増田さんH27年7〜12月

2015年 7月6日 〜 12月9日号まで

第995号(2015年7月6日号)

世界単一政府(One World)

かつての「小冊子」で世界が徐々にOne World(世界統一政府)に向かっていることについて述べた。

世界の政治・経済・文化は毎日のように変化しているが、その変化はOne World達成の為に役に立たない事象が否定される形で進んでいる。

「闇の勢力」などと言う説があり、私もそうした勢力の集まりや重要人物に接する機会があったが、私はそうした恐ろしい表現よりむしろ政治・経済・文化の世界で現在活躍している人物や、活躍していた人物たちと認識している。

いわばエリート説である。

私は今回の「小冊子」(Vol.69)で人口の1%中の1%と言われるエリートの存在意義について述べ、何故世界の金融界を牛耳るFRBは自ら仕組む市場暴落を直接または間接的に一握りのエリート達に事前予告をするのか、そのわけを解説した。

それはまるで生命存続の優性種論と同じく市場存続の為にエリートを存続させているのである。

ドイツがエリートならギリシャは99%の被支配者の典型である。

1981年にギリシャが加盟したEC(欧州共同体=EUの前身)と2001年1月に参加したユーロ共通通貨体制(1999年実施)の目的は「欧州の政治・経済統合」である。

ユーロ共通通貨の参入条件は財政赤字が国家財政の3%以内、累積赤字がGDP比60%以内であったが1999年の時点でギリシャは不合格であった。

現在のECB(欧州中央銀行)の総裁ドラギが当時副会長をしていたゴールドマン・サックスがギリシャに粉飾指導をして2001年に合格した経緯がある。

2010年から2011年にかけて第一次、第二次ギリシャ支援が行われたが、その目的はギリシャの債務不履行による欧州銀行の危機を救済することが目的で あってギリシャ救済ではなかった。今回のギリシャ救済はIMFと欧州債券国の資金回収の為の救済であってギリシャ救済ではない。債権者グループが不況下の ギリシャに緊縮財政を押し付けるのはギリシャ経済を破たんに追い込みギリシャの主権である財政権をEU統合に追い込むためである。One Worldにプラス要因は通り、マイナス要因は許されない。だから欧州債権国がギリシャをユーロ圏離脱に追い込むなどと言う議論や主張は「ガセネタ」なの である。

前回の下げは私が「ここ一番!」で予想した通り1日天下であったが今回は2‐3日天下だろう。ご参考まで

第996号(2015年7月8日号)

言った通り!

昨日の本誌で、ギリシャの国民投票でIMFと欧州 債権者グループのギリシャに対する支援条件にノー(拒否)回答が決まったことについて、債権者側のギリシャ支援は、ギリシャに緊縮財政を押し付け、少しで も自力で借金の返済をさせ、足らない部分を分割で支援するものであって決してギリシャの為の支援ではないという本当のところを述べた。

そして最後に株価について、ギリシャ国民投票の結果でニッケイもNYも大きく下げたが、前回6月28日ギリシャがトロイカ(欧州連合、ユーロ圏諸国、 IMF)との最終合意の為の会議をボイコットして大きく下げた時は「一日天下」と私が述べた通り翌日からリバウンドが続いたが、今回も下げた翌日ニッケイ は270円上昇したが「今後大きく下げるから買いはその後だ」と述べた。

チプラス首相(ギリシャ)とIMFと欧州債権者グループとの最終交渉は今週末日曜(12日)に決まったが、「ギリシャの財政をEUに統合する方向」で結論が出る。

ギリシャ財政が破綻するか、破綻一歩手前で緊縮財政強行で浮いた資金で出来る限り自力で借金を返済しながら、不足分だけを支払い期日毎に分割で支援を受けることになるかどちらかになる。

いずれにしてもギリシャ問題の結論は来週中に出る。

どうなろうと「ギリシャ問題に結論が出ることは買い」である。

昨日に続き、ご参考まで。

ギリシャ問題に限らず市場にとって重要な事象の成り行きは適時「ここ一番!」で述べている。

第997号(2015年7月10日号)

株価大暴落の「予告」

昨年2014年6月中国株代表指数である上海総合 は2,000ポイントであったが本年初から59%、1年間で250%上昇、3,507ポイントを付けたがわずか2週間で30%下落した(7月10日現 在)。中国政府(人民銀行)が最も恐れていた事態が起きたのである。中国証券当局は上場銘柄の70%を取引停止、さらにマスコミのネガティブ情報の報道禁 止など国家による強力な市場操作を行ったが効果がなかった。

一方ニューヨーク市場は中国株価暴落とギリシャ問題の不透明感で同日(8日)大きく下げて始まったとたん原因不明の取引停止が3時間続き同時にWJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)のウェブサイトもストップした。

2000年当初本誌で私がNY証券取引所開設以来の老舗会員ブローカーW氏と知己の仲であることを述べたが、氏曰く「中国当局とアメリカではやり方は違うが、こういった時に当局が市場操作をするのは常識である」とのこと。

私はかねてから「10月暴落説」を述べているが、中国は言うまでもなく、アメリカ、日本、欧州の株価は実体経済(GDP)とかけ離れ、債券価格はマイナス金利を誘導するまで高騰している。株価も債券もバブル化などという生易しい状況ではない。

では、中国株価は暴落したのに何故ニューヨークもニッケイも直ぐにリバウンドするのだろうか。

FRB(連邦準備理事)はゼロ金利政策、日銀はゼロ金利と量的緩和、ECB(欧州中央銀行)はマイナス金利政策、量的緩和政策を続行しているからである。

世界第二の経済大国中国で資産バブルが崩壊すれば、同じ資産バブルが続いている日米欧でもバブル崩壊になるのが市場原理であるが、「そうは問屋が卸さない」理由は日米欧中央銀行が緩和と言う名の市場操作続行の為である。

アメリカ証券当局が市場取引停止処分を執行したのは6年間で初めてである。

これは明らかにNY市場大暴落の「予告」である。

これで益々私の「10月バブル崩壊説」が真実味をおびてきた。

第998号(2015年7月13日号)

気象も市場も異常事態!

株価は乱高下、上がるはずが下がり、下がるはずが上がる異常相場。

何事にも確信が持てず、不安と期待が交錯。

世界中の人心が乱れ模様。

私の「10月暴落説」の前夜の様相である。

ギリシャと欧州勢の猿芝居を欧州で観戦しているが、「最初に結果ありき」が政治のABC。

本誌読者の協賛金ご協力者の皆様の為になんとか時間を割いて最新レポートを書いている。

第一号は今月末の予定であったが、今日から明日にかけてお送り出来ることになった。

*ギリシャ問題の真実(戦後国際金融制度=資本植民地主義)

*中央銀行の政策は経済破綻政策

*新たな成長の為の経済破綻

について述べ、第二号でFRB(連邦準備理事会)が何のために、どのように世界市場を大暴落へ誘導するか、そして皆様はどのようにして財産を保全するかについて解説します。

第二号もタイミングを逸しないよう出来るだけ早めにお送りいたします。

明日は欧州(ブリュッセル)、ワシントンD.C.、チューリッヒ(スイス)で世界の超エリート達と渡り合って得たこと与えたことなど貴重な経験をもとに「小冊子」(Vol.70)「動乱する世界情勢の真実を伝えよう」のご案内をいたします。

こうして世界を股にかけて飛び歩けるのも皆様のおかげです。

重ねて感謝いたします。

第999号(2015年7月14日号)

私の決意

「動乱する世界情勢の真実を伝えよう」と題して「小冊子」(Vol.70)を準備しています。

現在欧州ですが、ギリシャ問題の真相をはじめ何故FRB(連邦準備委員会)は世界市場の大暴落を計画しなくてはならないのか、また大暴落から皆様の財産を守るにはどうしたらいいかにつき解説します。

2008年もそうでしたが、選ばれたエリート達は直接、間接的に事前に暴落の予告を受けています。

その理由は「小冊子」(Vol.69)で説明した通りです。

今回はどうしたら特権階級のエリート同様になれるかを伝授することにしました。

アメリカの2016年度防衛予算を見れば分かる通り、アメリカはオバマ政権になってから「世界の警察官」の責任を放棄し、仮想敵国中国と対決するどころか接近し、米軍は沖縄から完全撤退を決め、何と日中対立激化を政策指針にしました。

今や「日米安保は日本の安全の要」は空論になろうとしているのです。

政治、経済が大激動する中で安倍の丸は荒海の中を彷徨っています。

世界の政治・経済が動転する中で日本の運命に暗雲が漂っているのです。

私は恩師船井幸雄先生から伝授された通り「宇宙から下界(地球)を眺めながら」、世界の真実を知り、皆様と共有しながら明日を生きたいと思っています。

第1000号(2015年7月22日号)

1000回記念号

本誌を書き始めたのは1997年9月、18年前です。

ワープロで文章を書きプリントしたページをクリアホルダーにはさみ、一人一人の読者の名前を書いた短冊をホルダーの上部に挟んでファックスマシンのガラスの上に乗せてファックス番号をダイヤルして送っていました。

妻と一緒に2台で送信しましたが何時間もかかり時には夜遅くなる事があり、「夜中に送らないでくれ、安眠妨害だ」と叱られることもありました。

e-mailや自動ファックスで送るようになるまでに何年もかかりました。

本誌を発信し始めた翌年の1998年は私にとって決して忘れることの出来ない年でした。

本誌を送り始めてから3ヶ月経った12月、舩井幸雄先生からお電話をいただきました。

「増田さんの時事直言を大変面白く読ましていただきました、ついては来年(1998年)1月8日に船井総研のコスモスクラブという会があるので来ませんか」というお誘いでした。

東京の会場(ヒルトンホテル)に行くと何百人もの会員の方々が集まっていて、三菱総研の高橋乗宣先生、柔道世界チャンピオンで東海大学の教授の山下泰裕先生など著名な先生方が講演をされていました。

舩井先生から、「増田さん、私の持ち時間から20分差し上げますから何でもいいからお話ししませんか」と言われました。

その時一瞬私の頭の中をモーゼの出エジプトの光景がよぎったのです。

海が二つに割れ、その間をユダヤ人たちがエジプトを背に走っている。

そうだ、奇跡だ!

私は奇跡を起こそう、そうすれば舩井先生のように有名になれる。

そう思ったとたんに有ることが頭に浮かびました。

その日私は二つの奇跡を起こしました。

奇跡については「小冊子」Vol.70記念号をお読み下さい。

それから舩井先生は私との共著まで出して下さり私を引き立てて下さいました。

これも「小冊子」(Vol.70)で述べていますが、舩井先生は私に宇宙へ行って地球を眺める自己暗示術を伝授して下さいました。

私は地上の真実を知る自信は誰にも負けないつもりですが、舩井先生はもう一度宇宙から眺め直すことを教えて下さったのです。

こうして本誌を1000回も続けられるのも今は亡き舩井先生のおかげだと手を合わしています。

第1001号(2015年7月27日号)

「時事直言」の協賛金ありがとうございます

「時事直言」の益々の発展のためにご協賛くださった読者の皆様に「増田俊男の特別最新レポート」第一号(7月13日)をお送りし、今月末までに第二号をお送りするとお約束しました。

第一号では、ギリシャ問題の真相、FRB(連邦準備理事会)が世界の中央銀行の責任としてNY市場を皮切りに世界市場を暴落に誘導しなくてはならなくなっ た理由、日本の公的負債がGDP比233%であり、ギリシャより悪質な財政状態なのに何故ギリシャのようにデフォルト(債務不履行)しない理由と破綻まで の残された時間などにつき解説しました。

明日7月28日第二号をご協賛賜った読者の皆様にお送りすることになりました。

第一号でお約束した通り、「FRBはどのようにNY市場と世界市場を暴落に誘導するか、そしてその時期は?」について詳しく説明します。

世界の市場(相場)にとって最も大事なことは「FRBは何時利上げをするか」です。

何故なら「FRBの利上げが暴落の引き金」になるからです。

第1002号(2015年7月30日号)

Scrap and Build (破壊して再建する)

Scrap and Buildは資本主義の原則。

今、日本・米国・欧州の経済成長は停滞し、財政は破綻状態。

18世後半の産業革命を起こした蒸気機関の発明や19世紀前半の自動車、航空機等で人間の生活のハード面は一変した。

20世紀は情報革命時代でIT技術、インターネット革命で政治、経済、文化等あらゆる分野のグローバル化が進展し人間生活のソフト面が一変した。

今我々は21世紀初旬に生きているが何か我々の生活のハード面とソフト面を一変させるような発明、発見、イノベーションがあるだろうか。

20世紀の情報革命のアプリ(応用)のすそ野が後進国へ広がっているが、2020年までには飽和状態になることは確実。

今のところ人間生活のハード・ソフトを変えるこれといった発明も発見も見当たらないから人間社会の自律成長は期待出来ない。

私は、新たな成長の糧の獲得競争時代は終わり「21世紀は下山の哲学に従い、既存の富の奪い合いになる」と述べてきた。

既存の富を奪い合ってもマクロの成長は無い。

人間の中心的本能である「欲」が存在する限り人間は「より多く、より良い富」を求め続ける。

他人の富を奪ってもマクロの成長は無い。

ではどうすれば人類の欲を満たすマクロの成長は可能になるか。

自らと他人の生活の基盤となっている既存の富を破壊すればいい。

人間は生活する動物だから富が失われた瞬間から生きるために一心不乱に働き、新たなより良き富を創造し、より良き生活水準に向かう。

自分で自分の富の破壊は出来ないから、マクロ経済に責任を持つ世界通貨(基軸通貨)ドルの自由裁量権を持つFRB(連邦準備理事会)と世界中に軍事基地があるアメリカがやってくれる。

ギリシャ財政破綻と救済、中国資産バブル崩壊等による経済的(ソフト)破壊、ウクライナ問題やイラン核合意によって誘導されるNATO(北大西洋条約機構)対ロシアの第三次世界大戦によるインフラ(ハード)破壊。

今世界のハードとソフトが破壊(Scrap)されようとしている。

米軍の沖縄撤退(2020‐2026年)で日本は否が応でも対中戦争に追いやられる。

だから安倍内閣は日本の再軍備化を進めているのである。

見えないところで動き始めた世界、そして日本。

記念すべき「小冊子」(Vol.70)で詳しく説明した。

第1003号(2015年8月3日号)

ドル防衛と金価格

アメリカの死活問題

アメリカの経済も政治もドルに依存している。

ドルを支えている二大要因がある。その第一はドルが今なお主要通貨であること、第二は中東原油の主要取引通貨がドルであることである。(ペトロダラー)

ドルが基軸通貨である恩恵とは第三国間の貿易取引通貨がドルであるため第三国はドルを買って決済するので取引高に応じてドル需要が増大する。

中東原油がドルで取引されるため中東原油の売り上げが即ドル需要になる。

この二つの要因に支えられてドル需要は限りなく増大化しアメリカの潜在的財政綻救状態による対ドル減価をカバーしているのである。

今この二つのドル支援要因が危機にさらされようとしている。

今年IMF(国際通貨基金)改革を米議会が承認すれば中国の人民元がIMFのSDR(特別引出権)の四大通貨(ドル、ユーロ、ポンド、円)に加わる。現在 IMFの発言力はアメリカがNo.1で拒否権を持っているが、発言力はGDPに比例する出資金高で決まるのでGDPでアメリカ(購買力平価で約17兆ド ル)を抜いた中国(約18兆ドル)の発言力が高まり人民元の世界シェアがドルに接近する可能性が出てくる。

アメリカの原油・天然ガスの増産が続き2017年自給、2020年世界最大の輸出国になり現在の中東原油依存は解消されるのでOPEC(中東石油輸出国機 構)の原油取引通貨はドルに縛られなくなる。こうして近い将来ドルを支えてきた二本足(ドル基軸・中東ペトロダラー)が消滅しようとしている。

アメリカは2020年の世界エネルギー支配を達成するまでFRBの金融政策でアメリカの命綱ドルを防衛しなくてはならない。

金価格暴落作戦

1オンス1,200ドル台から下げ気味であった NY金が7月20日寄付きと同時に米系ヘッジファンドが約5トン分の空売りを掛けたため4%急落、1,080ドルまで下がった。7月9日中国株を売り叩い て1日で28%下落(上海総合で3,700ポイントまで下げた)させた同じ米系ファンドの仕業である。

FRBがアメリカの命綱のドルを防衛するのは当然だが、米系大手ヘッジファンドも手持ち資産はドル資産だからドルを守ることは死活問題でありFRBと利害 が一致している。6月中旬から7月9日まで中国株を暴落に誘導して中国政府の市場規制と価格操作を引き出すことでアメリカ議会にIMF改革(人民元の SDR通貨入り)不承認理由を与え、ドル衰退の反対軸(ドルが下がれば金が上がる)の金価格を暴落させることでドル支援二大要因消滅リスクによるドルの衰 退を食い止めようとしたのである。

独占資本(ロスチャイルド)の手先のゴールドマン・サックスが金価格は850ドルになると囃す理由がお分かりになっただろう。

金相場の売り買いのタイミングは「ここ一番!」と「目からウロコのインターネット・セミナー」でお知らせします。

第1004号(2015年8月6日号)

FRBはアメリカの愛国者

2014年10月31日当時のFRBバーナンキ議 長がQE3(第三次金融緩和)終了を発表して以来バーナンキ議長も現在のイエレン議長も利上げをすると言いながらなかなかしない。イエレン議長は年内と言 いながら、「それはデータによる」と言う。数日前フィラデルフィア連銀総裁が投票権を持つ自分は「9月利上げに賛成する」とウォールストリート・ジャーナ ルに述べたことからNY株価の下げが続き世界中の株価が下がっている。

バーナンキ前議長もイエレン現議長、日銀の黒田総裁、欧州中央銀行のドラギ総裁も緩和政策の目標は緩和なしに経済成長出来る自律経済回復であり、アメリカの場合失業率6%以下、それに物価上昇率ターゲットはともに2%を掲げている。

アメリカの本当の消費者物価は年率で0.1%であるが緩和の影響で物価が上がる品目ばかりを採用して割り出したコア(Core)指数は1.3%で、まだ 2%には至っていない。失業率はターゲットの6%以下の5.3%であるが就職活動をあきらめて労働市場から撤退した本当の失業者を除いた失業者数を就業者 数で割った数字。実際のアメリカの失業率は11%以上で、オバマ政権が始まった2009年から全く改善されていない。

原油価格が7月からの20%下落しガソリン代をはじめ物価が下がっている。

物価が下がり始めると消費者は買い控えるので消費が下降線になってきた。

当然企業の設備投資も止まり、賃金も下がり始めた。

こうしたアメリカの本当の経済ファンダメンタルズを一番よく知っているFRBは何故悪いものを良く見せようとするのだろうか。

では2014年10月FRBが緩和政策終了を発表してから、アメリカ以外の国々、特に日本、中国、東南アジア、ブラジルなど中南米の発展途上国に何が起き たのだろうか。2014年10月以来円は対ドルで40%も下落、他の国々の通貨もすべて下落し、世界の資金がアメリカに一極集中している。日本や欧州の緩 和資金がNYに押し寄せ米債券、株式、不動産の価格を押し上げている。

一国の中央銀行の任務は物価安定、失業率、国家財政支援(国債購入)などがあるが不文律の最大使命がある。それは他国の資金を自国へ呼び込み他国の資金の 自由裁量権を握ることである。これでFRBの「利上げ模索」が実はNYに溜まった外国資金を半減させて帰国させるための「暴落の模索」であることが分かっ たはず。自律経済にとっての主役は財政政策であって金融政策は脇役でしかない。では何故明けても暮れてもFBR、日銀、欧州中央銀行なのか。

これを国民と投資家に対する「目くらまし戦略」と言う。

国家経済・財政にとっての死活問題を隠すためである。

イラク核合意が、5年後イスラエルがテヘランを火の海にする第一関門であったり、とかくこの世は分からない。「小冊子」(Vol.71)を読むとすべてが「すっきり」する。

第1005号(2015年8月12日

「ここ一番!」ワールド・レポート第一部と第二部

世界の政治・経済の180度転換目前!

国連安全保障常任理事国(核保有5カ国)と核を持たないドイツの6カ国とイランとの核関連合意が7月14日に発表されたが、この合意の意味は甚大である。 本合意により中東のアメリカの同盟国、サウジアラビアやカタール、アラブ首長国等は今後必ずしもアメリカとの同盟関係を維持する必要がなくなった。

アメリカにとって中東最大の問題はイラク内戦とこれに関連したISIS(イスラム国)である。本合意で両問題をイラン主導で解決させようという6カ国の意 志が明確になった。今までシリア政府軍に対抗するためアメリカと共にサウジ等中東のアメリカの同盟国はISISをはじめ対シリア反政府組織を支援してきた がイランのシリア支援が続く限りアサド政権打倒は不可能であることが分かった。

一方ISISは勢力を急拡大、イラク政府軍とイラン派遣シーア派民兵は苦戦を強いられ、さらにサウジに対してまで攻撃を仕掛けるに至った。

今回のイラン核関連合意の盲点はIAEA(国際原子力機関)がイランの主権不侵害のため軍事施設を完全に査察出来ない点である。イランは6カ国との交渉が 始まる前から核弾頭を製造するのに必要な約3,000の核濃縮機を軍事施設に移動している。イランはこの事実隠ぺいに成功と思い、アメリカは知らぬ振りを したのが今回の合意。イランが5年後に相当数の核弾頭を保有することは確実でイスラエルはイランの核保有の証拠を公表してイランの総ての核施設と軍事施設 を空爆する。テヘランが火の海になる前の5年間にイランの経済制裁を解除し中東におけるイラン勢力の拡大を図りイラン主導でシリア内戦とISISを壊滅さ せようというのが今回のイラン核関連合意におけるアメリカの真の狙いである。

現にイランは核合意後サウジや他のアラブ諸国とシリアとの和平条件に付き打診を開始、イランは近々国連安全保障理事会にシリア和平案を提出する予定であ る。アメリカと共に今までイランを敵視してきたサウジと他のアラブ諸国はアメリカの意向に従いイラン主導のサウド政権温存の下でのシリア和平案を飲む予定 である。サウド政権敵視のトルコは自国人口の20%12を占めるクルード族が政権最大の不安定要因なのでアメリカがトルコの対クルード族弾圧を黙認する条 件でイランのシリア和平案に従う。イランの軍事力を支えているのはロシアであり、経済制裁下のイラン経済を支えたのは中国であるから中東におけるイラン勢 力拡大はロシアと中国にとって好ましいことである。すでにサウジアラビアはロシアと中国に接近、中国向け原油輸出代金はドルから人民元に切り替える予定で ある。2014年11月27日のOPEC総会においてサウジ主導で原油減産を見送り原油価格を80ドル台から一気に45ドル台に下げたのは、やがて中東産 油国最大の競争相手になるアメリカのシェールガス・オイル生産業を叩く狙いもさることながら、アメリカの中小産油業者の資金調達がジャンクボンドと言われ る信用度の低い社債に依存していることから原油価格暴落で社債金利を高騰させデフォルトに追い込むことで米債券市場を混乱に陥れドル信認を落とすのが真の 狙いである。

私もユダヤ系ロビイストと共に8月24日の防衛会議で米上下両院の三分の二をイラク核関連合意反対に誘導するための考えを述べることになっている。

議会決議は9月後半だが三分の二が合意に反対すると思われオバマ大統領の議会決議に対する拒否権の発動は無効、アメリカだけが対イラン制裁を続けることになる。

欧州、中露がイランとの経済取引にドルを使おうとするとアメリカが制裁中の為NY連銀経由が出来ないからドルは使えず自国通貨になるからドルのシェアが落ちることになる。

ドル価格と反比例する金価格と対イラン制裁解除でイランの原油が市場に出回ることで変わる原油価格について「ここ一番!」の読者と今後の読者に「金価格の 急騰時期」と「原油と資源価格の将来」について二部に分けてワールド・レポートをお送りする。二部のレポートを読めば同時に「NY暴落の時期」も分かる。

第1006号(2015年8月17日号)

「小冊子」(Vol.71)本日入稿

(以前の発表内容と異なります)

「世界通貨戦争特集」と銘打って下記の項目に分けて解説する。

はじめに:本物から偽経済へ

ブレトンウッズ体制(1944年)後のドル基軸と金本位制が1971年8月15日のニクソン・ショックで崩壊し、ペーパーマネー乱発時代に突入、ドルはペ トロダラー(中東原油決済通貨をドルにする)でドル基軸を維持しながら今日のペーパーマネー・バブル時代に至っている様を描き、白川日銀総裁から代わった 黒田総裁はGDP比でFRBの3倍の緩和をしたが物価ターゲットは夢の夢。

何のための、誰のための異次元金融緩和かわかっているのか。

第一章:FRBの利上げの真の狙い

発表されているアメリカ経済のファンダメンタルズは粉飾、バブル景気で景況感を煽っているだけで、実際のデータは不況時のまま。それを百も承知のFRBは何故利上げ(引き締め)をするのか。FRBの隠された緩和と利上げの本音やいかん。

第二章:アメリカのドル防衛は国防

私の友人はCIA、NSA(国家安全保障局)、ペンタゴン(国防総省)の金融関係の戦略顧問。アメリカの安全保障機関(大御所と呼ぶ)は核戦争より通貨戦争に重きを置いている。大御所とFRBとの提携プレーの様を描いた。

第三章:イラン核関連合意に潜む思惑

本合意で中東が平和になるといわれるがはたしてそうか。

アメリカ議会は本合意を批准しない可能性が高く、アメリカの対イラン制裁は続く。そうなるとイラン原油決済通貨、イラン資源開発投資等の決済通貨はドル以外になる。何故米議会はドル防衛に反する決議をするのか、そしてその結果は。

第四章:IMF改革は何をもたらすのか

IMF(国際通貨基金)のSDR(特別引出権)準備通貨への人民元採用を巡って国際世論(G20)、IMF内部の混乱とIMF勧告に従って為替管理方式を 中間値方式(より市場化、より透明性)への変更(8月11日)を人民元の切り下げと騒ぐ愚かさ。ドル安・円高、暴落目前!損時期が決まった!

第五章:10月までの相場の変化

何が上がって、何が下がるか。気が遠くなる儲け方もある!

終わりに:増田俊男の日中同盟の夢

若き日、田中角栄先生に仕えて知った先生の悲願と無念さ、CIAによる殺害。

アメリカが操る日中対立。

どうすればいいのか日本。

最も複雑な時代を一刀両断!

ご期待ください。

第1007号(2015年8月18日号)

「ここ一番!」の読者各位へ

お約束通り、「世界経済スペシャル・レポート」第一弾を本日お送りしました。

「今後のドル・円相場と日本の株価」についてです。

8月11日人民銀行発表の人民元切り下げ騒ぎの誤解、それは掲載した主要通貨のチャートを見れば誤解が解ける。

中国に笑われる日銀の異次元ではなく異常な金融緩和政策、アメリカの意向に反して人民元のSDR準備通貨(ドル、ユーロ、円、ポンド)入りを執拗に支持するIMF専務理事ラガルド、、、、。

9月後半のオバマ・習トップ会談を境に為替、株式、債券市場があらぬ方向へ急カーブ!

年内FRBの利上げがあろうとなかろうと市場の運命は決まった!

イラン核関連合意がそれを保証するかのように、、

第1008号(2015年8月19日号)

「目からウロコのインターネット・セミナー」のリスナー各位

本日インターネット・セミナーにて「今後の金価格の動向」と題して緊急報告を配信しました。

金価格はドルで表示される為ドルの価値と地金の需給によって決まります。

言うまでもなく今日のようにドル価が上がれば金価格は下がります。

実需の大半は中国とインドですが例年通り同じペースで需要は伸びているので世界の産金業の生産量は減っていません。

従って金価格は地金の需給よりドル価の動向に左右されることになります。

7月ニューヨーク金先物市場で金は年初来最安値の1,080ドルまで下げましたが、先々週から急速に上げに転じ1,120ドルまで上げ昨日は1,112ドルでした。

NY金は今週から上げ止まり若干ですが下げに転じています。

振り返ってみると人民銀行が発表した中国の6月現在の金の保有量が2009年の1,054トンから604トン増の1,658トンと市場の予想3,000ト ンを大きく下回ったことと、さらに8月11日人民銀行が人民元の為替管理方式を中間値方式(主要銀行の前日の終値の中間値に市場動向を加味して算出した価 格を翌朝発表する方式)に切り替えたことから人民元が3日連続で4%以上下げたことで金価格は急落しました。

しかし人民銀行の措置は日銀のような通貨安競争ではなく、来るべき人民元がIMF(国際通貨基金)のSDR(特別引出権)準備通貨に入るために為替変動幅 を2%から3%に拡大し、かつ市場性と透明性が高い方式に切り替えた結果に過ぎません。「人民元の切り下げ!」と言って騒ぐほどのことではないのです。

本年8月までの1年間、対ドルで円は40%、ユーロは20%以上、ブラジルなど新興国通貨は軒並みに30%前後下げています。しかも購買力平価で計算すれ ば人民元は1年間で対ドル30%も上昇しているのです。だから人民元が数日間で4%ほど下落したからと言って人民元はまだ高過ぎるのです。

従って今後人民銀行の新為替管理方式採用で市場の圧力が強まるので人民元価格はどうしても下がり続け、逆にドル価を押し上げる圧力になります。

9月にオバマ・習トップ会談がありますが、中国はそれまでは静かにして動きませんが10月から中国のやり方で対ドル通貨戦争に挑んできます。

本日のインターネット・セミナーは10月までと10月以降の金価格、ドル価、株価の動向をタイムリーに助言したつもりです。

私の、ここぞと言う時の「インターネット・セミナー」にもご注目ください。

第1009号(2015年8月24日号)

FRBの利上げ

「暴落ではなく調整」は本日の「ここ一番!」の見出しである。

2015年1月18のニッケイ平均は16,592円であったが6月24日には20,952円となり半年で26.28%上昇、年初来高値を付けた。ところが ニッケイ平均は8月17日までに最高値から450円下がり20,500円、さらに8月21日は19,435円、1日で5%下げた。そして本日先週のシカゴ 先物の終値18,990円まで下げるかどうかというところ。8月21日の「ここ一番!」でNY市場は来週(日本時間25日)からリバウンドするのでニッケ イもやがて20,300円あたりまで戻るから20,200‐100円台で買った人も心配無用と述べた。リバウンドの理由はNYの来週FRB(連邦準備理事 会)から9月利上げは無理、さらに年内利上げも遠のくような発言が出る一方上海総合指数の戻りが早まるからである。

何といってもFRBが利上げ決断のため最も注視しているのが不安定な中国の金融市場(上海総合指数など)と不動産市場で、それが今後アメリカを含む世界経 済にいかなる悪影響を与えるかである。今回の世界的株価中暴落の原因の一つは7月28‐29日のFOMC(連邦公開市場理事会)の議事録からFRBの9月 利上げの確率が高まったことだが、それは中国市場が荒れ始めた8月11日以前ことである。アメリカ経済のファンダメンタルズは依然として良好でアメリカ経 済一人勝ちの感があるが、ドル高で鉱工業生産と輸出が引き続き落ち込んでいる一方で原油価格の下落で世帯の可処分所得が増え消費は伸びている。しかし消費 はドル高メリットで格安になった輸入物資に向かい国内製品は敬遠されている。それでも第2四半期(4‐6月)のGDP(国内総生産)は年率で5%になると 予想される勢いだからFBRの利上げ圧力になる。

私はFRBの利上げには異論がある。FRBの利上げがアメリカ経済次第と言うのは表向きで本音はドル防衛である。利上げをすると言いながら(実際にはしな い)、世界中の通貨を下落させ、緩和資金をアメリカに一極集中させることでドル防衛に努めているのである。そのことは本日発送開始の「小冊子」 (Vol.71)で詳しく説明している。

さらに利上げ無しの表向きの理由が5項目ある。

1.インフレターゲット:ドル高、エネルギーコスト(ガソリン代)安で物価下落が続き2%のターゲットは遠のいている。

2.中国経済:金融・不動産市場の混乱と株価と不動産バブル崩壊で中国の実体経済低迷が鮮明化、アメリカ経済への影響を見極める必要がある。

3.米政府機能停止:2013年にも共和党が国債増発を認めなかった為米連邦政府は約2週 間機能停止になった。本年9月から10月にかけて再び共和党はオバマ政権の国債増発を認めないので政府機能停止が起きる。

そんな時に利上げは出来ない。2013年の場合は利上げどころかFRBは緩和枠を拡大した。

4.現在の失業率はクリントン政権時代に4カ月以上就職出来ない失業者を失業者数から 除く計算方式を取り入れた為失業者が増えるほど統計上失業者が減 ることになる。だから現在の失業率5.3%は捏造同然、むしろ失業保険の申請者数の方が失業の実体を表している。4カ月平均の失業保険申請者数は増加の一 途で危険水域30万人を上まってきた。

5.ドル高が止まらないので大手企業業績が下降している。

以上5項目がFRBに「利上げは、年内はおろか来年もしない」と言う表向きの理由を与えることになる。

日銀、欧州中央銀行の緩和続行が追い風になって日本時間火曜日(25日)からの株式市場は上げ相場に転じるだろう。

私はニッケイが年初来高値を付けたころからしきりに外人のしたたかな戦略について述べてきた。ニッケイが高値追いをした最大の理由は外人のわずかな証拠金 による信用買いで値を上げ、国内投資家の買いを誘ったからで、実は外人は現物を売り続けていた。「外人はやがて徐々に信用買いを信用売り(空売り)に切り 替え一気に叩き売ってくる。だから外人に足をすくわれないように、外人と行動を共にすべきである」と述べた。

今回の中暴落はNY発なので、外人が日本市場で仕掛けたとは考えられないが、結果は同じになった。

今回の下げは8月17日の高値20,500円台から8月21日の19,435円までの下げであったが、今日CME(シカゴ先物市場)のニッケイ先物の終値18,990円まで下がるかどうかである。

いずれにしても21日の本誌で述べ理由で「来週(日本は明日)からリバウンドする」ことは間違いない。

ナンピンのチャンスである。

8月17日から21日の下げは5%、仮に今日18,990円まで下がったとしても17日から7%の下げ。経験則から調整は10%だから、8月17日の20,500 円マイナス200円の20,300円あたりが次の高値だろう。

10月以降の大暴落まで下げ相場が続くのでリバウンド後は毎週上下200円ずつ下げると見ていいだろう。

NY株価と比べると日本市場には日銀とGPIFの買い支えがあるのでリバウンド力は大きいと言える。

今後の世界市場に大きな影響を与える中国経済については本日の「時事直言」をご参照ください。

第1010号(2015年9月2日号)

国家財政健全化不要論

Public(国家等公共機関、以後国家と言う) とPrivate(より高い生活水準を求める個人、企業等民間利益追求機関、以後民間と言う)は利害相反する関係にある。「国家の主権者は国民である」は 民主主義の基本であり民間(国民)と国家は主従関係だから利害相反する。国家は民間から税金を徴収し国民の生活に必要なサービスをする。税金を取る側と取 られる側、サービスをする側とされる側の利害は相反する。民間の経済は生活を維持する上で破綻してはならず民間の財政は健全であるべきである。

国家はすべての面において民間と利害が反するから民間が「健全」になればな「不健全」になるのが本来である。

日本国憲法第25条は、国民が健康で文化的最低限度の生活をすることを保証している民主主義の上で最も価値ある人権保証条項である。

国民の生活水準向上と共に国民の為の福祉予算が増額されるのは当然のこと。

国民の生活水準が向上し国民の現金資産が国家予算の1,500%、GDPの300%の1,500兆円だから国家の負債が増大(約1,200兆円)、財政赤字が毎年増大するのは当然のことである。

国家は民間の為の公共機関であって利益追求機関ではない。

なのに何故国家財政の黒字・赤字の概念と財政健全がまるで国家の義務のようになったのであろうか。

経済成長期時代は民間には経済的余力(糧)があり、税収は民間が国家に求めるサービスを賄うに余りあったから国家財政は黒字を続けた。

その為いつの間にか国家財政の黒字が健全、赤字は不健全という認識になった。

財政健全・不健全の概念が間違いであり不要であることは1971年8月15日アメリカのニクソン大統領がドルと金の交換制を廃止した時認識されるべきこと。

朝鮮戦争、ベトナム戦争を経てアメリカの財政は赤字になりアメリカは35ドルで金1オンスを保証することが出来なくなり、ニクソン・ショック以降必要に応じて何の物的担保も保証もないドルを連続発行している。

結果アメリカは世界最大の債務国になり18兆ドルの国家負債の返済めどは全くなく、毎年赤字国債(債務を払う為の融通手形)の上限を拡げ続けている。

日本の場合はアメリカの債務がGDP比約100%なのに240%で毎年40‐50兆円の赤字国債を発行し続けている。

だから米国債も日本国債も潜在的破綻国債だが返済期日が来ると赤字国債を発行して返済しているから実際に国債不履行になったことはない。

実はニクソン・ショックから44年も経った今日、財政健全化とか財政破綻などと言う言葉があること自体不自然と言うべきなのである。

今日のカネがモノを言う資本主義の時代において日本人は世界一幸せであると言われるのは国民がGDPの300%もの現金を持っているからである。

そんな国は世界中どこにもない。

当然のことながら日本の国民と利害が相反する日本国家はGDP比240%と言う天文学的債務国である。

民主主義の価値観からすれば日本は世界で最も優れた民主国家と言える。

必要に応じて自国通貨を刷り続けるのが国民の為の優れた国家である。

「そんなことをしたら自国通貨の信用が地に落ちる」と言うだろうが、負債返済のための赤字国債も必要の内、緩和資金で得た不労所得で贅沢をして経済成長に貢献するのも必要の内、それが何であれ新たに発行する通貨に必要性がある限り通貨の価値は落ちるが信用は落ちない。

10月以降の株価暴落に財政問題は関係しないとだけ言っておく。

第1011号(2015年9月7日号)

世界政治・経済大変動夜明け前

マスコミや自らの情報収集で得た世界観はあくまでも「表面」でしかない。

「表面」とは「誰かが何か理由で行動、または行動しようとする」結果であって、終わったことを知っても仕方がない。

神は人間を支配者(王様)と被支配者(奴隷)に分けた。

人間のDNAを支配者型と被支配者型に分けたのである。

古代において、預言者は王に助言し、事実上支配したのである。

世界の政治・経済の支配者を支配者にならしめている現在版預言者は、政治指導者に世界の政治・経済支配の道筋を説き、指導者の行動を指導する者である。

私は過去の「小冊子」で何度か述べた通り、不思議な縁でビルダーバーグの長老や11世紀から脈々と目に見えぬ勢力を維持・拡大している欧州貴族の重要人物とも知り合いになり、ことあるごとに親交を深めている。

ホワイトハウス、国際通貨発行元のFRB(連邦準備理事会)、EU(欧州委員会)、ECB(欧州中央銀行)、IMF(国際通貨基金)、世界銀行等々はすべて表面としての結果を出す機関であり、裏では(本当のところは)預言者の指示に従っていることが分かった。

預言者のメンバーはアメリカの国家予算を払えるほどの財閥から、アメリカの議会、ホワイトハウス、英国議会、英国政府に大きな影響力を持つ者、欧州連合の生みの親など正に世界の政治・経済の「裏」を支える人物ばかりだ。

「ビル・ゲイツ君より君の方が物分かりが速いようだね」とビルダーバーグの長老H氏に言われたことがあってから、メンバー並に相手にされるのは必ずしも資産や政治力だけではないと思うようになった。

いずれにしても「世界政治・経済の気象予報官」として、目前に迫っている「世界政治・経済大地震と津波」の予告を発信することにした。

8月14日以来世界中の株式市場が暴落し、戻りと再暴落を繰り返しているが、市場が大混乱を起こしているのも理由があってのこと。

中でも「備えあれば憂いなし」の章は必読でしょう。

第1012号(2015年9月8日号)

ワールド・スぺシャル・レポート第二弾

「ここ一番!」の読者の皆様の特典として8月18日「ワールド・スペシャル・レポート第一弾」をお送りしたが、いかがでしたでしょうか。

明日(9月9日)第二弾をお送りすることにいたしました。

第一弾でIMF(国際通貨基金)の拒否権を持つアメリカは人民元の年内SDR(特別引出権)パッケージ通貨(ドル、ユーロ、円、ポンド)入りを認めざるを得なくなるだろうと述べましたが、やはりアメリカは狡猾な手を打って人民元のSDR入りを阻止してきました。

人民元SDR入りを望むIMFラガルド専務理事の裏をかいた上、FRB(連邦準備理事会)ご用係のヘッジファンドを使って上海総合指数を暴落させ中国当局 を市場介入に追い込んでおいて人民銀行がSDR参入条件の金融市場自由化の原則に反する行為をしたとして人民元年内SDR通貨入りを葬りました。

中国人民銀行(中央銀行)は5月に訪中した人民元SDR通貨入りの為のIMF調査団の勧告に従って主要銀行の人民元の対ドル終値の中間値を基準通貨にする方式に切り替え、変動幅も2%から3%に拡大し、金融政策の市場化に努め年内SDR通貨入りの準備を進めていました。

人民元はドルにペッグしていたので、ここ一年間円やユーロその他の通貨が対ドルで20‐40%下落したのに人民元は全く下落しませんでした。

つまり8月11日、新為替管理方式に移行した時点で人民元は対ドルで主要国際通貨と比較して約30%も高過ぎの状態でした。

新為替管理方式移行後人民元は対ドルで4%下落しましたが、これは市場による高過ぎた人民元の調整であってさらに下落の余地を残しています。

今回の人民元の急落は人民銀行による「切り下げ」ではなく人民銀行の為替管理方式が一段と市場化したための結果でしかありません。

しかしアメリカの情報操作に常に無抵抗な世界のマスコミは、「人民銀行の人民元切り下げ」と大々的に報道し、中国政府による市場の自由を阻害する政治介入だとの市場認識に誘導しました。

これで「中国が自ら墓穴を掘った」形にして人民元の年内SDR入りにストップをかけドル防衛を果たしたのでした。

私は生粋の日本人ですが実は稀に見る「突然変異」でしてユダヤ人のDNAを兼ね備えているようなのでアメリカ議会をコントロールしているユダヤ系ロビイストやシンクタンクと気が合いメンバーに加えていただいています。

おかげで「アメリカの本音」が手に取るようにわかるようになりました。

明日「ここ一番!」の読者の特典としてお送りする「ワールド・スペシャル・レポート第二弾」は、アメリカが政治的敵国ロシアにシリア内戦終結を依頼し、ア メリカにとって36年来のならず者国であったイランの制裁を解除し、こともあろうに中東の秩序を任せようとするなど常識では考えられない行動の真意を明か します。

8月11日(人民銀行の為替管理方式変更)以来の世界の株式市場の暴落と乱高下にも隠された理由があります。

第1013号(2015年9月18日号)

「小冊子」(Vol.72)入稿

インサイダー情報

ワシントンD.C.での防衛会議、ロンドンでのEC(ヨーロッパ委員会)とBOE(バンク・オブ・イングランド)のエージェントとの会合、ジュネーブ(ス イス)での貴族会、モナコでの金融サミットなど目まぐるしい毎日だか、やっと「小冊子」(Vol.72)の原稿を書き終えた。

安倍内閣が再軍備を急がねばならないのは何故か、オバマ政権が中国の強引とも言えるアジア覇権に口は出しても行動しない理由、中国の尖閣諸島攻略、日中中間線での武装化が迫る中で何故アメリカは沖縄から撤退するのか、

アメリカはブッシュ政権の2003年3月17日バクダッド火の海作戦からイラク、アフガニスタンから全軍撤退までに200兆円相当と4,000人を超える 犠牲を出したが、中東戦争で常にアメリカの敵を支援してきたイラン革命以来36年間アメリカの宿敵であったイランと核合意(7月14日)を結び、今後の中 東の秩序をイランに任せようとしている。これは一体どういうことなのか。

クリミア併合、ウクライナ東部制圧とロシアの東欧への侵攻は日増しにエスカレートしているが、ポロシェンコ大統領(ウクライナ)の訪米、直談判にオバマ大統領はソッポ。オバマ政権はまるでロシアを支援しているかにさえ見える。何故か。

日本の真珠湾攻撃の真相を明らかにすることで誰にでも納得出来るよう「信じられないようなアメリカの真意」を分かりやすく解説しました。

また目前に迫った二種類のNY株式市場の大暴落について述べました。

一つは循環調整型暴落、他は資本主義制度の構造型暴落です。

どちらもFRB(連邦準備理事会)がセットし、近々実行に移されます。

現在「目が覚める逆境投資戦略」という題名で市場動乱時代を勝ち抜く投資指導書の執筆中です。

オバマ・習近平首脳会談(9月25日)は私が考えている通りの「裏取引」があるはずですが、これを確かめた上で書き上げるつもりです。

遅くとも9月30日には出来ると思います。

第1014号(2015年9月25日号)

グローバル市場主義時代の終わりの始まり

資本主義思想に基づく自由主義国家体制と市場主義経済が終焉を迎えようとしている。

欧州経済圏に見られるように、先進国の生活水準はピークに達し新たな需要は生まれ難く、新たな投資も不要、資本需要はゼロどころか経済規模(GDP)マイ ナス化に伴い先進国ではマイナス金利が定着しはじめた。2008年9月のリーマン・ブラザーズ破綻が引き金となった金融市場の大暴落で不況に陥った世界経 済不況回復の為世界の基軸通貨の自由裁量権を持つFRBは三次にわたる大規模な金融緩和を敢行、4兆ドル相当の通貨増刷による国債購入を続け、他の先進国 中央銀行もFRBに追従した。BOJ(日本銀行)もECB(欧州中央銀行)も緩和目標を物価上昇率2%としたが現在いずれも目標達成は困難な状況である。 物価上昇はモノとサービスの需給で決まるのが本来であるのに通貨増発で通貨価値(購買力)を下げ、見せかけだけの物価を上げようとするのが緩和政策であ る。緩和でどんなに市場に資金を注ぎ込んでも資本は資本需要のない経済には回らず、限りなく掛け金を増やしたがるカジノのプレイヤーよろしく緩和資金は金 融市場と不動産市場へ向かった。

こうした先進国が専念してきた市場主義的、賭博的経済運営方法に対して久しぶりに国民がノーを突きつけた光景が私の目に留まった。

それは9月12日に行われた英国の労働党の党首選挙である。Mr. Jeremy Corbyn(ジェレミー・コルビン)氏が4人の候補中で59.5%(他は19%、17%、4.5%)という圧倒的勝利をおさめて党首に選ばれた。コルビ ン氏は共和党系メディアに狂気扱いされたり、同じ労働党のブレア元首相、ブラウン元首相など党の大物から「コルビンが党首になったら労働党は終わりだ」な ど反対された中での大勝利であった。私が注目したのはコービン氏の主張である。現保守党の政策を非難して、「緊縮財政政策中止」、「社会福祉増強」、「富 裕層と企業への増税」、「貧困層の為の家賃支援」、「中央銀行の対政治独立制廃止」などを労働党の公約として主張すべきだと訴えた。氏が経済政策の基本と して盛んに主張したのは、今まで労働・保守両党が超党派で進めてきた「市場主義経済政策」の否定である。政治政策で注目を集めたのは「NATO離脱」、パ レスチナ侵攻を続けるイスラエル支援停止と「「シリア空爆停止」で欧州に押し寄せる「難民に歯止めをかける」などと「アメリカ追従からの脱却」を強調し た。

今回の党首選挙は3ポンド払えば誰でも投票できる新制度を導入したので有権者の真剣さが従来と異なり国民の民意がよく表れたとされる。

私は最近の著書(小冊子Vo.72のこと)で、資本需要がマイナスになるようでは資本主義は機能しない。今世界経済にとって必要なことは安易な緩和政策で 膨れ上がった金融・不動産資産のぜい肉を切り落とし、骨と必要最小限の筋肉の体に戻すことだ、安易な緩和政策とは逆に、利上げ、通貨高、デフレ政策で金 融・不動産市場を暴落に誘導、経済規模縮小とリストラ敢行の時が来ていると述べた。増え続ける借金と膨張し続ける肥満体。心臓麻痺であの世に行くか、それ とも血は流れるがぜい肉を切り落とすか。

さあ、どうする。

増田俊男からの天の声でした。

第1015号(2015年10月1日号)

米中首脳会談裏話決裂の結果

新しい二大国関係、南沙諸島周辺の軍用滑走路、サイバー問題、環境問題等々の議題は新しい米中大国関係以外は表向きで肝心なことは別にあった。

米中大国関係は米国が準備不足である為「前向きに進める」ことを確認しただけにとどまった。(準備とは日本の再軍備とアジア・太平洋の米同盟国を日本主導で対中軍事同盟化して中国の対米有利を去勢すること)

中国の軍事力は2020年には米国に追いつき追い越し、GDPはすでに購買力平価では米中は肩を並べているから、もし現段階でアジア・太平洋の秩序を米中の責任下にすると年々米中の力のバランスが中国寄りに傾きやがて中国優勢となる。

中国が主張する米中大国関係は、ブッシュ政権などと異なりオバマ政権は一貫して「弱腰外交」なので残り1年半の政権寿命内にアジア・太平洋に可能な限り覇 権を拡大するための歯止めなので中国としては出来るだけ早く合意したいところ。アメリカが中国に臨むことは、FRBが過剰に抱え込んだ3.5兆ドル(約 400兆円)の処分(FRBバランスシートの正常化)である。

中国は8月11日、より市場化した新しい為替管理方式を発表したが、米国に人民元切り下げだとプロパガンダされ人民元が急落(4%)した。市場の人民元売 り圧力に対抗するため人民銀行は外貨準備のドル債券を売って人民元を買い支えている。その為8月から1,000億ドル(約12兆円)以上の米債が売られ た。

中国はロシアと共にゆくゆくは米ドルを国際市場から追い出そうとしていることを知って米国が警戒している最中の対中米国債買いの要望だった

一方中国はIMFのSDR通貨入りを切望しているがIMF決議に拒否権を持つ米国は5年にわたって反対してきた。

取引は「中国が今後米国債売りを止めて逆に買えば米国は人民元のSDR入りに反対しない」というもの。

中国はIMFの指導の下で着実に市場の自由化を進めているし、預金金利も年内に自由化する。今直ぐ金融市場を自由化すると、8月11日に米系ヘッジファンドに上海総合が売り叩かれたように米国に中国市場をコントロールされることになるので好ましくない。

IMFは諸般の事情を考慮して人民元のSDR入りの協議を来年の9月に延ばした。上海総合などは個人投資家が大半で規模が小さく、外資に狙われやすいので来年9月までに公的機関や大手国営企業などを参加させ外資の攻撃に対し国家が関与しなくても耐えられる市場にする予定。

「米中裏会談」で中国は人民元に関しては「米国なんか怖く無い」と言う中国の自信を示したことになった。

結果FRBは3.5 兆ドルを何とかさばかなくてはならなくなり、まずは何でもOKの日本に4分の一を押し付け、他は世界に強制的(利上げにより)に買わせることになる。

10月末のFOMCまでに方針が決まれば、昨年10月末に日銀に追加緩和(80兆円)をさせ、直後に緩和出口を発表したと同じ事(今度は利上げ)をする可能性が高い。米国経済、又世界経済がどうであれ、FRBのバランスシートの正常化が最優先である

FRBが10月利上げなら日銀は追加緩和で再び円安・ドル高・株高。

12月なら、それまでは現状維持相場。

「FRBの利上げは年内も来年もない」と言ったが中国が人民元価維持の為とドル市場縮小の為米債売りを続けるならFRBも背に腹は代えられない。

第1016号(2015年10月5日号)

またもやFRBと日銀の連携プレイ

アメリカ経済はピークアウト(頂点に達した)の観がある。

アメリカの失業率は最低(5.1%)で完全雇用に接近、平均世帯所得は年換算$55,794で2008年来最高、新築住宅件数は55.2万件(8月)で過去最高、自動車の販売台数は年換算$18.2M=1,820万台で過去最高。

先週金曜日に発表された雇用統計で8月が下方修正、さらに9月が20万人の予想に反し14.2万人であった為NYダウは前場で258ドル下げたが後場で460ドルも急騰し200ドルのプラスで終わった。

失業率は前回と変わらず5.1%であったことからNY株価急騰は雇用が減り始めたのは完全雇用に接近してきたサイン(兆し)と市場が受け止めたからと考えられる。

完全雇用、企業好業績、消費続伸、これに市場安定が加わればFRBの10月利上げの条件が揃う。

8月以来の市場の混乱は中国経済の為ばかりではなくイエレンFRB議長の発言の「曖昧さ」と「ブレ」にある。

9/17のFOMCで中国経済悪化やアメリカ以外の経済状況から「年内利上げ無し」と市場を思わせたと思いきや会合後は「年内利上げ確実」と発言する。

これ以上の市場の混乱を避けるためにもFRBはアメリカ経済がピークに達している今こそ絶好の利上げチャンスだろう。

FRBは他の政治的理由からも利上げを迫られている。

FRBはバランスシート(BS)の正常化の為2020年までに少なくとも3.5兆ドル(420兆円)の米国債を減らす必要がある。

方法は二つか、その両方:利上げで世界の外貨準備を米国債買い(自国債券売り)に向かわせるか、米国債最大の保有国の中国と日本に(政治的に)追加保有を 求めるかである。米中首脳会談で期待の中国にアメリカの要求(米国債買い)を蹴られたので何でもOKの日本(日銀)に頼むしかなくなっている。

日銀はすでに総発行国債の30%も保有し、邦銀や公的機関は国債保有高は適正保有高を割るところまで来ているので追加緩和による国債買いは難しくなっている。

IMFは日銀に追加緩和を求めているが、要は「米国債を買ってやれ」というメッセージに他ならない。

本日の「ここ一番!」でも述べたが、安倍内閣改造人事(7日)に伴う新型三本の矢の宣伝効果を上げるため、日本郵政グループ上場(11月4日)を大成功に誘導、一気に株価を上昇させる必要上安倍内閣は日銀に追加緩和(30日)を強く求めている。

2013年4月4日の異次元金融緩和額は120兆円、緩和額年80兆円でスタートした。2014年10月31日の追加緩和は、1年半で120兆円を使い果 たしたのでさらに1年分として80兆円の追加をしたに過ぎない。まるで突然の追加緩和として市場が大ショックを受けたのは黒田総裁の自作自演に過ぎず、実 は通常の手続。本年10月30日で昨年10月の追加分80兆円がなくなるのでもう80兆円追加するのは既定の方針だが、買うのはFRBの要求通り米国債!

日銀は日本ではなくFRB(アメリカ)の日本支社であることをお忘れなく。

*FRB、ECBと日銀のバランスシート劣化と正常化の可能性については明日の「ここ一番」で特集します。

第1017号(2015年10月7日号)

「見えるモノ」は「見えないモノ」で決まる

国境なき医師団の病院が米空軍によって爆撃された 映像や爆撃した米軍機、爆撃を指示した指揮官、ロケット弾の引き金を引いた軍人は音入りの映像で見ることが出来る。米軍機には病院、米軍や同盟軍施設など 攻撃禁止施設等地点が明示され攻撃目標になることは絶対にない。米国防長官は「誤爆」を認め厳正な調査をするというが、「見えない真実」は「見えない人」 によって創られた。

「見えない人」によって攻撃された病院が非攻撃ポイントから外され、攻撃目標にされた。それは「オバマ政権は国防総省(Pentagon) と中央情報局(CIA)と対立関係にある」という事実から明らかである。オバマ大統領はPentagonとCIAがアメリカの軍産複合体の傀儡であり、 9/11から始まった中東戦争は軍産複合体の利益の為であったことを大統領になる前から知っていた。だからオバマ大統領は就任早々全米軍の中東からの撤退 を決めたのである。2005年CIAとPentagonの支援によりイラク北部で組織されたIS(イスラム国)はCIAの軍事・経済支援で中東最大の超過 激軍事組織になりシリア、イラク、イエメン等ロシアのバックでイランが支援するシーア派国(アメリカの同盟国サウジ等有志連合スンニ派国群の敵)に攻撃を 掛け、イランはシーア派民兵軍をシリア、イラク等へ送り込みISと対抗してきた。オバマ大統領はCIAとPentagonがISを使ってシリア内戦と中東 内戦(シーア派とスンニ派)を激化させているのは軍産複合体の武器市場拡大以外の何物でもないことを百も承知していたので中東で戦闘を拡大(武器市場拡 大)しているIS撲滅しかないと考えCNNを使ってISの非人道的映像を世界中に流し国際社会を味方につけ米軍に「IS撲滅」を命令したのである。私も Capitol Hillsの防衛会議で見たことがあるが、CIAと米軍は軍事監視衛星、ドローンとスパイ活動でISの動きは秒単位で把握している。だから米軍にとって 「IS撲滅は3日仕事」であることを我々アドバイザーたちは誰でも知っているし、イランもロシアも知っている。米軍がISを空爆する前にCIAがISに空 爆地点を連絡するのでいくら米軍が空爆しても何の効果もなくオバマ大統領のIS撲滅命令後今日の1年半でISの勢力範囲は中東全土に拡大。

そこで業を煮やしたオバマ大統領は10月2日の国連総会の前にプーチン大統領に電話でシリア内戦終結に協力を求めたのである。(プーチン大統領はそうなる ことは3月に知らされていたので準備完了していた)「ロシア軍はISだけでなくアメリカが支援している他の軍事組織も攻撃している」とオバマ大統領はロシ ア軍の行動を非難しているが、イラン核合意(7月14日)で対イラン経済制裁を解くことでイランの中東軍事活動を支援し、さらにロシア(とイラン)にIS 撲滅を頼んだことの言い訳に過ぎない。ロシア軍の空爆とシーア派民兵とイラン正規軍の地上軍の連携でISは2カ月以内に壊滅する。IS壊滅後の中東はアサ ド政権存続で、イランとロシア主導でシリア、イラクを含めたシーア派が制し、これにアメリカ支援、サウジ主導のスンニ派有志連合が対抗する新しい中東覇権 抗争体制となる。軍産複合体の傀儡CIAとPentagonは米軍の中東撤退(兵器需要縮小)を阻止するためロシア空爆予定地域に米軍の一部を移動しアメ リカ兵がロシア空軍に惨殺された映像を作るはずである。(真珠湾攻撃の際老朽船に残されて殺された米兵2,200名の映像が国民世論を対日戦争に駆り立て たのと同じ)米空軍の国境なき医師団攻撃で国際非難の真っただ中でアメリカを最悪の事態に陥れた方がロシア軍によるアメリカ兵惨殺の映像効果は飛躍的に大 きくなり、オバマ大統領の米軍中東撤退などとんでもないということになる。小国の内戦より中東二分の大戦のほうが武器市場は大きくなる。オバマ大統領と言 えども「死の商人」(戦争商人)には無力であるということ。

今回の「小冊子」(Vol.73)では上記のように「全く見えない観点」から「世界の心臓と血管」の通貨戦争を描くことにした。

第1018号(2015年10月9日号)

TPP(環太平洋経済連携協定)と安保法制

TPPの交渉が始まった当初、参加国は豪州、 ニュージーランド、周辺の中小国で日本は入っていなかった。日本は3年前から急に参加を決め最も熱心に合意を目指した。今回の大筋合意は甘利担当大臣の強 い意志とイニシアチブで妥協出来たと言っても過言ではない。言うまでもなくTPPは世界貿易の40%を占める世界最大の重貿易圏の構築であり、オバマ大統 領が「中国などではなく我々が世界経済のルールを作るのだ」と言うようにアメリカに代わって世界の経済覇権を狙う中国を意識していることは確かである。つ まりTPPはアメリカのドル市場拡大の為であり、アメリカの一極経済覇権に挑戦する中・露を意識したアメリカの経済覇権の再構築である。アメリカは、日本 経済がアメリカより中国に大きく依存していることから当初から日本をTPPメンバーとして考えず「中立的存在」としていた。

戦後日本を対米属国化した政治的理由は米ソ冷戦の為であって、今日のようにアメリカ自身が世界覇権の多極化を推進している時アメリカ追従を求め続ける日本 はアメリカにとって迷惑なのである。ちょうど今中東での米単独覇権が崩れロシア・イランに移ろうとしているように戦後から続いた米単独覇権はアメリカ、中 国、ロシア、欧州との間の地政学的力学の葛藤で急速に覇権の多様化が進んでいる。日本は集団的自衛権強化と安全法制で積極的に米軍の傘下になろうとすると 同時に積極的TPP推進で経済的にもアメリカ主導経済圏従属を求める。まるで執拗にアメリカを追う日本、逃げるアメリカの姿である。

日本の官僚が政治を支配し官僚国日本を永続させるためには「虎(米国)の威を借る狐(官僚)」でなくてはならず、どこまでもアメリカの属国になろうとする。

来週私はアメリカの民主党と共和党大統領候補等の大物に会いTPPについて私の意見を述べる。「域内無関税を求める前に域内の為替管理方式を決めるべき」 が私の意見。いくら域内各国の関税率を決めても黒田日銀のようなGDP比75%(FRB22%、ECB18%)の通貨安政策で対象品目の競争力を操作され たのでは機能しない。又CIAやNSA(国家安全保障局)の幹部と会ってシリア内戦終結後の戦略等について話し合う予定。民主党ヒラリー候補も他の有力な 民主党の大物たちもTPP反対、共和党は100%反対で議会全体の90%は反対だからオバマ大統領の拒否権も効かずアメリカのTPP批准はあり得ない。ア メリカのTPP批准が無ければアジアと世界の草木はどこへ向かって流れるのだろうか。

「慌てる乞食は貰いが少ない」!

第1019号(2015年10月14日号)

「インドネシア高速鉄道受注ならず」が物語る

次回の「小冊子」(Vol.73)の原稿が数日中に書き上がる。

下記は原稿の一部である:

「インドネシアの高速鉄道日本受注間違いなし」と誰しも信じて疑わなかっただろう。40年間にわたる日本の対インドネシアODA援助は世界最大。

当の高速鉄道計画はJICA(国際協力機構)が2013年から計画してきた経緯があり、日本の手であらゆる調査が行われていた。ジョコ・ウィドド大統領 (2014年10月20日就任)は3月22日から25日まで国賓として来日、天皇陛下会見、昼食を共にされるなどの歓待、さらに安倍首相は1,400億円 の低利借款を約束する等で日本は入札結果を待った。ところが9月末大統領使者が訪日、すべての入札を白紙に戻すと通達。その後中国が落札したことが知らさ れた。

私は日本の敗退は「中国とインドネシアは同じ靴を履いて共に前進することが出来たのに、日本には共通の靴が無く、靴紐を上手に結ぶしか能がなかったから だ」と述べた。「虎(米国)の威を借る狐(官僚)」の官僚国家日本は独立国家ではないから他国のように「国の指針」も「国際戦略」もあり得ない。靴が無け れば靴は履けない。中国は「新シルクロード計画」という中国を起点に中央アジアから欧州に至る陸路と中国沿岸から中東に至る海路を結ぶ一大経済圏計画を推 進している。一方ジョコ大統領は自国を「海洋の中軸」とする海洋国家を目指し、マラッカ海峡周辺のインフラ整備が急務となっているが双子の赤字で困ってい た。中国の新シルクロード計画はジョコ大統領にとって「渡りに船」であった。

新シルクロード基金は人民銀行の所轄。小林総裁はジョコ大統領に「一切貴国に負担を掛けず、高速鉄道に限らず、あらゆる周辺インフラ整備も我が国の政府系 ファンドに出資させる。我が国の援助で貴国のGDPが伸び、やがてアジアの海洋大国になってから払って下さい。我々は貴国財政が大黒字になって資金の使い 道がなくなるまで支援しますから大船に乗ったつもりでいて下さい」と言ったらジョコ大統領は長い間泣いていたと私の友人(Mr. Q=南加州大教授、将来天津市又は上海市長に嘱望されている)が言っていた。

Q氏の口癖は「援助するなら援助せよ、決して援助と言う名の搾取をしてはならない」である。

IMF(国際通貨基金)、World Bank(世界銀行)、ADB(アジア開発銀行)等アメリカ主導の国際金融体制がどんな援助をしてきたかは2010年以来のトロイカ(IMF、EU、EC)がギリシャにどんな支援をしたかを見れば分かる。

トロイカは援助(融資)の条件として、緊縮財政、増税、福祉、年金カット、さらに国有財産を凍結した。

チプラス(ギリシャ)首相は、「トロイカは悪徳高利貸しだ。助けるのではなく盗むことを目的としている」と怒りに震えていた。

ギリシャは3月3日締め切りの中国主導のAIIB(アジア・インフラ・投資銀行)にいの一番で申し込んだ。

世界のマネーの流れが「気持ち」で動き出した。

資本主義の歴史始まって以来のことである。

日本も援助の為の援助をしないと今までの援助が無駄になる。

第1020号(2015年10月21日号)

「小冊子」(Vol.73)本日入稿

今回の「小冊子」(Vol.73)の原稿を読み返してみたが、自分で言うのも気が引けるが力作と言える。

夢中で書いているうちに何時もの約2倍の80ページ以上になってしまった。

マスコミ情報をベースの常識ではとても信じられないような記述については事実の裏付けの為公式な表やグラフをふんだんに掲載した。

世界の政治・経済覇権のアメリカ一極から多極化への動き。

TPPと新シルクロード計画で競う米中世界市場のブロック化戦略。

欧州勢のアメリカ離反とロシア接近で目まぐるしく変動する欧州、中東情勢。

変動する世界の政治・経済覇権の中でアメリカにすがる日本と逃げるアメリカ。

第一次アベノミクス「三本の矢」の大失敗を政府の公式データで証明すると同時に第二次「三本の矢」が何故マクロ経済(金融・財政政策)を避け「空想的数 字」(GDP488兆円を600兆円へ、出生率1.4%を1.8%へ等)のオンパレードになったのか、、第一次大失敗の「目くらまし」か。

経済最優先などと言いながら安倍内閣自ら新三本の矢は単に「子供だまし」に過ぎないことを証明している。

国民の総現金資産高1,500兆円の内すでに1,200兆円を国の借金保有で使い果たし、残りは僅か300兆円。このまま年50兆円の政府・地方赤字債を 買い続ければ6年で底をつく。日本の国の借金がほぼ100%国民に保有されているので売られないと言う理由だけで円は世界信用不安時に買われてきたが、そ れも残すところ数年。

オリンピック(2020年)を境に日本の国債はデフォルト(債務不履行)騒ぎになり円は暴落するだろう。

世界の政治・経済覇権が多極化に向かい混乱が続く中で日本の財政破綻日が忍び寄る‐‐‐しかし日本に出来ることはある!

事実をベースに、より良き理解の為かなり「回り道」をしながら変動する世界を掘り下げた。

債券市場が発端で起きる大暴落で「小冊子」の読者を救うためのアドバイスもある。

私の力作、「小冊子」(Vol.73)を繰り返し読むと、はっきりと世界が見えくる。

第1021号(2015年10月22日号)

Manipulation(価格操作・市場操作)

日銀は昨年10月末80兆円の追加緩和を発表、「黒田バズーカ砲」と言われ市場に多大なインパクトを与えた結果対ドルで円は一気に100円台から120円台に急落、株価は円安好感で急騰した。

実は昨年10月の「追加緩和」と言う表現は正しくない。

黒田総裁は「2013年4月4日に発表した年間80兆円の基本緩和量通り向う1年間緩和を継続する」と言うべきであった。

「追加」ではなく「継続」である。

「小冊子」(Vol.73)で政府発表の諸データを基に説明したように、安倍首相が打ち出した「アベノミクス三本の矢」はことごとく失敗に終わった。

「新三本の矢」については昨日の本誌で述べた通り、空想的数字の羅列に過ぎない。

経済成長は二期連続マイナスだからリセッション、鉱工業生産指数予想外の下落、在庫増止まらず、消費減退で日本経済は下降線である。

この状態で政権が唯一国民の支持を得ることが出来るのは「株価のみ」。

昨年10月末の日銀の「緩和継続」の期限が今月10月末で切れるので日銀は次の金融政策決定会合(10月30日)で「追加緩和」ではなく「緩和継続」の発表をする。

しかし黒田総裁は「継続」を「追加」と偽って演出するので、11月4日の日本郵政グループ上場後しばらく株価は上がる。

興味があるのは黒田総裁と政府のManipulation演出効果の賞味期限。

FRBの利上げは今月27‐28日になければ12月末になる。

となると日本株の上げは11月いっぱいと見るべき。

当然日本郵政グループも短期決戦

手持ちの株も、日本郵政グループ株も売り時は11月いっぱいとなる。

第1022号(2015年10月23日号)

オバマ・プーチン阿吽の呼吸

「小冊子」(Vol.73)でオバマ大統領と CIA、ペンタゴン(国防総省)の関係は水と油だと述べ、米軍総司令官であるオバマ大統領が中東の米軍に1年半も前からIS(イスラム国)の壊滅を命じて もISはシリアでの支配地ばかりかイラクまでその勢力範囲を拡大した。私はたびたびキャピトル・ヒルズ(ワシントンDC)の防衛会議で衛星から送られる映 像でISとシリア軍の動きをリアル・タイムで見たことがある。米軍がその気になれば短期間でISを壊滅出来ることは誰にでもわかっている。何故米軍がIS を壊滅出来なかったかの理由は、表向きはISを攻撃しているように見せかけながら、攻撃予定情報をCIAがISに事前に知らせ、かつシリア政府軍の動きを 与えていたからである。

さらに米議会承認のもとにシリア政府軍と戦っていることになっている穏健派シリア自由軍に武器弾薬並びにトルコで兵士の訓練をして支えていることになって いた。実際は武器、兵隊さらに軍資金はトルコからシリアとの国境アレッポに運ばれ東部を支配しているISと西部支配のアルカイダ(ヌスラ戦線)に与えられ ていた。

CIAもペンタゴンもアメリカの軍産複合体の利益代表だからIS強化により中東で戦火が拡大し軍需拡大になれば任務達成となる。

オバマ大統領は大統領選に臨む前から、軍産複合体の利益の為に中東で300兆円以上を使い4,000人以上の米兵と40万人を超える現地人を犠牲にしていることは何としても止めなくてはならないと考えていた。

これがオバマ大統領就任以来のオバマ大統領とCIA、ペンタゴンの相違である。

オバマ大統領は軍産複合体を廃止することは出来ないからISを潰すしかない。ケリー国務長官は年初からプーチン大統領に接しオバマ大統領の立場を説明して きた。プーチン大統領はロシアの兵器市場を中東に拡大するまたとないチャンスと受け止めオバマ大統領が希望する通り国連総会でIS撲滅宣言後翌日(10月 3日)からシリアのアレッポ東部(IS支配)と西部(アルカイダ支配)を重点的に空爆、一方イラン正規軍が陸上に投入された。アレッポが陥落すれば勝負は 着いたことになるアメリカは50万トンの兵器を反シリア穏健組織自由シリアに与えると発表。つまりISとアルカイダに兵器を与えてロシア・イランと戦わ せようということ。ところが10月20日アサド大統領はロシアを訪問、シリア政権存続が確保されたことに感謝した。このことはアレッポのISとアルカイダ が陥落することが確実になったことを意味する。オバマ大統領がアサド政権は認めないと言い、又ロシアがIS以外のシリア反政府軍(アルカイダ)を攻撃して いると批判すると、プーチンは返す刀でアメリカは二枚舌で「裏でISとアルカイダを支援している」と反論した。

もしオバマ大統領がCIAとペンタゴンのダブル・ゲームを批判しようとするなら行動に移る前に消されるだろう。だからオバマ大統領に代わってプーチン大統 領が暴いてくれたのである。ロシア・イランが中東に覇権を伸ばせばロシアの兵器市場が中東に出来ることになる。世界政治の主役は常に兵器産業であって、ど この国であれ政治家は総てプレーヤーでしかないことを知るべきである。

詳しくは80ページ以上に及ぶ「小冊子」(Vol.73)をお読みください。

第1023号(2015年10月26日号)

増田俊男の「ワシントン・レポート」

12月のある日、ワシントンDCのある場所の密室で世界経済を一変させることが決まる。

その後数日間でNY株式市場は、人民元事実上切り下げで起きた8月のパニック以上の暴落に陥るだろう。しかしこれは「小冊子」(Vol.73)で詳しく解 説した2016年夏に起きる、人類が未だ経験したことのない正に「想像を絶した超大暴落」の前兆である。私はFRBとNY市場のインサイダーとも言える 方々と接触し続けている。中東における政治覇権大転換も市場パニックの大きな理由。

FRBが利上げをするのは、来年夏場の大暴落と続くリセッション(不況)が前提となっている。5.1%の失業率や他のファンダメンタルズから判断してアメリカ経済が徐々に回復しているから利上げをするわけではない。

FRBは、9月利上げを見送った理由として世界第二の経済大国の中国や新興国の経済の停滞を挙げたが、本音ではない。

「来るべき不況時の準備」が利上げの本当の理由である。

ゼロ金利(インフレ調整後マイナス金利)の今突然バブル崩壊となったらFRBに一体何が出来るのか。FRBが作った資産バブルは必ず崩壊することが決まっ ているのだから崩壊までに出来る限り金利を上げ、金融政策に「余裕」を持たねばならないのである。来年の大暴落と不況の到来にFRBがかける期待はいろい ろある。

アメリカの世界金融覇権の終焉と中国主導の新国際金融システム、アメリカの中東一極覇権終焉とロシア・イランの中東覇権参入。

戦後1949年中東にイスラエル国が誕生したが、同様にプーチン大統領とシリアのアサド大統領の合意で今シリアとトルコの国境周辺地帯にクルド族国家の準備が始まっている。イスラエル建国の結果、中東に何が起きたかを知れば、クルド国誕生で中東がどうなるかがわかる。

今クルド臨時国家Secretary GeneralのAbdullah Mohtadi氏がワシントンDCに来ていて幸い私は氏と接触、重大な情報を得た。

さらにCIAとペンタゴンのメンバー(私が属するシンクタンク)は「IS壊滅後の中東に平和は無い」と言う。軍産複合体の戦略を反映した言葉である

今や何でも話し合える仲になったJim(本名は言えない)はFRBのインサイダーである。Jimは「日銀とECBに準備させたので12月のX デーに予定通りイベントを実行する。増田さんも準備を怠らないように」と詳しい内容と対策まで話してくれた。

中東覇権転換と国際資金吸収が来年の大暴落最大の理由である。

12月Xデーまで残された時間はあまりない。

今週日本時間10月30日(日銀の緩和続緩決定日)の後、私の判断で「魔の12月Xデーとは何時か」をお知らせし、「何がどうなり、どうしたらいいのか」を詳しく、分かりやすく、増田俊男の「ワシントン・レポート」としてお送りします。

これでお仕事、ご家庭、大事な財産が守られれば喜んでいただけるものと確信しています。

第1024号(2015年10月28日号)

米軍の「航行の自由作戦」

米海軍のイージス駆逐艦が南シナ海の南沙諸島(英 語名スプラトリー諸島)で、中国が埋め立てた複数(元スーピとミスチーフ名の暗礁)の人工島12カイリ(約22キロ)以内の海域を数時間航行した。アメリ カの意図は作戦名の通り、中国が作った人工島周囲12カイリは中国の領海ではなく、航行は自由であることを世界に示す為である。「中国の人工島は元々満ち 潮時には水没する暗礁だから国際法上島ではなく周囲12カイリは領海ではない。」がアメリカの見解。

「現在の人工島は満ち潮時に水没しないから周囲12カイリは中国の領海」は中国の主張。

今から5000年前に栄えた人類最古のメソポタミア文明から今日まで変わらぬ「政治真理」がある。「法は強き者が弱き者を支配する為に存在する」である。 最近の例では日本を侵略国に決めつけた東京裁判(極東国際軍事裁判)がある。アメリカを代表するキーナン検事は「文明に対する宣戦布告」とか「平和に対す る罪」などどこの国にも国際連合にもない「罪」を裁判官達に認めさせた。

勝者(強き者)が敗者(弱者)を裁く法が無ければ法を作ればいい。東京裁判が「勝者が敗者を裁いた裁判」と言われる所以である。

アメリカが中国より強く、中国の人工島を破壊する意志があるなら破壊を正当化する法を作ればいい。ところがアメリカには中国の人工島を破壊する意志は無 く、又破壊を正当化する法も存在しない。アメリカが中国の人工島を破壊出来ないなら、事実上人工島を認めたことになるから中国はアメリカが認めた人工島が 満ち潮時に埋没しないことを証明して人工島が国際法上立派な島であることを主張するだろう。そして国際法上認めるか認めないかはアメリカと中国の優劣で決 まる。

中国国務院の友人の話では中国は今後50以上の人工島を南シナ海と東シナ海に建造し、併せて空母(近々3隻になる)を10隻に増やし太平洋からアジア一帯 を網羅すると言う太平洋からアジアの海で中国は領海拡大続行、アメリカはそれを眺めながら今回のような「嫌がらせ」の続行では対米中国優勢は不動。強い 者は常に「やったもの勝ち」である。今回の米中衝突で「米中二大国関係」が難しくなるという見解があるが、「馬鹿げた見方」である。「小冊子」 (Vol.73)で解説したように、米中二大国関係では中国優勢、アメリカ劣勢が決定的なので、アメリカは日本を再軍備化し、日本にアジア、太平洋の米同 盟国を結集させ対中軍事同盟を主導させることで対中アメリカの劣勢をカバーしようとしている。ところが日本は中国に尖閣諸島を攻撃されるか、北朝鮮のミサ イルが東京のど真ん中に着弾でもしない限り動かない。仕方がなく「航行の自由作戦」に及び、少しでもアメリカの対中劣勢を補おうと言うのが今回の作戦

安倍総理は、すでに中ロ主導の対米軍事同盟、上海協力機構のメンバー国になっている国々に小金を撒いて回っているが、対中「嫌がらせ」に過ぎない。

対中嫌がらせはアメリカがすべきことで日本がすることではない。

こうした時こそ太平洋・アジアのアメリカの同盟国を回って対中警戒態勢の呼びかけでもしていたら「さすがは安倍総理」とアメリカも喜んだだろう。対米軍事同盟国に金を撒きに行くとは、、

第一次安倍内閣時「自由と繁栄の弧」(戦後初めての自主的外交政策)でアメリカと政策のすり合わせもせず勝手に関係国を回ったのでアメリカに叱られ、せっかくの自主外交政策が不発に終わったのを安倍総理はすっかり忘れてしまったようだ。

ボンボン同士の安倍晋三と鳩山由紀夫についての面白い話が「小冊子」(Vol.73)に書いてある。

第1025号(2015年11月2日号)

FRB(連邦準備理事会)の利上げの目的

2008年10月からFRBは緩和政策を始め、2014年10月末を出口としたが、今なおゼロ金利政策は維持しているからFRBはまだ「緩和モード」である。

株価にとって「Bad newsはgood news」であると言ったが、「アメリカの経済ファンダメンタルズが悪くなるとFRBの利上げが遠のくから株価が上がる」と言うカラクリのことである。ア メリカ経済が良くなるとFRBは利上げをするので「引締めモード」となり株価は下がる。このように株価は経済にはかかわりなく中央銀行が「緩和モード」か 「引締めモード」かにかかっている。

私は「ワシントン緊急レポート」で「FRBはアメリカ経済ファンダメンタルズが良かろうと悪かろうと利上げに踏み切る」と述べている。「FRBは恐怖に怯 えながら利上げを延ばしている」のである。利上げの前に「株価暴落、再度リセッション入り」となったら打つ手がなくなるからである。これこそ前FRBバー ナンキ議長が最も恐れていることである。イエレンFRB議長は勿論、全連銀総裁は「アメリカの債券市場、株式市場、さらに不動産市場は必ず崩壊する」こと を百も承知している。株価が高値を回復しいているのにハイイールド債は3%以上下がり、利回りは年初の5.2%から7.98%に上がりさらに上昇の様相で ある。全社債$7.8 trillion (940兆円)の内$2.5 trillion(300兆円)はシェールガス・オイル生産者等ジャンクボンドだが今年47社がすでにデフォルト(債務不履行)、リーマンショック以来最 大規模。大手ファンドは次々に債券市場から撤退しているから、日銀とECBの追加又は緩和連続による買い支えが止まったら万事窮す。12月FRBの利上げ と同時に株価が暴落したところで日銀とECBが追加緩和を行い、株価を上昇気流に乗せながら0.25%の利上げを繰り返し、来るべき大暴落まで利下げの蓄 えをすることになる。ポールソン元財務長官と議会の約束で「今後はリセッションになってもBail out(財政支援)は一切しない」ことになっているのでFRBは緩和が出来る用意しておかねばならない。経済にかかわりなく株価、債券価格、不動産価格は 上がる(上げる)のだから、暴落も経済に関わりなく起きる(起こす)。来年の世紀の暴落を第二の暴落とするなら、第一の暴落は年内だが、アメリカの債券市 場にすでに兆しが見えてきた。

ワシントン緊急レポートの「転ばぬ先の杖」をご参照下さい。

第1026号(2015年11月4日号)

増田俊男の愉快な暴言

1971年8月15日のアメリカのツケを世界が払う時

1971年8月15日のニクソンショックと言われるドル・金交換制廃止以降アメリカは世界通貨であるドルを何の裏付けもなく自由に発行して今日に至る。

ニクソンショック後に発行されたドルは総てアメリカが「稼いだ」金でも、稼いで「貯めた」金でもなく、いわば「無から生まれた」金である。

大量生産されたドルは、1960‐70年代は日本に流入して、日銀にそれに見合った円の増刷を促し、1980年代後半の超バブルに誘導、また最近のリーマ ンショック後2008年以降は中国に流入し、人民銀行の人民元増発による資産バブルを起こさせた。1979年にはほぼゼロであった中国の外貨準備は今日約 $ 4 trillion(480兆円)、これほどのドルが流入したのである。アメリカは成長する国にドルを送り込んでモノを作らせ、買い取る方式を続けて来た。 正にGive and takeであり、その結果は日本や中国にドル資産(アメリカの借金証書=米国債)が溢れることになった。私は「世界の流れが変わりつつある」と言う。

中国経済の方針は外需依存から内需依存に変わり、貯め込んだドル資産を放出し始めた。2014年だけで中国は$ 400 billion(48兆円)のドル資産を減らしている。中国以外のアジア諸国へ流入したドルも次々とアメリカへ帰還している。

今日のドル独歩高はそのためである。QE1からQE3(2014年10月終了)で約$ 4 trillion(480兆円)の米国債を資産に繰り入れたFRBはバランスシートの正常化が必要だと言うことで利上げの準備をしている。発展途上国の多 くはドル建て国債を発行することでドル流入に対応してきたので、ドル高・自国通貨安で返済が困難になりデフォルトが目前に迫っている。

ここで再認識しておかねばならないことはアメリカのFRBは1913年ロスチャイルド家の番頭格であったウィルソンを大統領に当選させて連邦準備制度法を 作らせロスチャイルド系銀行が株主で政府は1株も持たない連邦準備銀行が仕切っていること。さらに私が言いたいのは「FRBは高利貸し」であること。

高利貸しでない金融機関は借主を「成功させる」ことを責務とするが、高利貸しは借主から「奪う」ことを目的とする。

話はFRBの利上げに戻るが、今もしFRBが利上げをしたら、発展途上国の政府・財務省、金融機関はどうなるだろうか。誰かにBail out(救済)してもらわないと「存在の危機」に陥ることになる。では高利貸しはどうする?

「流れが変わる」のは世界の資金だけではない。

「経済主権が高利貸しに流れる」のである。「FRBの利上げはあるでしょうか?」。

「バカな質問をしなさんな」が私の答え。

第1027号(2015年11月6日号)

小冊子Vol.74

先々週から先週にかけての大きな収穫は何といってもクルド自治区の代表になる予定のMr. Abdullah Mohtadiと今後の中東情勢について話せたこと。

さらにFRB、Pentagon、CIAのインサイダーであるMr. James RickardsとFRBが利上げを実行しなくてはならない、経済以外の重要な任務についてお話が聞けたことだ。1995年から人民解放軍軍事科学研究所 で中国はアメリカの政治・経済覇権を終わらせる目的でサイバ―攻撃でアメリカ経済を10日間完全に止める研究を重ね今日まですでに何度も実験をしてきた。 中心人物はW.K将軍。他に金融を武力として使う研究の大家はIMF二番手のDr. M.Z副専務理事である。最近ニューヨーク証券取引所が数時間停止したが原因は分かっていない。

戦後の金本位制時、基軸通貨国アメリカは35ドルと金1オンスとの交換を保証していた為金は国際決済手段にもなり得たことから日本、ドイツ等自由主義陣営 は金のデリバリーの不便さや安全性から外貨準備中の金をFRBの金保管所に預けていた。日本の700トン以上の金は今なおFRBの金保管所に眠っているこ とになっている。ドイツは2012年の段階で1,626トンの金塊をFRBに保管していた。ドイツは将来のドル破綻リスクから保管金全部をドイツへ送り返 すようFRBに要求した。ところがFRBはドイツ銀行に直ぐには無理と通告、FRBとの相談の結果FRBは8年後の2020年12月まで延期を要求した。

現在3年を経過したが、ドイツ銀行は何故か保管分の移動は僅か37%で結構であるとFRBに伝えた。FRBの金保管所にある日本はもとより他国の金は「何 者かに奪われた」のでほとんど残っていないからである。各国の金が無いとなるとFRBの信用は地に落ち、ドルが崩壊し、当然ドイツは言うまでもなく自由主 義諸国の信用喪失、中ロをはじめドルに依存しない諸国を除く全世界経済が破綻する。だからドイツはFRBに出来ない要求はしないことにしたのである。

単純な話だが、バブル崩壊で5,000兆円ほど世界の金融資産が減価する。

資本主義市場はゼロサムだから市場でAが100万円損をすればBが100万円儲かっていなくてはならない。ではバブル崩壊による5,000兆円の損は誰の儲けになったのだろうか。FRBの金保管所からすべての金をだまし取った者。

だから世界は誰かに盗られた5,000兆円を穴埋めするため2008年のリーマンショックから足掛け7年間働き続けなくてはならなかったのである。

誰かさんは、NY市場を見ると金融資産が溜まり過ぎるほど溜まっているのでそろそろいただこうかなと言っている。

支配する者と支配される者、働いて富を創る者と富を奪う者。

そうした世界でアメリカと中国の通貨戦争が中盤戦を迎える。

詳しくは「小冊子」(Vol.74)をご参照下さい。

他人事ではないですよ!

第1028号(2015年11月9日号)

滝つぼは近い!

日本丸という船頭のいない船に乗っている乗客は先が見えない。

空の上から見下ろすと日本丸の行方に滝つぼが見える。

船上では毎日株価が上がって不労所得が入るのでドンチャン騒ぎをしているが、実はお先真っ暗なのだ。

大外堀から言えば、1971年8月15日(ニクソンショック)以来の裏付けなき無価値通貨増発によるバブル経済が終焉しかけている。

内堀から見れば、企業は本業を忘れ財テク(バクチ)と会計操作(ゴマカシ)で出した利益で株価を上げることに専念している。

この世のお偉い人が、「まじめな人」から「スマートな人」に変わった。

スマートな人は、発明、発見、リノベーション、企業構造改革など生産性向上を忘れ去り、ゼロ金利で自社株・債券買いと同業他社を買収してシェアを高めることによる旧態然の商品・サービスの値上げで一株当たりの利益を出して株価を上がる。

不正企業会計、手抜き設計・工事、排気ガス詐欺ソフト等々スマートの化けの皮が剥がれてきた。

日本国債はGDP比240%で返済不能、国民の保有現金資産1,500兆円中1,200兆円はすでに潜在的破綻国債に使用済み、残り300兆円しかないので、借金返済の為の赤字国債(毎年50兆円)が発行出来るのも2021年前半まで。

欧州丸も日本丸を追って滝つぼに向かっている。

世界の中央銀行機能を持つFRB(アメリカ)という悪質な高利貸しがいかに、まだいくらか残っている日欧の資産を奪い、さらに死人の足を引っ張ろうとしている様を如実に描くことにした。

「小冊子」(Vol.74)をお読みください。

第1029号(2015年11月11日号)

正しい経済予測

世界一簡単で、しかも正しい経済予測する人がいる。

残念ながら私ではない。

アナリスト、銀行、証券会社等の経済、市場の専門家でもない。

市場関係者は所詮お囃子か伴奏家以上でも以下でもない。

経済が良くなれば囃し、悪くなれば悪い悪いと騒ぎ立てる。

投資家がお囃子と大騒ぎに巻き込まれたら結果は大損に決まっている。

IMF(国際通貨基金)は2015年の世界経済見通しを3.3%から3.1%に下方修正した。

IMFは世界の資金の動きを掴める立場にあるから世界経済を人間の体とするなら人間の血圧と心臓の鼓動数を計っているようなものだから体、すなわち経済の状態が分かる。

しかし人間(経済)は肉体的「状況」通りに活動するわけではない。

人間(経済)の「行動」を正しくモニターしなくては正しい経済は分からない。

経済専門家、IMF、FRBや日銀より正確に経済を把握出来る人がいる。

それはA.P. Moller-Maersk社というデンマークの世界最大のタンカー会社のCEO Mr. Nils Smedegaard Andersenである。

毎日世界中のあらゆる商品がAndersen氏の船で港から港へ運ばれている。

Maersk社の本年第3四半期の利益は60%マイナス、従業員17%に当たる4,000名がレイオフ、購入予定の船は総てキャンセルした。

Andersen氏がIMFの世界経済見通しについて聞かれると、「楽観的過ぎも甚だしい、一体何を見ているのだ」と吐き捨てたそうだ。

私は「ここ一番!」と「目からウロコのインターネット・セミナー」で、「日本郵政三社の株価が上げ止まったら上げ相場は終わり」と先週から述べてきた。

日本郵政三社の株価が止まった今、「わざわざ日本株を買う人の気が知れない」と言うのが率直なところ。

第1030号(2015年11月18日号)

「小冊子」(Vol.74)本日入稿

「ここ一番!」や「インターネット・セミナー」で「今後はドル安・円高」になると述べ、その理由をいくつか挙げたが、どう考えてもドル安になる理由は見つからないだろう。

今回は今後原油価格が上がると予測しておく。

イランとアメリカを含む6カ国との核合意(7月14日)で11月中に対イラン国際経済制裁が解かれ、いよいよ来年からイランの原油が市場に出回る。

現在のイランの輸出量は一日あたり1.1 million (110万)バーレルだが制裁前2012年時の2.2 million バーレルに復帰し、その後短期間のうちに3.3 millionバーレルになる。

イランのザンギャネ石油相は誰からも販売価格の制約は受けないと言っている。

それでなくても原油価格はここのところ毎日のように下がり1バーレル40ドルを割ろうとしているのだから、イラン原油参入で原油価格はさらに下がり1バーレル30ドル台になるだろう。

ところが私は、今後原油価格は80‐100ドルに上がると言う。

それは裏があるからだ。

金(ゴールド)の価格にも恐るべき裏がある。

今に腰を抜かすほど高騰する。

ついでにNYとニッケイ株価について言うなら、これ又完全にManipulation! (価格操作)。

大調整目前!

為替、原油、金、株価、、投資家はすべて操られている。

しかし誰にどのように操られているかが分かれば損するどころかとんだ大儲けが出来る。

今世界の政治と経済の裏で何が起きているのか、お役に立つように書き下ろしてみた。

信憑性を高める為多くの公的データを載せた。

第1031号(2015年11月19日号)

同じ発想のパリ同時多発テロと9/11

「同時多発テロ」という言葉が生まれたのは(私が 事件の3カ月前から予告した)2001年9月11日NYのWTC(ワールド・トレード・センタービル2棟)の(飛行機が激突した形にした)爆破(ビル解体 作業)と同時に起きたワシントンDCの国防総省(PENTAGON)の(小型機がぶつかったように見せかけた)防壁爆破からである。

パリの爆破テロの日を11月13日のキリスト教でいう「魔の金曜日」に選んだこと、さらにテロ現場に実行犯の所持に見せかけたシリアの偽パスポートを残し たのは、イスラム難民がテロリストだと思わせて、キリスト教徒と難民との抗争激化に誘導と、さらに敬虔なイスラム教徒のジハード志願者を増やそうとする狙 いがある。フランス空軍は前日の11月12日にもシリアでISISを単独攻撃したが、米英軍のようにISに事前に攻撃時期と場所を知らせなかった。

ISは13日のパリ多発テロはフランスの対IS空爆への報復だと発表したが、表向きの話。13日の多発テロは計画を立ててからリハーサルする等時間をかけ て実行されたもので、13日にいきなり実行したのではない。パスポートの件は立派な理由があるが、対フランス報復の件は的外れである。今回の事件の前、本 年1月に同じパリでISはユダヤ系商店を爆破するテロを起こしている。今回の事件前にユダヤ人がISの標的になっていることを認識させておく為である。

今回の事件でアメリカ議会のユダヤ系国会議員は、「ISをはじめイスラム過激派はイスラエルにとっても欧州にとっても共通の敵だ」と発言、欧州議会でも同じ声が広がっている。

フランスはイスラエルがゴラン高原などパレスチナ自治区に不法入植し工業地帯を建設していることをイスラエルの侵略だと非難し、対イスラエル経済制裁案を 今月中に国連に提出する予定になっていた。またフランスの強い要望でEUはイスラエルの不法入植地で生産された商品にラベルを貼ることを義務つけ高関税を かけることを決議することになっている。フランスが対イスラエル案を引っ込めるまでフランスでのテロは続く。これが的外れでない本当の理由。

ちなみにISの軍司令官たちはサダム・フセイン軍の生き残り幹部、戦略決定機関はイスラエルのモサド(秘密諜報機関)、CIAさらに英国諜報機関である。

IS誕生(2005年)以来の「育ての親達」である。厳格な宗教戒律、さらし首的恐怖政治は宗教的ジハード精神だけで集められたばらばらの人間たちを一糸 乱れぬ強力な部隊にたたき上げる為に絶対的条件である。サダム・フセイン(イラク)、カダフィ大佐(リビア)、ムバラク(エジプト)そして現アサド(シリ ア)しかりである。ISの背後にいる諜報機関は軍産複合体とイスラエルの利益代表であり、オバマ政権とは全く異なる存在である。何故オバマ大統領は中東 (シリア)問題をプーチン大統領に任せ、プーチン大統領にPENTAGONとCIAがISを支援し続けている事実を暴露させたのか。ロシアとイランが中東 覇権を手にすると誰が儲かり、誰が破綻するのか。

詳しくは「小冊子」(Vol.74)をご参考に。

第1032号(2015年12月1日号)

政治は芝居(シバイ)

今やShibai(シバイ)は普通名詞として世界中で使われている。

観劇のお芝居ではない。真実を知られたくない為、事実と異なるそぶりをして見せることを言う。政治は本質的にシバイである。Tsunami(津波)が世界用語になっているのと同じほどシバイは有名語になった。

10月24日トルコ軍がロシアの爆撃機がトルコの領空を侵犯したという理由で撃墜した。

以前にもロシア機は何度かトルコ領空を侵犯したことがあったがトルコは警告を発しただけで一切軍事行動は執らなかった。今回トルコが撃墜したのにはいささか訳がある。

国際航空法では他国の飛行機が自国の領空を侵犯した場合は警告を発し領空外に出るよう要請又は誘導する。撃墜など軍事行動に及ぶ場合は他国機が自国の安全 を犯す目的を帯びていることが客観的に認められた場合に限られる。10月24日ロシアはトルコを含むNATOとサウジアラビア等有志連合に飛行目標地(シ リア)、航行予定空図・時間等を事前に通達していた。アメリカの軍事衛星情報ではロシアの爆撃機がトルコ領空を侵犯したのは16秒間でシリアとトルコの接 点の部分であった。トルコはロシア機がトルコを攻撃する目的を持っていないこと、しかも侵犯したのは一瞬でしかなかないことを百も承知でロシア機を撃墜し た。相手の飛行機に対して武力行使を執るのは領空を侵犯するしないはではなく、相手が自国を攻撃しようとしているかどうかにかかっている。

今回のトルコのロシア機撃墜は完全に国際法違反だからトルコは即刻ロシアに謝罪し、賠償金を支払うのが当然の理である。では何故トルコは謝罪を拒否するのだろうか。

過去にロシア機がトルコ領空を侵犯した際、トルコは国際法によって警告はしたが軍事行動は執らなかった。ところが最近アメリカから何故撃墜しなかったのだ と追及されたので、今度領空侵犯があったら必ず撃墜すると約束していたのである。トルコがロシアに謝罪しないのはトルコの意志ではなくアメリカの意志で やったことだからである。

アメリカとトルコはシリアの反政府勢力、自由シリアや他の軍事組織を支援している。

アメリカやトルコはロシアがシリアでの対IS空爆にとどまらずアメリカ・トルコ支援の反政府軍を攻撃していると非難を続けてきた。もし自由シリア軍や他の 反政府軍がアメリカとトルコの同盟軍ならロシア機は同盟軍を攻撃する為トルコの領空を侵犯したことになり、トルコのロシア機撃墜が正当化されるか、少なく ともグレーになる。(疑わしきは罰せず)

11月29日フランスのオーランド大統領とロシアのプーチン大統領のトップ会談が行われ、オーランド大統領はプーチン大統領にシリアでのロシアの対IS空爆の際、自由シリア等の反政府軍を攻撃しないよう要請し、プーチン大統領は合意した。

その代わりトルコにロシア方式でシリア内戦を終わらせることに同意させるよう圧力をかけることになった。トルコが合意しなければアメリカがロシア機の侵犯 は16秒であったこと、ロシア機はトルコ攻撃を目的としていなかったことから国際法違反とし対ロ謝罪を求めることになる。トルコはアメリカとロシアに「は められた」ことに気付きシリアとの国境のクルド族自治区をしぶしぶ認めることになる。まあ、世界はこんなシバイを毎日飽きもせず繰り返しているのである。 時事直言にご協賛下さる読者にお送りする「目からウロコの80分」(新春特別講演CD版)ではまだまだ山ほどある「シバイ」をお聞かせします。こういう話 は「肉声」の方が迫力があります。

11月13日「パリ同時多発テロ」のような「子供じみたシバイ」もあります。

第1033号(2015年12月4日号)

安倍総理が渡る危険な橋

安倍内閣はアメリカの意志で動いている。

集団自衛権、秘密保護法、安保法制、そして来年の参院選後の憲法第9条改正、、これらは総て過去の米国からの対日年次改革要望書、特に2012年以降の ジョセフ・ナイ対日超党派報告書及び第三次アーミテージ・ナイレポートの踏襲に他ならない。小泉内閣の郵政民営化関連法決議(約七十数件)が当時のブッ シュ大統領からの提案を100%踏襲したのと同じである。

新安保法制で自衛隊の海外派兵の自由度を高めたのは自衛隊の南シナ海での対中監視活動を要望する米国に応える為であった。安倍総理は自衛隊の海外派兵拡大 を国会で決議する前の本年5月訪米時アジアの広域海洋への自衛隊派兵を米国に約束し、安保法制国会決議後11月19日マニアでのAPECサミットでオバマ 大統領に南シナ海での米海軍の中国人工島周辺12カイリ内航行の自由作戦への自衛隊参加を検討すると述べた為、菅官房長官が慌てて否定する場面があった。 安倍総理の南シナ海自衛隊進出表明後、米政府はわざわざ自衛隊に最新鋭の無人偵察機(グローバル・ホーク)を3機、約12億ドル(約1,500億円)で売 ることになったと発表した。自衛隊に偵察能力が無いことを理由に自衛隊の南シナ海派兵を回避、アメリカの責任に追従しようとする官僚代表の菅官房長官と簡 単に米国に乗せられる安倍総理の姿が浮き彫りになった。日本に中国脅威論を煽りながら日本を再軍備化に誘導し日米安保の責任から逃れようとするアメリカ。

グローバル・ホーク1,500億円を払わされた挙句の果て、将来さらに対中緊張を高める為に自衛隊を南シナ海へ派兵する羽目になった。米国の威を借る日本 官僚の望みは見事に振り切られた。1992年以来インド・米国間でインド洋ベンガル湾においてマラバールと言う名の定期軍事訓練が行われている。2007 年自衛隊が招待されて参加したところ日本は中国から強い抗議を受けた。本年10月14日のマラバールに自衛隊が参加、米国の勧めで日本は今後定期参加を決 めたことから中国から日本は意図的に中国を挑発していると抗議された。豪州は中国の海洋進出の脅威拡大に対抗する為来年12隻の潜水艦を建造する為米国の 勧めで日本の特殊技術供与を条件に史上最高額500億豪ドルの発注を日本の旧軍閥(三菱・川崎重工)に出すことが内定した。米国は中国と二大国関係で手を 組みながら一方日本やインド、豪州等米国同盟国に中国脅威を煽り、日本に対中軍事包囲網を構築させようとしている。ジョセフ・ナイやアーミテージは NSC(米国家安全保障局)のオピニオン・リーダー。米中二大国関係と日中戦争推進論者である。米国の利益の為に安倍総理は日本犠牲の危険な橋を渡ろうと している。

第1034号(2015年12月7日号)

下山の詩(死)

山登りを始めると最初は難なく登れる。

頂上が見えると足は重く、息切れする。

適度な栄養、適度の運動で体を鍛えておけばよかったと後悔。

カンフル剤を飲み込んで全力歩行。

また息切れ。

頂上から先輩がハーヤク来い。

カンフル剤致死量を手にして迷う後輩。

先輩下山準備完了。

後輩引くに引かれず神に祈って最後の一服。

以上は先輩のFRBと後輩の日銀の現況。

現況を見て皆様は、今は「登山の時代」か「下山の時代」が判断出来ますね。

日銀が「命がけで」最後のカンフル剤を飲むと、ニッケイは一瞬跳ね上がった後、死んだも同然で谷底まで転がり落ちる!

第1035号(2015年12月9日号)

普通でなくなった「普通の国」

「日本は普通の国になるべきだ」がコンセンサスになり安倍内閣は集団的自衛権、安保法制さらに憲法改正に向かって歩みを早めている。

何故普通の国を急ぐのか知る必要がある。

「専守防衛」がアメリカにとって好都合な場合と邪魔になる場合がある。

アメリカにとって1991年ソ連(現ロシア)が崩壊するまでの冷戦時代には日本は専守防衛でなくてはならなかった。対ソ冷戦はアメリカの意志と戦略通りに 行われなくてはならなかったので主権のもとに日本に安全保障行為をされては迷惑千万であった。今のアメリカは世界の警察の座を降り、中東からもアジアから も撤退が基本方針、中国やイスラム過激派の脅威にもアメリカはむしろ腰を引いていて日本に集団的自衛権による独自の対処を求める。専守防衛のもとでの集団 的自衛権行使は明らかに憲法違反だから安倍内閣としては憲法第9条改正を急いでいる。

安倍内閣はアメリカの都合に従っているが、では日本の国民の生命財産の安全の為にはアメリカの都合通りでいいのだろうか。

日本の専守防衛の平和憲法が中東の反政府イスラム過激派とアメリカ支援政府との問題解決に力を発揮した事実がある。2001年9月11日アメリカにおける 同時多発テロ後の10月ブッシュ政権はアフガニスタンのタリバン政権を攻撃、壊滅したがアメリカ支援のカルザイ政権とタリバン武装派との争いは絶えなかっ た。そんな時の2010年6月19日同志社大学神学部元教授でムスリム(イスラム教信者)の中田考氏の働きでアフガニスタン・イスラム共和国大統領ハーミ ド・カルザイ大統領が同志社大学を訪れた。「我々は宗教が原因で争っているのではない。欧米諸国がアフガニスタンに国民国家の枠組みを押し付けたからで す」と述べた。アメリカの傀儡とまで言われたカルザイ大統領の信じ難いまでの本音であった。

さらに2012年6月27日にはカルザイ内閣の代表が、同僚が自爆テロの犠牲になり自分も重傷を負ったにもかかわらずタリバン代表との平和会談の為同大に やってきた。夕食には居酒屋で全員同じ鍋をつついたという。日本には平和憲法があり、日本はアメリカの同盟国であっても決して有志同盟に加わってイスラム の子女の殺害をしない。だから日本へなら行くと言って集まったと言う。

私は10月と11月クルード自治区設立準備で忙しいクルード代表と、又在ワシントンDC米トルコ代表とも度々話す機会があった。「中東のイスラム問題を平 和裏に解決する資格があるのは日本だけなのに、自ら進んでアメリカの傀儡政権になるとは、、安倍内閣には全く失望した」と異口同音であった。

私は、「日本の国民はまだ洗脳されていない。日本の国民は日本を決して普通の国にしない。日本国民は必ず日本を世界平和の懸け橋にするからしばらく待っていてほしい」と述べている。

来るべき参院選で日本人は心ある世界の期待に応えねばならない。