神奈川県に住んでいると、ダンダンゴケが珍しい蘚だとは、ほとんど気付かない。三浦半島近辺であれば、少々湿った矢倉や切通や洞窟の壁面にびっしりと生育している。植物体も2cm以下と小さく、それ程「食欲をそそる」蘚ではない。均茶庵も、珍しい蘚とはまるで知らず、自宅の茅ヶ崎市からのチャリ行のついでに採取した。鎌倉市とそれに接する横浜市自然観察の森付近、あるいは、横須賀市、逗子市、三浦市などが県内の主な産地となっている。
所が、日本全国を見渡すと、神奈川県以外の産地は、わずかに福岡県平尾台及び千葉県の2県に限られている。しかも、千葉県で確認されたのは2005年に入ってからだ。(古木 2005)
ダンダンゴケは、石灰岩性の土壌に生育しているが、石灰岩地がほとんどない神奈川県が特異的な産地となっているのは、奇異な感じがする。但し、県内でも三浦半島近辺の海生凝灰岩地域にのみ見られるだけであって、その他の地域からは全く報告されていない。又、コンクリートの上に生育しているケースも、例外的にあるだけだ。三浦半島の海生の土壌に含まれる貝類の化石や海底沈殿物から、石灰分が沁みだしてくるそうだ。
ダンダンゴケを採取した直後は、きれいな緑色に光っているが、一度乾燥してしまうと、真っ白な石の塊になってしまう。後日改めて顕微鏡で見ようとする時には、この石灰分を溶かすのに、思いの外手間がかかる。カバーガラスをスライドに載せると、じゃりじゃりと音がする。
【野口】eu綺麗な cladium枝
【e-Floras】G. eu-, good or well, and klados, branch, alluding to well-developed whorls of stem leaved
【Smith】meaning repeatedly branched stems
【Crum】The name refers to repeatedly branched (or forked) stems.
【田中】euはきれいな、cladiumは枝を意味する
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{文献記録ナシ} 均茶庵が生育を確認。文献記録が見当たらない。
{再確認} 均茶庵が生育を確認。文献記録あり。
{未} 均茶庵は生育を確認できていないが、文献記録あり。
*引用文献及び略語については、「コケの参考書」をご覧ください。
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