2.宇宙飛行士

航空医学と医工学についての研究

我が国のメディアに、宇宙飛行士訓練基地以外に、航空医工学研究所を報道した記事がある。

宇宙飛行士訓練基地と航空医工学研究所とはどんな関係があるのか。一つの機構なのか、二つの機構なのか。

1999年12月の「大衆科技報」に「我が国の有人宇宙船の打ち上げは遠くない」と言う署名記事を掲載した。

その記事では「30余年前、我が国は既に有人手宙船発射の各方面準備作業を開始した」と披露した。

「中国宇宙飛行士の揺りかごと称される我が国の航空医工学研究所は1968年に開発され、70年代中後期までに、前後に多種の実用的なシミュレーション有人航空実験設備を完成させた。

例えば最高回転速度が毎秒1周の欧亜地区で最大規模の有人遠心機や液庄プログラムコントロール多機能回転椅子、高圧酸素室、宇宙船環境シミュレーション室、平衡プランコ

および人体衝撃実験の3階建てビルの高さのある着陸衝撃塔等がある。

この文章は中国宇宙飛行士訓練基地が航空医工学研究所であることを示している。

だから、この機構は二つの名称がある:「中国宇宙飛行士訓練基地」と「中国航空医工学研究所」。

つまり、中国の宇宙飛行士訓練基地は宇宙飛行士の選抜と訓練を担当する以外に、航空医学と医工学の実験研究にも携わっている。

「中国宇宙飛行士訓練基地」と「中国航空医工学研究所」の具体的状況について、宿汲寧は記者のインタビューで次のように詳細に紹介した。

記者:あるメディアは北京宇宙飛行センターを世界第三の宇宙飛行士選抜訓練センターと評価したが、実際の状況はどうだろう。世界レベルとの格差はどうであろうか。

宿汲寧:現在、世界的にはロシアのガガーリンセンターと米国のヒューストン宇宙センター以外に、宇宙飛行士の選抜訓練の技術と施設条件をもっているのは中国だけである○

中国の有人手宙飛行の発展は米欧ロシアよりも遅れたが、発展スピードは遅くない。

外国の経験や教訓を鑑みて、無駄な道を避け、低リスク、小投入、高効益で、中国の特色のある「飛天」の道を辿っている。

例えば、「医工連合」は我が国の有人宇宙飛行の一つの鮮明な特色と優位性を表している。

それに、航空漢方医、漢方薬学を発展させることも我が国の航空医工学の発展に特色のある優位性である。

記者:宇宙飛行士選抜訓練センターの発展目標は「中国のガガーリンセンター」または「中国のジョンソン宇宙センター」になるか。

宿双寧:これは我々の目標であるが、それが全てというわけではない。

我々は航空医工学研究に従事し、有人宇宙飛行任務に従事する宇宙飛行士の選抜訓練を担当する以外に、また中国の有人宇宙飛行工学 宇宙飛行士システム、

宇宙船環境コントロールシステムの研究開発と実験の任務を担当していて、これは「医工連合」の特色である。

宇宙飛行士は有人事宙飛行の核心である。

我々の一切のエンジニアリングは先ず「人間が基本」の思想であり、宇宙飛行士の選抜訓練合格および宇宙飛行士の安全、健康や効果を中心として展開される。

周知の通り、宇宙船が宇宙に入った後、微小重力、高真空と強宇宙空間塙射の環境にあり、宇宙飛行士の安全、健康と高効率作業を保証するために、人為的に地球表面に近い生活、

仕事の環境を作る必要がある。

先ず、有人宇宙船の医学的要求と能率学の要求を提出して、宇宙船設計と開発の主な依拠として、宇宙船が有人の要求に満足できるかについて、医学と能率学上で評価する。

宇宙船で、環境コントロールと生命維持システムで有人カプセル内環境の適性を維持する。

主に五大指標で、即ち温度、湿度、大気庄、酸素分庄と二酸化炭素分庄である。 それに、宇宙船には完全な宇宙飛行士医学監督設備がある。

有人飛行で、これらの設備を利用して、航空医学者は地上で宇宙飛行士の身体状況を観測、判断でき、宇宙飛行士に対して医学的な監督と維持を行う。

7日間の神舟三号宇宙船の飛行実験によって、我々が研究開発した人体代謝シミュレーション装置、擬人生理信号設備とダミーロボットが提供した生理信号と代謝指標が正常で、

有人宇宙飛行と直接関係のある有人カプセル内環境コントロールが有人飛行のための医学要求を満足できることを検証した。

宇宙服と宇宙食

宇宙飛行士の飛行中の健康と安全を維持するために、航空医工学研究所は宇宙飛行士の服装と食物の研究開発も担当している。

「宇宙飛行士はどんな服を着るのか」と開かれれば、「宇宙服」と答えるが、実際にはこのように回答するのは必ずしも正確ではない。

宇宙飛行士は宇宙飛行の各段階で異なる服装を着用する。

宇宙船の発射と着陸の時、有人カプセル内減圧の影響を防止し、また水中落下後の防寒のために、宇宙飛行士は特製の防護救命服、つまり室内宇宙服を着る

;軌道飛行期間には、有人カプセル内に地上の正常な大気環境を作るので、宇宙飛行士は普通の制服で良い

;宇宙遊泳の時、宇宙飛行士は船外活動宇宙服を利用する。

現在まで、中国の宇宙飛行士は宇宙遊泳の任務がないので、着用する服装は室内宇宙服である。この服装はミルク色で、局部に藍色の線がある。

衣服の心臓部位に回転できる円形装置があり、衣服内の圧力、温度と湿度を調節できる。

衣服の右腹部に一本の細管があり、それは宇宙飛行士の通信機器である;左腹部に二本の管があり、宇宙飛行士に酸素を提供し、二酸化炭素を排出する設備である。

ヘルメットとゴム手袋以外に、宇宙服の全てはある特殊な高強度のテリレンで作られ、宇宙飛行士の飛行上昇段階と地上帰還時の各種要求を満足できるものとなっている。

室内宇宙服は3重構造である

:一つは制限層で、耐高温、耐磨損の材料で作成され、服装内層を保護し、気密層の膨張を制限する

;第二は気密層で、プチル基またはクロロブレンゴムを塗装されたポリアミド織物で作成され、良好な気密性があり、服装内の一定の圧力を維持できる

;第三は散熱層で、この層に沢山の管道があり、気流を輸送して、服装内の気流により,人体代謝で産生する熱量を送り出す。

我が国の宇宙飛行の三段計画によると、神舟五号有人手宙船の飛行に成功した後、船外活動とドッキングを実現し、また宇宙空間実験室を開発する。

だから、我が国の宇宙服の発展は必ず室内宇宙服から船外字宙服、つまり船外活動宇宙服に発展する。

船外活動宇宙服は世界で構造が最も複雑、技術が最も先進的で、価値も最も高い服装である。

例えば米国のスペースシャトル宇宙飛行士が着用する宇宙服は一セットで150万ドルもする。

この宇宙服は服装、ヘルメット、手袋と宇宙靴から構成され、その中でも、構造が最も複雑なのは服装である。

米国のスペースシャトルの宇宙服を例として、これは現在最も進んだ宇宙服であり、14重構造である

:一番下のは液冷通風服の裏張りである;裏張りの外は液冷通風服で、この服装はナイロン弾性繊維と沢山の冷却液輸送用のプラスチック細管で作成される

;液冷通風服の外には二重の加圧気密層がある

;その外側は制限層で、加圧気密層の膨張を制限する

;加圧気密制限服の外は防熱防微隕塵服であり、8重構造で、防熱と防微隕塵の役目がある

;最も外側のはコードである。

スペースシャトル宇宙服は上半身、下半身と手の三部分で裁断縫製される。上半身には硬質ガラス繊維の殻があり、服装のフレームとなる

;下半身には腰部に軸受けを装着して、体の回転活動を保証している。

スペースシャトル宇宙服の構造は複雑で、項目も多いが、着用は困難ではなく、一般には約15分間で着用できる。

旧ソ連とロシアはこれまでに10種の船外活動宇宙服を開発したが、6種だけが有人宇宙飛行で使用された。

その中で主に次の4種がよく使われた。つまり海鷹D型宇宙服、海鷹DM型宇宙服、海鷹DMA型宇宙服と海鷹M型宇宙服である。

航空医工学研究所は宇宙食の研究開発も担当している。

宇宙飛行士に多種多様な宇宙食を用意し、様々な魚、肉類の缶詰、パン等の伝統食品以外に、中華料理もある。

例えば唐辛子豚肉味噌炒め、ピーナツ鶏肉炒め等があり、西洋食より美味しい。 乾燥ご飯、カレーライスなどの主食は全て本みたいな銀色の袋に入っている。

食品が非常に豊かで、また海老などの海鮮も食べられる。

全て固形複水食品で、宇宙飛行士は食事をする時、お湯を入れてすぐ食べられるようになる。

中国人はお茶が大好きで、オレンジジュース等の常用飲料以外に、氷紅茶、氷緑茶等の現代飲料もそろっている。

科学研究者は宇宙飛行士にイチゴ、りんご、バナナ、水蜜桃等の果物を用意した。保存に便利なように、低温で水分を蒸発し、また冷凍干し果物に加工した。

果物が「干し果物」になったが、色も味も悪くない。

宇宙飛行士向けのビスケット、缶詰、浄水等の小型生産ラインが既に完成された。宇宙飛行士は正式に飛行していないので、食品も大規模生産の段階に入っていない。

但し、一部の食品は既に特殊「乗客」として神舟三号宇宙船で地球を何周か回った。

検証結果をみると、これらの美味な食品は宇宙環境での試験を通過した。