「マルクスの二挺拳銃」(エドワード・バゼル監督) 1940
このモノクロ・トーキーの有名な喜劇役者マルクス兄弟の3人が登場するアメリカ西部が舞台の喜劇で、たしかにギャグは古典的で、いま見て素直に腹の底から笑えるものではありません。でもこの映画はいま見ても、もろに感動する、すばらしいシーンが三つあります。
その第一は酒場でチコがピアノを弾く場面です。マルクス兄弟に何の予備知識も持たずに、ふつうにいまの若い人がこの映画を観ても、この場面の演奏とその楽しい雰囲気満艦飾のこのシーンには心を動かされるに違いないと思います。チコは片手で「連弾」できるピアノの名手なんですね。
第二は見た人には言うまでもなく、インディアン部落で、酋長の笛に合わせてハーボが奏でるハープです。これはもうただお上手、というのを超越した天才の技です!すばらしい!ハーボは天才的なハ―プ奏者なんですね。ここで本当に心ゆくまでその技を堪能させてくれます。いまの若い観客だって、これに痺れない人はないでしょう。
第三はそれらに比べれば、すでに新しい映画で類似のシーンが作られているから、今見て新しいとは思わないでしょうが、ラストの列車の暴走場面です。そこで繰り広げられる喜劇もこういう猛スピードで暴走する舞台で演じられるからここはとても面白いし、楽しめますが、それよりもあの列車が線路を外れて暴走し、家を突き抜け、貨車の車両の壁面もぶっ飛んで、なおも猛スピードで疾走する、あの姿に感動します!背景もすばらしい。
Blog 2018-9-24