岡本虎一拝観記録（昭和３４年１２月２８日）
海蔵寺（曹洞宗）
忠海北方山麓で見晴らしの良い境内である。
木造瓦葺き平家建て本堂は庫裡と連続している。
天保頃に火災に罹り、復興に際し、庄屋の家から座敷を買い受け移転したと云う。元は庇を鞘の間とした貴賓用の建物であったらしく、この寺に来てから鞘の間の一部を取り込んで６畳の間を造ったから、礼拝所の西隣りの室には、中央に大きな界壁がある。
本尊 聖観世音 立像木造玉眼入 金箔押 総高一尺八寸五 台座高七寸 宋風の衣皺を深く彫ってある。
厨子 木造 外側黒漆塗 内側金箔押 高さ二尺九寸 間口一尺一寸
いずれも江戸末期普通作である。
達磨大使 木造玉眼入彩色 高さ九寸
大元尊者 同上
いずれも江戸末期普通作である。
西隣に木造瓦葺き平家建て薬師堂がある。元浅野氏（三原か）の持仏堂を移建したと云う。格天井で堂々たる建物である。内陣天井は竿天井に張り替えてある。円柱には欅を用いてある。
正面檀上に木造宮殿風厨子、外黒漆塗と彩色、内側金箔押の中に、小型の木造外黒漆塗、内金箔押の丸厨子の中に本尊が納めてある。（この厨子は両開扉付、高五寸五分、巾二寸四分）
本尊は木造金箔押の座像で、仏具店で販売している程度のもの、台座も同然で小さい物である。一畑薬師の分霊と云う（宮殿厨子 高六尺一寸、軒高四尺四寸、間口二尺七五、奥行一尺七寸四）
石地蔵 高さ一尺四寸五分、が堂内脇檀に在る。衣文は詳細に彫ってある。面相は老人である。近代作らしい。
岡本虎一拝観記録（昭和３４年１２月２８日）
浄居寺（曹洞宗）
託児所を経営している。今日は年末休みで静かである。
木造瓦葺平家建本堂は庫裡と連結してある。
正面檀上 本尊 釈迦如来 座像 木造金箔押 高さ三寸
台座 木造金箔押 高さ五寸
脇侍 阿南尊者 立像 木造着色半裸 台 木造金箔押高二寸
同 迦葉尊者 僧形 木造彩色立像 台 木造金箔押高二寸
脇侍各高さ九寸（阿南の方が少しく良い）
両側棚上に十六羅漢像、木造彩色がある。
堂後の位牌室中央檀上に
大元尊者 木造彩色 高七寸
道元禅師 木造彩色 高七寸
開山 木造彩色 高七寸
達磨大師 木造彩色 高七寸 を祀っている。
本堂別間檀上に
観世音菩薩 三躰 はいずれも小形のもの、元禄期又は江戸末期
不動明王 立像一躰 は江戸末期の小形の物である。