「in spite of ~」の辞書的な意味は「~にもかかわらず」です。
これだけだと、ここでの本意は分かりません。
まず「Spite」を英英辞書でひいてみます。「a desire to hurt, annoy, or offend someone. (誰かを傷つけたい、苛立たせたいと思う気持ち)」です。ここから「Spite」という言葉には「悪意」があるのが分かります。
また「Spite」を使った言葉の定型表現に「out of spite(腹いせに)」 があります。例文をあげてみます。
I ate his lunch out of spite. 腹いせにあいつの昼飯食ってやったんだ。
I heard that she broke her boyfriend's watch out of spite. あの女、腹立って彼氏の時計壊したんだって。
ここで注意して欲しいのは「Spite」の持つニュアンスとして
「まだブチキレていないこと。理性が残っていてコソコソ悪いことをしている」イメージだそうです。
だから「すぐにバレないことを、仕返しとしてする」という感じです。
さて「Spite」の意味が分かったところで、本題です。
このシーンでは「Spite」という言葉を使ってしまった時点で、ロスの負けです。激怒しているレイチェルに「それでも俺はお前と一緒にいたいんだ」という正直な気持ちと、「Spite」という言葉がどうしてもつり合わないからです。
「コソコソ」というイメージが付きまとう「Spite」は、レイチェルからすると、
「あのリストに書いてあることは結局あなたの本心で、ただ私と一緒になりたいだけでそう言ってるんでしょ!」となってしまいます。
ロスがこの「in spite of all those things.」の部分を全く言わないで、
「I am so sorry, I just wanna be with you.(本当にごめん、ただお前と一緒にいたいんだ。)」だけなら、展開は違っていたかも知れません。