アポリジニの教えと云う本

アポリジニの教え/大地と宇宙を繋ぐ精霊の知恵

モーニングコール

「おはよう」

「あなたをわたしたちの所に招待します」

朝の8時にもなっていない、余りに突然の電話。 その上、オースタラリア英語にしてもひどい訛。 低く分厚い声の男性である。

いつもの様に、てっきり小鳥達が朝を知らせてくれるものと思っていた。

一体どう云う事だろうか? 『何ですって? あなたはどなたですか?』

「民族学者でも教育者でもないあなただから、招くのですよ』

私は電話の横にあるソファーにもたれ、考え込んだ。 すると、彼は大きく笑いながら、

「とにかく、そういうことなんですから」と言った。

嬉しそうな彼の様子に連れられて私も頬が緩んだ。 が、一体この人は誰なんだろうか。 少し不安になって来た。

「いったいあなたはだれですか?」

私はもう一度聞いてみた。「アポリジニですよ。 イミャーと言う名前。私のコミュニテーにあなたを受け入れる事になりました。 私はそのコミュニテーが有る土地の所有責任者です。 我々の所に来たいと言うのは、調査をしたいという人々や、無理矢理に白人の文化というものを教え込みたい人間です」

とイミーニャと名乗る此の男性は真面目に話つずけた。

「でも、あなたは違う。 それがどう違うって、我々に何んの意図が有ってあなたを受け入れるのかと云う事は、今、言葉で伝える事では有りません」

「しかし、どうして私の電話番号が分ったのですか?」との私の問いに、すべては運命ですよ」と彼は答えた。

運命と言われれば、そのまま率直に納得できた。 どうしてだろう』といくら考えても、これが運命と云う事なのね」としか思えない出来事は此の世の中に山ほどある。 私の名前や電話番号を何処から手に入れたかなんて、もうどうでもよくなった。

日本の22倍の国土を持つ此のオーストラリアにいると、あれやこれやと悩んだり考える事がばからしくなって来てしまう。

ましてや、ここゴールドコーストは、一年中気温が温暖な南半球最大のリゾート地なのである。

人々は、アタッシュケースやストッキング、ハイヒールなんてものは忘れてしまっている。

何が起こっても、すべてが楽しく感じられてしまうのだ。

「それで私は何所にいったら良いのかしら?』と質問した

アリススプリングスから車で南に6時間下がった所で、私が待っています。 そこからは、そこからは、更に西の砂漠の中を走、到着です」と彼は言った。

「何か持って行くものとか準備する事は?」と私が聞くと、

「アリススプリングスで、あなたが必要なだけの水と、簡単に食べられるものを買ってきてください」といって、こう続けてた。

二週間後に会いましょう。 それまでに、体力を付けておいて下さい」

「ちょっと、ちょっと待って、、、!」

二種間後とはあまりに急なので、私は戸惑った。

「大丈夫。何の問題もなく、二週間後に我々との生活が始まるのですよ。 招待うすると云う事で、パーミッションをFAXしますから、それを忘れずに持ってくる様に」

彼のペースにすっかり嵌まらねばならない状況になっていた。

「じゃあ、二週間後を楽しみにしています。 今日もまた新しい朝が来ましたね。 よい一日を!!」

そう云うと彼は電話を切った。

マンションの庭にあるプールのスイミングを毎日欠かさない人達の笑い声に誘われてベランダに出ると、つややかな緑の木々が太陽を強く照り返していた。

そしてそれは私の冒険心をプチプチと刺激した。 私の目にはいるもの全てから、エネルギーが放たれているのが分った。