日本語を普通に会話していて、自分が意図してないのに、全く違う意味が相手に伝わっててしまう瞬間ってありますよね。
管理人がまず思い出すのは「えらい」という言葉。
普通だと「賢い、立派」の意味だと思いますが、滋賀や岐阜といった近畿と中部地方の真ん中では「えらい」というと「疲れた」という意味になるそうです。友達と受験勉強の話をしていて「昨日何時間勉強したからえらいわぁ」と言われて、管理人は頭の中で「何コイツ自分のこと褒めてんだ。皆同じくらいやっとるわ!」みたいな気持ちでいました。その直後でお互いの理解が食い違ってることが分かり、笑い話で終わりました。
ここでは英語の超超基本動詞「do」が持つ多義性がジョークとして使われています。管理人がこのことを理解出来た時、正直衝撃を受けました。語学としての深さ、難しさ、面白さを感じることが出来ると思います。
まず「do」の一番よく使われる意味は「~をする」ですよね。
そしてここでのタイトル分「God doing me」は「神様が俺の真似をしていた」という「~の真似をする」という意味があります。
チャンドラーには2つの罪悪感があります。
1つは「ロスがレイチェルを好きだと口を滑らせてしまったこと」
2つ目は「レイチェルはそれを信じて空港にロスを迎えに行ったのに、ロスには新しい彼女がいたこと」。
ロスにもレイチェルにも負い目を背負うチャンドラーは自分の過ちから逃げようとしています。チャンドラーのそういうセコい性格を理解して下さい。誰かにその責任を押しつけられないか…チャンドラーの答えは「神様」でした。ここでは、その考え方がバカすぎて面白いのです。
さてもう一つの「do」多義性を使ったジョークが下記です。
Rachel: Well, I sorta did a stupid thing last night.
Chandler: What stupid thing did you do?
Paulo: Bon giorno tutti!
Phoebe: Ewww!
「I sorta did a stupid thing last night」は普通に訳せば「昨晩ちょっと馬鹿なことやっちゃって…」で、「do」をごく普通の「~をする」という意味に取れます。それは間違いではありませんが、もう一つ隠れた意味があります。それが「誰かとセックスをする。」です。
その意味で捉えると「did a stupid thing」は「バカなモノ(人ではない)とヤッちゃったの…」という意味になります。
この「モノ(パオロのこと)」をどう訳すかは人それぞれで良いと思いますが、管理人は「ケダモノ」と訳しました。
シーズン1を見ていれば分かることですが、このPauloという人物は「女ったらし」です。彼女がいても他の女に普通に手を出してしまう人物(Season1 The one with Lasanaを参照。)で、そのことをレイチェルは勿論、他のメンバーも分かっています。だからレイチェルは他のメンバーに「昨日自分から汚いケダモノに会いに行った」ということが言えず「ちょっと目をつぶっててくれない?」と言った訳で、ハッキリとは分かりづらい「do」を使って状況を説明したようです。
同じ「do」を使ったジョークが下記です。
Paulo: Hey, hey, Ross.
Ross: Hey, Paulo. What, uh, what are you doing here?
Paulo: I do Raquel.
「I do Raquel」が面白いですね。何回見ても噴き出してしまいます。
Pauloが英語を話せないのは「レイチェル」を「Raquel」とイタリア語風にしか発音できないことからも分かります。
Pauloは、知っている英語の動詞が「do」しか思いつかなくて「レイチェルと会っている(I am meeting with Rachel)」と言いたかったのに「I do Raquel」としか思いつかなかった、それだけでしょう。けど、それを「レイチェルとセックスしにきた」とも取れる文章を、しかも一番メンバーの中で一番敏感に受け取りそうなロスに言ったのが、ここでのジョークになっています。