エリフまた答へて曰(いは)く
なんぢは言ふ我(わ)が義(たゞ)しきは神に愈(まさ)れりと なんぢ之(これ)を正しとおもふや
すなはち汝いへらく是(これ)は我に何の益(えき)あらんや罪を犯(をか)すに較(くら)ぶれば何の愈(まさ)るところか有(あら)んと
われ言語(ことば)をもて汝およびなんぢにそへる汝の友等に答へん
天(てん)を仰(あふ)ぎて見よ汝の上なる高き空を望(のぞ)め
なんぢ罪を犯(をか)すとも神に何の害(さはり)か有(あら)ん愆(とが)を熾(さか)んにするとも神に何を爲(なし)えんや
なんぢ正義(たゞし)かるとも神に何を與(あたふ)るを得(え)んや神なんぢの手より何をか受(うけ)たまはん
なんぢの惡は只(たゞ)なんぢに同じき人を損(そん)ぜん而已(のみ)なんぢの善(ぜん)は只(たゞ)人の子を益(えき)せんのみ
暴虐(しへたげ)の甚(はなは)だしきに因(より)て叫(さけ)び權勢(いきほひ)ある者の腕に壓(おさ)れて呼(よば)はる人々あり
然(しか)れども一人として我を造れる神は何處(いづく)にいますやといふ者なし彼は人をして夜の中(うち)に歌(うた)を歌ふに至(いた)らしめ
地の獸畜(けもの)よりも善(よ)くわれらを敎(をし)へ空の鳥よりも我らを智(かしこ)からしめたまふ者なり
惡(あし)き者等(ものども)の驕(おごり)傲(たか)ぶるに因(より)て斯(かく)のごとく人々叫(さけ)べども應(こた)ふる者あらず
虚(むな)しき語(ことば)は神かならず之(これ)を聽(きゝ)たまはず全能者(ぜんのうしゃ)これを顧(かへり)みたまはじ
汝は我かれを見たてまつらずと言(いふ)といへども審判(さばき)は神の前にあり この故(ゆゑ)に汝かれを待(まつ)べきなり
今かれ震怒(いかり)をもて罰(ばつ)することを爲(せ)ず罪愆(つみとが)を深く心に留(とめ)たまはざる(が如(ごと)くなる)に因(より)て
ヨブ口(くち)を啓(ひら)きて虚(むな)しき事を述(の)べ無知(むち)の言語(ことば)を繁(しげ)くす