当種は、名前の通り陽当たりの良い高地の岩上(rupestris)に、黒いシミのように、ごく普通に生える。非常に原始的な構造を持ったコケとされ、図鑑では真っ先に記載している。(平凡社版では、ミズゴケ亜綱に次いで、二番目としている。)しかし、神奈川県では、様子がちょっと異なる。この県には、高山がない。
県の最高峰は、丹沢山地に聳える蛭が岳(薬師岳)標高 1,673mだ。県内で標高 1,600mを超える山は、丹沢主脈の不動の峰 1,614m、鬼が岩の頭 1,608m及び主稜の檜洞丸 1,601mの計4座しかない。丹沢山地の冠を持つ丹沢山(釈迦が原)は、1,567mしかない。
県RDBには、①~③がに記載されている。
① 箱根 駒ケ岳 1,327m {再確認}
箱根山では、当駒ケ岳と神山 1,438mから報告されている。(県RDB) 箱根山は、火山情報発令のため2015年6月から登山禁止となっているが、駒ヶ岳についてのみ、箱根園から登るロープウエー終点の山頂駅周辺のみが、入山を許可されている。
駒ヶ岳山頂の箱根元宮は、創建伝承が第五代孝昭天皇時代まで遡るが、社殿自体は新しく、1964年に再建された。神社正面の注連縄を張った馬降石には、黒い斑点が沢山ついている。しかし、いくら均茶庵でも、天津磐座に触れる事はちょっと気が咎める。幸い、近くの溶岩にも黒い斑点が沢山ついていた。2017年5月だった。
② 箱根 神山 (1,438m) {未}
上記①の通り、現在は登山禁止となっており、確認ができない。
③ 丹沢 天王寺尾根 1,420m {未}
丹沢山頂より100m程度低い。深い森に覆われているため、今ではとてもクロゴケが生育できるような環境にはなさそうだ。均茶庵は、このルートで何度も丹沢山に登ったが、未だ生育を確認できていない。
④ 丹沢 鬼が岩の頭 1,608m {文献記録ナシ}
一方、丹沢山から蛭が岳に至る険しい岩場の鬼が岩の頭で、2017年11月に小さな群落を確認した。修験道者の聖なる場所とされただけあって、丹沢全体を見渡せる絶景の地だ。勿論、木は一本も生えていない。
神奈川県におけるクロゴケの産地は、計4ケ所となる。
【牧野】オランダ領東インドで農園を経営していたオランダ人G.H.Andreaeの名に因む。
【e-Flora】for J.G.R. Andreae, 1724-1793, apothecary of Hanover, Germany
【他】属名Andreaeaは、独Hanoverの人Johann Gerhard Reinhard Andreae (1724-1793)に因んで、Jacob Friedrich Erhartが命名した。
【秋山】ドイツのJ.G.R.Andrea 氏の名前から
【田中】ハノーバー (ド イツ北部の音の州、現在西 ドイツ北部の都市) の薬剤師であった、J.G.R Andreaの 名前に由来する。
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{文献記録ナシ} 均茶庵が生育を確認。文献記録が見当たらない。
{再確認} 均茶庵が生育を確認。文献記録あり。
{未} 均茶庵は生育を確認できていないが、文献記録あり。
*引用文献及び略語については、「コケの参考書」をご覧ください。
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作成: 180201