いつも面白可笑しいコメントをするチャンドラーですが、ここでは珍しく重い人生の一端を見せてくれました。
「shrink」は耳慣れない言葉だと思いますが、辞書を引くとちゃんと「精神科医」と出てきます。
今では日本でもうつ病の重さが理解され、ごく普通に精神科の診療所を見るようになりましたが、
90年代初めはまだ精神科医の価値は低く、むしろ見下されていた雰囲気があったようです。
肩をすぼめて(shrink)肩身の狭い思いで生き残ってきた精神科。
精神的な事象を解析して問題範囲を縮めていく(shrink)仕事、とすれば理解し易いですかね。
では、チャンドラーのセリフです。
You know, it's funny when my parents got divorced, they sent me to this shrink, and she told me that all kids have a tendency to blame themselves. But in your case, it's actually kinda true.
両親が離婚する時、子供たちは自分達を責める傾向がある。お前の場合は、それ当たってるみたいだな。
意味的にはこんな感じですが、
レイチェルに当てはまっているということは、自分には当てはまっていなかった、とも取れます。
チャンドラーは自分の両親が離婚して、精神科医に連れて行かれましたが、自分のことを責めることは無かったということ。
強い少年だったのですね。
対してレイチェルは、両親がお互いに話もしないのに、何が悪いのか確認しようともしない。
問題が有るかどうかも分かっておらず、自分の家庭から目を背けている。
この状態で両親が離婚したらきっと「自分がなぜ気づいてあげられなかったのか」と悔やむ子供の一人になる、ということですね。
ここは重いアメリカ社会風刺、だと思います。