Meteoriaceaeのコケにしては、見た感じが割と地味で、余り引きつけない。葉細胞の真ん中にパピラが一つあるのが、この科に共通した、云わば、身分証明だろうか。但し、科の他のコケに比べて、当種は分かり難い。県内産が稀な事から、どうしても自分の同定に自信が持てず、最終的に「これだ。」と叫んだ時には、2016年11月になっていた。初めて採取してから、まるまる4年経っていた。
① 相州大山 (標高1,252m){未}
県RDBの記載によれば、2001年(岩片)の調査、および、2006年のRDB作成時点で再確認できていないとしている。
② 大雄山最乗寺 標高350m {再確認}
均茶庵は、2012年10月及び2013年8月に、最乗寺境内の粘板岩石碑から懸垂している株を確認した。量は、多くなかった。又、2019年6月に、碧落門下の粘板岩石碑二カ所でも確認した。県RDBでは、イロハモミジ及び岩壁から懸垂していたとの記載だから、同じ境内内でも、複数箇所に生育しているようだ。
2020年7月に参拝した時には、碧落門下及び祖師座禅岩付近双方ともに、生育が確認出来なかった。しかし、多宝塔下の石垣に、30cm四方の群落を一つ確認した。 Rev 200704/200716
③ 丹沢ゴーラ沢出合い 標高750m {文献記録ナシ} Rev.181028
東沢とゴーラ沢が合流する出合いは、西丹沢自然教室から、徒歩約1時間の 所にある。東沢側の岩壁には、神奈川県では珍しいコハイヒモゴケが生育している。2018年9月に猛威を振るった台風24号の被害が気になって、10月末に行ってみた。途中3人で抱える程の大木が倒れていたり、登山道が崩れていたりしていたが、コハイヒモゴケの群落は無事だった。但し、出合いの景観は可成り変わっており、河床は新しいトーナル岩で、真っ白に埋め尽くされていた。
均茶庵は、コハイヒモゴケの群落から約3m下った所に、ソリシダレゴケを確認した。量はそれほど多くない。日光に曝されて乾いていたが、沢水をかけると、特徴のある枝を直角に広げた。県内での生育確認は、3ケ所目となる。
均茶庵が2013年12月に兵庫県丹波円道寺や能勢の妙見様に参拝した際には、木や石塀から沢山下がっていた。標本として少し頂いた来た。西日本では、比較的普通に生育しているようだが、神奈川県では僅かに上記のみの記録となっている。
尚、大雄山最乗寺は、神奈川県の珍しい蘚類の大産地となっている。県絶滅危惧種だけでも、下記がRDBに記載されている。これも偏に、大天狗様のお力だろうか。「おん あろまや てんぐすまんき そわか」
Fissidens geppii 国:絶II 県:絶I ジョウレンホウオウゴケ
Syrrhopodon japonicus 県:絶I カタシロゴケ
Meteorium subpolytrichum 県:絶I ハイヒモゴケ
Meteorium buchananii subsp. helminthocladum 県:絶I コハイヒモゴケ
Chrysocladium retrosum 県:絶I ソリシダレゴケ
Barbella flagellifera 県:絶II キヨスミイトゴケ
Pseudobarbella lavieri 県:絶I タカサゴサガリゴケ
Neckera flexiramea 県:絶II コメリンスゴケ
Cyathophorella hookeriana 国:NT 県:絶I コキジノオゴケ
尚、大雄山最乗寺と場所は異なるが、山一つ隣の早雲山にある大雄山箱根別院には、下記が生育している。
Sphagnum palustre 国: NT 県:絶I オオミズゴケ
詳細不詳
【野口】 chryso黄色の cladium枝
【秋山】「chryso=黄金色+cladium=枝」
【田中】黄色い枝を意味する。
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{文献記録ナシ} 均茶庵が生育を確認。文献記録が見当たらない。
{再確認} 均茶庵が生育を確認。文献記録あり。
{未} 均茶庵は生育を確認できていないが、文献記録あり。
*引用文献及び略語については、「コケの参考書」をご覧ください。
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作成: 180901