を惜(をし)めり
此故(このゆゑ)に汝(なんぢ)イスラエルの家に言(いふ)べし主ヱホバかく言(いひ)たまふイスラエルの家よ我汝らのために之(これ)をなすにあらず汝らがその至れる國々にて汚(けが)せしわが聖(きよ)き名のためになすなり
我(われ)國々の民の中に汚(けが)されたるわが大(おほい)なる名(な)即(すなは)ち汝らがかれらの中にありて汚(けが)したるところの者を聖(きよ)くせん國々の民はわが汝らに由(より)て我の聖(きよ)き事をその目の前にあらはさん時我(わ)がヱホバなるを知(しら)ん
我(われ)汝等を諸(もろもろ)の民の中より導き出(いだ)し諸(もろもろ)の國より集めて汝らの國に携(ひき)いたり
淸(きよ)き水を汝等に灑(そゝ)ぎて汝等を淸くならしめ汝等の諸(もろもろ)の汚穢(けがれ)と諸(もろもろ)の偶像を除(のぞ)きて汝らを淸むべし
我(われ)新しき心を汝等に賜(たま)ひ新しき靈魂(たましひ)を汝らの衷(うち)に賦(さづ)け汝等の肉より石の心を除(のぞ)きて肉の心を汝らに與(あた)へ
吾靈(わがれい)を汝らの衷(うち)に置き汝らをして我が法度(のり)に歩(あゆ)ましめ吾律(わがおきて)を守りて之(これ)を行はしむべし
汝等はわが汝らの先祖等に與(あた)へし地に住(すみ)て吾民(わがたみ)とならん我は汝(なんぢ)らの神となるべし
我(われ)汝らを救(すく)ひてその諸(もろもろ)の汚穢(けがれ)を離れしめ穀物(こくもつ)を召(めし)て之(これ)を増し饑饉(ききん)を汝らに臨(のぞ)ませず
樹(き)の果と田野(はたけ)の作物を多くせん是(こゝ)をもて汝らは重(かさね)て饑饉(ききん)の羞(はぢ)を國々の民の中に蒙(かうむ)ることあらじ
汝らはその惡(あし)き途(みち)とその善(よか)らぬ行爲(わざ)を憶(おぼ)えてその罪とその憎むべき事のために自(みづか)ら恨(うら)みん
主(しゆ)ヱホバ言(いひ)たまふ我(わ)が之(これ)を爲(なす)は汝らのためにあらず汝らこれを知れよイスラエルの家よ汝らの途(みち)を愧(はぢ)て悔(くや)むべし
主(しゆ)ヱホバかく言(いひ)たまふ我汝らの諸(もろもろ)の罪を淸(きよ)むる日に邑々(まちまち)に人を住(すま)しめ墟址(あれあと)を再興(おこさ)しめん
荒(あれ)たる地は前(さき)に往來(ゆきき)の人々の目に荒地(あれち)と見たるに引(ひき)かへて耕(たがや)さるゝに至るべし
人すなはち言(いは)ん此(この)荒(あれ)たりし地はエデンの園(その)のごとくに成り荒(あれ)滅び[くづ]れたりし邑々(まちまち)は堅固(かたく)なりて人の住(すむ)に至れりと
汝らの周圍(まはり)に殘れる國々の民はすなはち我ヱホバが[くづ]れし者を再興(おこ)し荒(あれ)たるところに栽植(うゑつけ)することを知(しる)にいたらん我ヱホバこれを言ふ之(これ)を爲(なさ)ん
主(しゆ)ヱホバかく言(いひ)たまふイスラエルの家(いへ)我(わ)が是(これ)を彼らのために爲(なさ)んことをまた我に求むべきなり我(われ)群(むれ)のごとくに彼ら人々を殖(ふや)さん
荒(あれ)たる邑々(まちまち)には聖(きよ)き群(むれ)のごとくヱルサレムの節日(いはひび)の群(むれ)のごとくに人の群(むれ)滿(みち)ん人々すなはち我がヱホバなるを知(しる)べし