「石の花」(アレクサンドル・プトゥシコ監督)1947
ロシアのウラル地方に伝わる民話を古老が子供たちに語り聞かせるという枠組みを最初に示して物語が始まります。
石の心が読める孔雀石の石工の名工ブローヴィッチが後継者を見いだせず悩んでいたところ、天性の才能を備えた少年ダニーラに出会い、弟子として育てます。
青年になり、師匠を超える名工となったダニーラは、注文された鉢を見事に仕上げ、顧客に満足されるだろうことはもちろん、師匠にも石工仲間たちからも高く評価されますが、自分では納得できず、愛する女性との結婚式の日に、自作の鉢を壊し、花嫁を置き去りにして、「銅山の女王」の誘惑に導かれて山中深くはいり、女王の隠れ家で伝説の白い光を放つ石の花を見せられ、取りつかれたダニーラはそこにとどまって理想の作品作りに打ち込みます。
銅山の女王は彼に恋し、作品を完成させて帰ろうとする彼を引き留めますが、ダニーラは断り、彼の妻を信じる一途な愛に女王も折れて彼は妻のもとに帰るのでした。
話はいわば芸術の女神に魅入られた天賦の才に恵まれた青年が現実を忘れて理想の作品作りに邁進する話ですが、妻への愛は忘れず戻ってくるという愛を貫く物語にもなっています。
結婚式の当日花嫁を置き去りにするなんてひどい男で、それでも彼女は待っていてくれると信じている、なんて、虫が良すぎやしませんか(笑)
まだ少年だったダニーラが森で笛を吹くシーンはとても美しく、すばらしい。森の木々の木漏れ日の淡く白っぽい光、小鳥の歌う声、兎たち、りす、狼、みみずく、木の陰で少年の笛の音に聞きほれる女王。牛番の少年が掌にのった虫の羽が美しいと眺めている場面。
結婚式の祝宴の場面も素晴らしい。白い冠や垂れ飾りの花嫁衣裳が綺麗、外の窓ガラスをこすって室内を覗く子供たち。素晴らしいコサックダンス。。。
Blog 2018-9-20