この種は、ソバージュのような植物体が岩壁や灌木から垂れ下がり、そこに福禄寿の頭にそっくりな葉が瓦状についているので、判別は容易だ。細胞中央に、パピラが1個ある。西日本ではそれほど珍しくなく、陽当たりの良い渓谷に、比較的普通に見られる。
147.1.01 ハイヒモゴケ Meteorium subpolytrichumは、こちら。
① 南足柄市 大雄山最乗寺 標高350m {再確認}
県RDBでは、箱根外輪山東外側に位置する曹洞宗の名刹大雄山最乗寺1ケ所のみを報告している。同寺大書院脇にあるイヌガヤの大木からたわわに懸垂している姿は、実に堂々としており、曹洞宗高僧の風格を思わせる。残念ながら、均茶庵が渾身のジャンプをしても届かない。2012年10月及び2013年7月及び2020年7月に確認した。
② 丹沢小割沢 標高約400m {文献記録ナシ}
丹沢玄倉林道から西へ分かれる仲の沢林道を5分程歩くと、小割沢に出る。橋を渡って直ぐの所から約20mにわたり、大小様々の株が石英閃緑岩の岩壁及び灌木から懸垂している。壁面は真南を向いている上に、林道正面の木が切り倒されて草地となっているため、陽当たりが極めて良い。林道は、中の沢底から10m以上の高さにある。2016年10月に確認した。
このあたりには、岩の割れ目から湧き出る水が美味しいため、茶やコーヒーを嗜む人達にとっては、知る人ぞ知る水汲み場となっている。雑菌がすくないため、夏場であっても、1ケ月程度は全く変質しない。但し、2016年10月末頃から、一般車の通行が禁止になった。
③ 丹沢ゴーラ沢出合 標高800m {文献記録ナシ}
丹沢の名峰檜洞丸山頂(1,601m)からツツジ新道を降りると、ゴーラ沢の渓流をケンケンしながら渡ることになる。通常でも幅が3mくらいあるため、上手に跳ばないと、冷たい谷水をたっぷりと浴びる。
流れに面した陽の当たる崖面及び灌木から、豊富に懸垂している。
レインジャーによると、ここは羊歯類イワヒバの名産地で、盗みが絶えないそうだ。道理で均茶庵の手の届く高さまでは、掃除をした後のように、岩壁が綺麗になっていた。2016年4月と2017年7月に確認した。
④ 丹沢大又林道笹子沢 標高458m {文献記録ナシ}
南向きの陽当たりが良い岩壁と灌木から懸垂している群落を確認した。同じ場所に、ヒロハシノブイトゴケT.aureaも豊富に生育していた。
神奈川県での記録は、合計4件となる。
【野口】高いところにある
【牧野】G. meteoron 星や宇宙の。子嚢の形が星形になるから。
【Meagher】meteoron, high in the air, clearly alluding to its dangling epiphytic habit
【秋山】「meteor=空中」 垂れ下がる様子から.
【田中】高いところにあるという意味。
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{文献記録ナシ} 均茶庵が生育を確認。文献記録が見当たらない。
{再確認} 均茶庵が生育を確認。文献記録あり。
{未} 均茶庵は生育を確認できていないが、文献記録あり。
*引用文献及び略語については、「コケの参考書」をご覧ください。
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作成:180601