管理人はやったことが無いので日本に有るのか分かりませんが、アメリカには「Blind date」という言葉があります。
これは友達がデートをセットアップして、当事者の二人は出会う日までお互いどんな人か分からない、というデートの方法です。
喫茶店で隣の客が実際に「Blind Date」の話をしているのを聞いたことがあるので、日常的に行われているようです。
Friendsメンバーが「Blind date」 をやるエピソードが将来的に出てきますので、その時に雰囲気を理解して下さい。
「Blind date」で、例えば女性が超美人で、男性が超ブサイクだとします。
先に男が待ち合わせに到着して、目印の服装などを身に着けて準備します。
そこに女が登場し、遠くから男を見つけて「あ、あいつだ。なんかブサイク…今日はやめとこ」と帰ってしまったとします。
これが「stood you up」の意味です。「Whoever stood you up」は「誰かは知らんがお前のデートに現れなかった奴」という感じです。
チャンドラーは、ボブが来ないことは知っているので、「ボブが悪い奴」のような言い方をしてジェイドを追い詰めているのですね。
正に「Pure Evil (真の悪)」です。
そして、以下は少し話題を変えて、妻から聞いたアメリカ文化論紹介をします。興味深かったので下記まとめてみました。
まず、1970年代~80年代に流行った「力強い男」を主役にしたヒーロー映画の例を見て下さい。
ロッキー(1976)
ジェームス・ボンド(多数)
インディアナ・ジョーンズ(1981、84、89)
ランボー(1982)
リーサル・ウェポン(1987)
ダイ・ハード(1988)
どれも大量のアドレナリンで眠れなくなりそうなアクション映画です。
さらに「正義は必ず勝つ」というストーリーで「男は男っぽく」という社会情勢が強かった時代だったようです。
その「男っぽさ」を発揮できなかった、いわゆる草食系の男たちは、こういう社会的圧力に負けて男としての自信を持ちにくくなっていきます。親や家族から男らしくないと言われ、人目を気にして生きることが普通になっていきます。「どうせ俺なんて…」といううつむいた態度で暮らす男たち、ロスやチャンドラーは、まさにその中の一人と言っていいでしょう。
それを受けて、1990年代に逆向きの動きが起こります。
逃亡者(1993)
ジュラシックパーク(1993)
スピード (1994)
ブレイブハート(1995)
マスク・オブ・ゾロ(1998)
ハムナプトラ (1999)
マトリックス (1999)
どれも同じく男性を主役としたアクション映画ですが、違いは主役が社会的弱者であること。どちらかというと社会の中で自信が持てず肩身の狭い思いをしている男たちが成長していくストーリーです。その中で主役達の「父親像」や「家族、恋人等を守るため」という立場が語られることで、これまでの「筋肉、物理的な力、肉体的な乱暴」に対する、また違った男らしさ、が取り上げられました。男の涙、忠義、犠牲、家族愛、等、精神的な部分により焦点が向けられた、といって良いでしょう。
Friends の前半が放映された時期はちょうどこの「肉体的な男らしさ」から「精神的な成長」に転ずる過渡期であったことが分かると、
なぜ、ロスやチャンドラーのようなキャラクターが、大きく受け入れられたのか、もう少し分かるようになります。
これを踏まえると直後のチャンドラーのセリフ「I'm all cried out today」がもっと深い意味を持ってきます。