均茶庵の世界
比較的新しいさすらいの物語です。
ご一緒したべんてんが、いつも旅の安全を守ってくれました。
18~19世紀には、水車の力で臼を回し、杵を搗き、油を搾った。それも、蒸気機関が発明されると、順次すたれてしまい、いつの間にか見なくなってしまった。
水車に水を供給する人工の沼は、Millpondと呼ばれる。米国の東部では、もう使われなくなった沼が打ち捨てられて、いつの間にか沼沢地に変わった。沼と馬鹿にしてはいけない。写真のMerchants Millpond (NC)は2.8㎢あるし、それを取り巻くLassitor Swampは、何と14㎢もある。流石に、米国だ。何でも、大きい・広い。あの東京ディズニーランドは、0.5㎢に満たない。
CypressとかTupeloと言う木が、トルコのメウレウィ教団のセマ衣裳然と、浅い沼の中に立っている。瘤みたいにごつごつした根が、所々、顔を出している。木の陰で薄暗くなった所では、あちらこちらの枝から2mはある白い植物が下がっている。Spanish Mossという地衣類だ。スペイン人のヒゲにちなんだと言うが、まるで老女が曲がった木の枝から逆さづりになっているように見える。神秘的というよりも、不気味な光景だ。沼の水は、木のタンニンが溶けだして、真っ黒だ。水の下に何が住んでいるのか、まるで分からない。時々、派手な原色の毒蛇が、水上を走る。
均茶庵は、こんな沼をコンパスを頼りにカヤックで漕ぎまわるのが大好きだ。どこまで行っても、同じような景色が続く。場所を決める目標が、何もない。勿論、日本ではそこかしこに見る橋や送電線もない。地図もまるで役に立たない。そして、方向音痴の均茶庵は、時々迷子になった。
ビーバーの組み上げた巣に登り、一休みする。怒ったビーバーが、周りを泳ぎ回り、威嚇する。あるいは、小さな島で、北限のアリゲーター(鰐)に出くわす事もある。追い出して、均茶庵の休憩場所を確保する。そして、無事出発点に戻って来た時には、「やった。」感と「ほっと。」感が、一度にこみ上げる。
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作成: 180502