宮床神社は、一名床浦神社とも言うようであるが、むしろ普通床浦神社と呼んでいるのではないかと思われるのである。それは駅前で婦人に宮床神社を尋ねたら、床浦神社はと言いかえたことと、神社へ行って柱を見ると長い白い紙がくくりつけてある。それに災厄除祈祷、床浦神社と書いてあるからである。
3本の松の大木が見えるがここに神社がある。昭和12年5月28日に県天然記念物に指定されている。
ごく海岸べりに神社が建ち、ウバメガシの樹叢があるが、石垣がくずれたり、風雨で表土が削りとられたりして、これらの植物の根があらわに出ているのがある。
社殿の左側に廻ると、石段の鉄パイプの柵を、目通り周囲3.85mもあるクロマツが太って、それを道の方へ押し出してこわしている。
その石段を登ると上に大きなウバメガシが3本あり、端の方に1本クロマツがある。
ウバメガシの太さは、1.30m、1.15m、2.00m、クロマツは、2.60mがある。そのクロマツの根部は太いのが地表にあらわに出てはっている。
ここで一番太いウバメガシは真横に枝が出ているもので、2.00mある。
社殿の裏の方には、クロマツ2.29m、エノキ1.82m、ウバメガシ1.85mと2.85m。
社殿の東側には、平地にクロマツの2.38mと2.75mが生えている。
そこの石垣の下には、ウバメガシが県天然記念物である標柱と、その説明の立札が立っている。
ここの社叢の樹木は、ウバメガシ、クロマツを主体とし、他にはエノキ、ビャクシン、ネズミモチ、マサキ、カナメモチ、モッコク、シャシャンボ、シデザクラ、ゲッケイジュなどが見られる。
天然記念物に指定された当時はウバメガシは10本余りあったようだが、現在は6本になっている。その後、枯れたのであろう。ここに生えているような大きなウバメガシは、他では珍しいのではなかろうか。
(坂本正夫『広島県植物天然記念物』P159~160)