増田さん時事直言H27-1〜6月

第957号(2015年1月5日号)

2015年3月から世界経済を動かす力が2008年以来の金融(マネー)主導から政治主導に変わります。

昨年の年初全く誰も予期しなかったことが三件起きました。

第一は、3月から始まったウクライナ問題です。かねてから旧ソ連圏復活を狙うロシアのプーチン大統領の野心がウクライナでぶつかりクリミア併合、欧米の対ロ制裁となりロシア軍とNATO軍のにらみ合い一触即発状態になっています。

第二は、ISIS(イスラム国)スンニ派武力集団のイラク支配と中東の混乱。

第三は、原油価格の暴落(6月から半年で50%)。

これら全く予想出来なかった三大事件は表面的には全く別事件ですが、実はすべて裏で繋がっています。

この世の中で別々に起きる政治的、経済的大事件は常に一本の糸で繋がっていることが分かるようになりました。

皆様のおかげです。

私の皆様への責任は、すべての事件を「何故」から始めて「なるほど」で終えることです。

本日の「ここ一番!」では、昨年から引きずってきた金融相場が、来る1月22日のECB(欧州中央銀行)の政策決定会合で発表される量的金融緩和ですべて終わることを述べ、何時から市場を撤退しなくてはいけないかをアドバイスしています。

本日の「増田俊男の目からウロコのインターネット・セミナー」では、日銀がECBを欧州経済恒常的リセッション・デフレ対策に致命的な緩和政策に追いやった意図と世界市場大暴落道筋を述べます。

ご支援くださった本誌購読の皆様に1月20日頃発送予定のCDでは原油価格暴落に絡む「世紀の大謀略」について述べます。

世界を変える情報が創造されるところに常に私が居ます。

本年もよろしくお願いいたします。

第958号(2015年1月9日号)

原油価格暴落の意味は大きく深い

FRB(米連邦準備理事会)が2008年から始め2014年10月末に終了するまで5年間三次にわたって行った量的金融緩和政策は、低金利維持と2%物価 上昇、失業率6%以下を目標としたものであった。市場が求める以上の通貨を増刷すれば貨幣価値が下がり通貨インフレで金利と物価が上がるのが市場原理であ るが、FRBは増刷した通貨で国債を購入するという市場介入で国債利回りを下げて低金利を維持することには成功したが物価上昇目標を達成することは出来な かった。

物価目標達成に失敗したのはモノとサービスの需給が低迷し続けたからである。失業率は目標の6%以下になったが、それは労働市場(Work force)参加者減少(就職を諦めた層の増加)の為で実際には失業者数は減っていない。さらに2008年のFRB緩和以来米国民所得は減少している。更 に緩和政策による通貨(ドル)価値の国際的下落を防ぐ為ドル高政策を採り、輸入物価が下落し国内物価下落圧力となり消費者の買い控えにつながった。

実際には失業者は減らず、国民所得は下がり、物価下落による買い控えではモノとサービスの需給バランスが低迷するのは当然である。FRBが量的金融緩和を断念したのは緩和政策と言う名の市場操作の限界とジレンマを知ったからである。

日銀が一昨年(2013年)4月に異次元金融緩和を発表した時私は本誌で、「FRBが緩和を縮小し、やがて止めるのは緩和政策が失敗したから。日銀はそれ を知ってか知らずか、FRBの(GDP比)三倍量の緩和政策を打ち出すなどは日本経済の為ではなく、FRB緩和終了ショックを和らげるため以外の何もので もない」と述べた。

昨年10月末(FRBが緩和政策を終了した時)日銀は年間80兆円にのぼる追加緩和を打ち出したが、結果日本をはじめリセッションに陥っている欧州の資金がアメリカに流入し暴落寸前であったNY株価は史上最高値を更新した

原油価格暴落政策」はエネルギーコストの引き下げによる国民の可処分所得増を消費に向け、金融緩和政策で達成出来なかったモノとサービスの需給バランス をポジティブ転換する狙いと、21世紀の世界政治地図を一変させる冷戦戦略である。今日吹込みが終わった「時事直言協賛者にお贈りするCD」で詳しく解説 したのでお勉強のほど。

第959号(2015年1月16日号)

歴史の終わりに

我々が幸いにも21世紀に生を受けていることは驚くべきことである。

今日まで人間の歴史は変転を続けてきたが、歴史が終焉し、新しい歴史誕生の時代に遭遇する人間は古今東西我々だけである。

我々はこの時、この世に生を与えてくれた神に感謝しなくてはならない。

自然の恵みが100億人の欲望を満たせなくなった時、

生活水準が贅沢の段階になった時、

先進国の需要が後進国の供給を下回る時、

財政黒字が望めず国の借金が返済不能になる時、

中央銀行の資産の総てが国の借金〈国債〉になる時、

通貨価値がマイナスになる時、

物価が下がり続ける時、

中央銀行が金利と物価のコントロール能力を失った時、

マネーが成長でなく金融植民地主義に走る時、

暴力が法を超越する時、

核兵器が通常兵器になる時、

マスコミが無能化する時、

基軸通貨(ドル)の信認が喪失する時、

世界の警察(アメリカ)が消える時、

国連が無機能になる時、

政治がポピュリズムに走る時、

極右、ナショナリズムが台頭する時、

極左、サボタージ、ストライキが横行する時、

国家予算が特定個人資産を下回るような小さな国家になる時、

(以上は思いついた順)

現在の世界の政治体制は終焉し、新しい体制に向かい、世界経済・金融体制は崩壊し新しい体制に移行する。

これから世界の市場を破壊し、世界を戦争に誘導し、知らぬ者の犠牲のもとに知る者が新しい歴史を作る。

唐突に思われるだろうが、今にいろいろな形になって現れる。

知る者になる必要がある。

詳しくは近日発行「小冊子」(Vol.64)をご参考あれ。

第960号(2015年1月23日号)

麻薬中毒者の処理法

昨年10月末FRBが足かけ6年にわたって続けてきた500兆円に及ぶ金融緩和を終えた日、日銀は追加金融緩和と言う更なる円安政策に打って出た。

日銀に通貨安戦争を売られた欧州中央銀行(ECB)は売られた喧嘩は買わねばならず早速昨日(1月22日)、昨年2度の利下げに続いて更なる金融緩和を発表した。売られた喧嘩だから日銀の緩和額を上回る月額8兆円。

資金需要がない企業(実体経済)に資金を強制的に使わす為金利をマイナスにまで下げ、さらに中央銀行の当座預金に0.2%の罰金まで課して銀行に資金を使 わそうとしてきたが、資金は設備投資にも消費にも回らず投機市場(株式市場)に回り、リセッション続行中にもかかわらず欧州株価は史上最高値を更新中。

モノとサービスの需給バランスをプラスにするためには内需拡大が必要だが日本も欧州も財政破綻状態だから出来ない相談。

万策尽きて破れかぶれで増札(通貨増発)と言う麻薬に憑りつかれる。

アメリカはしたたかで、自分が麻薬で感極まっているとところを世界に見せつけ、我も我もと麻薬患者が増えたところで自分はさっさと足を洗い、今度は自分が麻薬の売人になって日本や欧州から金(資金)を巻き上げる。

(日本、欧州資金がNYへ集中)

世の中は頭の良い者とそうでない者とから成り立っていることが分かるはず。

私は頭の良い者にアドバイスをする立場にある。

だからもう一度申し上げておく。

麻薬患者が暴れ回ったり自殺する前に「檻」(おり)の中に患者を入れ、水だけ飲ませて元の体に戻すつもり。

18,000円までも麻薬ぶくれしたニッケイのずう体を8,000円になるまで檻から出さないつもりである。

3月になってアメリカがステーキ(赤字国債上限)をおいしそうに食べているのを見せながら日本を檻に収監する。

頭の良い者から天の声である。

天の声の続きは数日中にお送りする「小冊子」(Vol.64)をご参照あれ。

第961号(2015年1月26日号)

いよいよ断末魔

数日中にお送りする「小冊子」(Vol.64)で、「日米欧の財政は潜在的に破たんしている」ことの事実を明らかにし、景気サイクル型暴落と異次元暴落の 違い、さらに暴落のタイミングを解説した。又何故日銀が昨年10月末のFRB(米連邦準備理事会)緩和出口と時を同じくして80兆円規模の追加緩和(円安 政策)を発表したのか。そして日銀に売られた喧嘩を買う形でECB(欧州中央銀行)が日銀に負けない規模(140兆円)の緩和(3月から)を打ち出さざる を得なくなったかの理由を説明した。日銀もECBも緩和の目的はデフレ脱却(インフレ目標2%)と経済活性化であるとしているのは「真っ赤な大嘘である」 と一刀両断した。物価目標達成の為には「躊躇なく行動(緩和)する」と黒田日銀総裁もドラギECB総裁も言う。2008年から(日銀は15年前から)の緩 和、ゼロ金利政策にもかかわらず物価は下がっても上がることはなかった。上がったのは家計を直撃するCPI(消費者物価指数)の計算(採用)から除外され た生鮮食料品や電気代だけ。経済成長が完全に止まった先進国でいくら緩和政策を繰り返しても商品・サービスの需給バランスのマイナスをプラスに出来ないこ とは15年間にわたって日本が世界に証明済み。この事実はFRB、ECBそして日銀は百も承知である。ではこのFRB主導の一連の緩和とは一体何だったの か。

「それは物価にも経済成長にも全く何のかかわりもないことである」!

金融緩和の名の下に100%有り得ぬ目標(物価と経済成長)を掲げているのは投資家(市場参加者)と国民をその気にさせているだけに過ぎない。中央銀行が 先ずやったことはゼロ金利政策で国家(財務省)が国債利払いに追い込まれるのを避け、白紙に30‐50年の長期国債を印刷して返済期日が迫ってきた短期債 と交換してデフォルト(不履行)を防いでいるだけのこと。FRBだけが緩和を止め、日銀とECBが緩和続行なのは、アメリカ経済が一人勝ちだからではな い。FRBは世界の中央銀行であり、ECBも日銀も世界の地方銀行だから。

FRBもECBも日銀も今や総資産が国家の不良債権(国債)で埋め尽くされているから財政破綻国家と心中する一歩手前まで来ている。世界の金融・財政存続の為には地方銀行を潰しても中央銀行(FRB)を潰すわけにはいかない。

だからFRBが自滅を避ける為緩和出口となり、日欧の地銀(ECB・日銀)は自滅覚悟で札を刷り(追加緩和)、アメリカの国債を買っているのである。

このまま日銀が緩和を続けると、現在60%まで国債で膨らんだ日銀資産の国債比率は80%になり、最早国債を買うことが出来なくなる。中央銀行の国債買い という市場操作が出来なくなったら、市場原理の下に国債は売られ、金利上昇、物価高騰、株価暴落で「正に天国から地獄へまっしぐら」である。

スマートな投資とは「高騰でも暴落でも常に儲け続けることである」。

来るべき「断末魔」での「財産保全」と「大儲け」を小冊子(Vol.64)で解説した。

*イスラム国の日本人殺害・人質問題における安倍政権の問題点については本日の「目からウロコのインターネット・セミナーで解説します。

第962号(2015年1月28日号)

愉快な暴言

サウジアラビアの油田地帯からヒマラヤ山脈の麓(すその)、そして北京から東京まで、平和とは幻想に過ぎない。

私はかつて本誌で「平和とは次の戦争までの準備期間」と言い、「人間社会における平和とは口にする平和と文字しか存在しない」と述べた。

しかし人々は平和が戦争の一部であることを知らない。

人は平和を願い、平和を求め続ける。

それは丁度株高が暴落の準備であることを知らず高値追いを続ける投資家と同じだ。

「まさか」が人を不幸にすることを銘記した方がいい。

株価が上がるや急落してあわや暴落かと思うと直ぐに反転して最高値になる。

下げた以上に上昇する株価を見れば誰も暴落など信じない。

基軸通貨国のアメリカの財政は債務過剰で国債デフォルトのリスク大であろうと、アメリカの大都市が次々と破産宣言をしようと、実際の失業率は6.8%ではなく13%であろうと気にしない。

株価も、金利も、住宅価格も、経済ファンダメンタルズもすべて「中央銀行(FRB)の操作」であることは既定の事実。

「偽物」は必ずバレて崩壊すると言うと、「まさか」と答える。

人間社会は常に漠然とした根拠のない「常識」に支配されている。

「まさか」の背後には常に「常識」がある。

「常識あるところに必ず非常識あり」。

「まさか」いきなり原油価格が半値になるとは思わなかっただろう。

えっ!イスラム国撲滅有志国連合を提唱するアメリカがイスラム国のスポンサー!?、、「まさか」!

「まさか」と思った方は「小冊子」(Vol.64)をお読みください。

第963号(2015年1月29日号)

Capitol Hillsから緊急特報

誰も言わない、言えない裏情報(真実情報)を緊急伝達。

しばらく皆様の安眠を妨害するかも知れません。

「水を知らずして泳げば溺れ死ぬ」!

下記の内容の緊急特報を「ここ一番!」の読者にお送りします。

Capitol Hillsから緊急特報

≪2月3日発信予定≫

「下山の哲学の時代」は既存の富の奪い合い=21世紀型植民地戦争

東西冷戦の火付け役、それは「イスラム国」!

中東石油カルテル(OPEC)を工作したアメリカがその主導国サウジアラビアを潰すわけ

プーチン大統領の旧ソ連復活の野心を梃に浮上するアメリカ

ドル基軸潰しに奔走する中国を放置するアメリカの目算

経済・政治劣等生、政治年齢14歳(マッカーサー曰く)から7歳(増田曰く)に落ちた日本の強み

今どうしても知っておかねばならないこと

学べよ汝(なんじ)救われん、、、。

第964号(2015年2月2日号)

「一人の命は地球より重い」(福田赳夫)

1977年9月28日、シャルル・ド・ゴール国際 空港発カラチ(パキスタン)、ムンバイ(インド)、バンコク(タイ)経由羽田行きの日本航空742便、高橋機長以下搭乗員14名、乗客142名(日本赤軍 5名を含む)がムンバイ空港離陸直後拳銃と手榴弾で武装した日本赤軍にハイジャックされ、ダッカ(バングラデシュ)に強制着陸した。日本赤軍は身代金 600万米ドル(当時ドル・円レート267円=16億円)と日本で服役、拘留中9名を釈放し、日本赤軍に引き渡すよう要求、拒否すれば乗客の内アメリカ人 人質から順に殺害すると日本政府に伝えてきた。福田赳夫首相は「人の命は地球より重い」と述べ日本赤軍の要求をすべて受け入れ身代金と超法規的措置で服 役、拘留中9名を釈放、赤軍参加を希望する者をダッカに送った。当時同様な事件でドイツなど人質を犠牲にして犯人を殺害するケースが多くあった。福田首相 は金銭的犠牲を度外視、超法規的措置を採り、人命最優先の解決方法を世界に示した。結果ハイジャック犯人5名を含む乗客全員の命を救ったのである。日本は 車や電化製品だけでなくテロも輸出するのかという一部の批判はあったが、以後ハイジャック事件に当たって当事国に人命最優先の解決方法が定着するように なった。戦前の日本では「お前らの命は一銭五厘だ」で若い日本人が戦場に送り出され命を失った。福田首相は過去の忌まわしい日本のイメージを一掃し、むし ろ人道主義国日本として世界からの尊敬を集めた。

「政治は結果であり、その過程は問わない」。

安倍首相は日本人湯川、後藤各氏の命を救えなかった責任を負わねばならない。

安倍首相は、「ISの人間にあるまじき行為は絶対に許せない」と言うなら「どのようにISを罰するのか」。(許せないはコインの表で処罰は裏)

日米安保に日本人人質条項はないし、他国は日本人の生命に対して責任は負わない。安倍首相が「国際社会と協力して、、」などと言うのは責任回避。

アメリカや他国に期待することなく日本自らの具体的IS処罰行動を国民と世界に明らかにする責任がある。対IS処罰行動の表明無しに「許せない」など軽々 しく言うべきではない。ISの人間にあるまじき残虐行為は先刻誰でも承知のこと、ことさら安倍首相に繰り返して言ってもらう必要はない。安倍首相が憲法で 定められた「国民の生命を守る」と言う国家最大の責務を果たせなかった最大の理由は福田赳夫元首相の「人の命は地球より重い」が脳裏から消え失せていたか らだ。福田元首相が作り上げた「尊敬すべき人道主義国日本」は今「人命軽視、無為無策、愚かなる日本」に変わりつつある

安倍首相はISに対する怒りを表明する暇があるなら自衛隊何個師団をイラクに派遣すべきかでも考えたらどうか。国民と一緒になって怒っている場合ではない。

第965号(2015年2月6日号)

紙から鉄へ

紙とは通貨、鉄とは武器である。

私は昨日の「ここ一番!」と「増田俊男のインターネット・セミナー」で「相場は政治が金融にとって代わった」と述べ、何故相場が「乱高下」するかについて解説した。

昨年10月末、足かけ6年にわたるFRB(米連邦準備理事会)の金融緩和が終わった時から相場におけるFRBの主導権は消滅した。今なお市場ではFRBの利上げの時期をめぐって関心が集まっているが、大きな動き(乱高下)はグローバル政治が主な要因となっている。

すべての道は冷戦に向かう

原油価格、ウクライナ内戦激化、ギリシャの急進左派政権とEU(欧州連合、特にドイツ)との葛藤、対イスラム国有志連合、等々すべてはアメリカ主導で一定方向へ向かっている。

世界市場を6年間動かして来たFRBの金融政策に代わってアメリカのグローバル政治政策がとって代わろうとしている

偶然はない

偶然に見えるすべては必然である。

すべて目的のための戦略とその実行の結果である。

セプテンバー・イレブン(2001年9月11日、ニューヨーク、ワシントンD.C.同時多発テロ)は言うまでもなく、天変地異以外の偶然は無く、予期せぬ出来事ほど計画・戦略の成果は大きい

アメリカの銀行は$700 trillion (8,200兆円)デリバティブ(金融派生商品)の信用残を抱えていて、その額は世界の総GDPの10倍である。

何か一つのデリバティブ商品がつまずいたら瞬く間に信用崩壊の嵐が世界中に吹きまくる。

最近のNY高の中で10年物米国債の利回りがじわじわ上がっているのは何故か。

2008年9月のリーマン・ショック以降NYダウ平均は60%下げたが、CITIバンク・グループ(NYSE:C)は94%下げた

来るべき暴落を100年に一度の大儲けのチャンスにしなくてはならない!

今回の「小冊子」(Vol.65)はアメリカの世界政治戦略の一環として必然として起きる大暴落に付いて「目前の景気サイクル型大暴落特集」として、4つの分野から立体解説する。

第966号(2015年2月18日号)

2015年は第三次異次元世界大戦元年

今月中に発売する予定の増田俊男の小冊子「もう始まっている東西冷戦」(Vol.65)は、今マグマとなって地表に現れようとしている(今まで経験したことの無い)異次元東西冷戦の特集である。

「下山の哲学」の結果としての「世界陣取り合戦」とその方策。

枯渇する資源とエネルギー争奪戦。

経済成長を競った戦後の米ソ冷戦とは異質な戦いが水面下で始まっている。

世界の中央銀行FRB(米連邦準備理事会)による世界経済指導・誘導の時代は2014年10月31日(緩和出口)をもって終わった。

21世紀の世界経済を動かす原動力はマネーから戦争(政治)に代わる。

市場競争の原動力であったマネーに代わって命を脅かす戦争が経済と政治を動かす。

今こそ我々は我々を動かす力を知り、戦争が変える世界地図を知らねばならない。

何故ウクライナなのか、何故ギリシャなのか。

古代アレキサンダー大王も、ヒトラーも両国支配に専念した。

「中・東欧を支配するモノは世界を制す」は今も生きている。

支配者の選択を過てば犠牲者になり、従う支配者が勝てば報われる。

ウクライナのように親西欧と親ロを繰り返した国は大国に翻弄される。

何を持ち、何を手放すか、冷戦の行方を知れば分かる。

じっくり日本の行く末を考える時が来た。

第967号(2015年2月23日号)国会議員号

政治力学

政治力学第一条:軍事力、

政治力学第二条:ブラックメール(Blackmail=脅迫)

政治力学第三条:策略(騙し)

政治は「手段」であり「目的」は生命・財産保全を含む「国益」である。

政治目的達成の為の手法は上記三つだけ。「軍事力」、「脅迫」、「策略」。

「平和外交」と言う名の「交渉」は相手から国益を得るために軍事力を使うか、脅迫を使うか、騙すか、それとも全手法か、最善の手法を決定するための「探 り」であり決して目的達成の手法ではない。戦後日本外交の基本になってきた「国連外交」は、憲法第九条により軍事力と脅迫という国益追求と保全の為の手法 が禁止され国民に対して無責任国家になった日本が国連と言う「美名」に隠れて、「国民に(国益のために)正しい手法を執っていると思わせる「ごまかし外 交」。

利害関係が異なる五カ国が拒否権を持つ国連の意思決定機関の安全保障常任理事会は国際問題解決には無能、無機能であるからアメリカは国益のための他国への軍事攻略において常に安保理無視で臨んだ。国連は自国のプロパガンダ(政略的公示)の宣伝の場以外の何ものでもない。

上記の政治力学の現実から、「ギリシャの国際的ブラックメール(脅迫)」について述べる。

ギリシャは2011年10月財政破綻危機に陥り総負債の50%を減免(ヘアーカット)した上で負債の75%に当たる?320 billion(約48兆円)の救済をIMF(国際通貨基金)、EC(欧州連合)、EFSF(欧州金融安定ファシリティ=ユーロ加盟国保証)のトロイカか ら得たが同支援プログラムの期限は本年2月末になりギリシャに返済能力は無く、支援の延期がなければ債務不履行、ユーロ圏脱退が余儀なくされることになっ た。ギリシャのチプラス新首相はトロイカからの債務を減免し、支援の担保条件である緊縮財政等の条件無視を公約として当選した。前記支援プログラム延長交 渉に当たりドイツ主導の債権者側(EU等)は従来の支援条件順守を求め、ギリシャは拒否。しかし2月22日支援を4カ月延長、ギリシャからの条件を今週か ら検討する内容が決定。

「先ず支援延期ありき」だからチプラス首相は同日「勝利宣言」をした。

ギリシャを勝利に導いたブラックメール(脅迫)

ギリシャはウクライナ同様東西冷戦(ロシアとアメリカ支援NATO)における地政学上最重要拠点あることを利用、終始欧米に圧力を掛けた。

1)ギリシャのコジアス外相・ロシアのラブロフ外相会談(11日)でロシアはギリシャ支援を提案。2)EUのウクライナに関するロシア追加制裁にチプラス 首相反発(27日)でロシア寄りを演出。3)ギリシャとウクライナを占領したヒトラー(ナチス)から受けた損害賠償金(22兆円相当)の請求検討をギリ シャ外相がドイツ外相に伝達(10日)でEU最大発言力国ドイツに歴史的圧力を掛けた。

「ギリシャが皆様のEUを脱退してロシアの保護下になってもいいんですね」。

このギリシャのブラックメール(脅迫)に欧米は全く無力であったのである。

「本来取れないモノをもぎ取って国益に資する」、これが国家の国民に対する責務である。その点北朝鮮もギリシャに劣らぬ政治国家である

日本の政治家の皆様のご参考になれば幸い至極。

第968号(2015年2月25日号)

中央銀行の緩和政策で経済を動かしてきた時代は終わった(小冊子Vol.65)

NY、欧州、日本、アジア市場等世界の株式市場で史上最高値更新が続いている。

アメリカ経済を除いては日本、欧州はもとより中国経済も低調である。

IMF(国際通貨基金)は2015年の世界経済成長率見通しでアメリカの成長率を3.6%に上方訂正し日本0.6%、ユーロ1.2%、中国6.8%といず れも下方修正した。2月24日FRB(連邦準備理事会:米中央銀行)のイエレン議長は議会証言で「今後二回の(金融政策決定)会合では利上げは決められな い」と述べ市場が予想した利上げの時期6月からさらに延期するとの印象を与えた。

FRBは「アメリカ経済はまだ完全に軌道に乗っていないばかりか将来に不安要因を残している」と言いたいようだった。アメリカはもとより世界の株価が毎日 最高値を更新する経済環境は無い。日銀はFRBが緩和出口とした昨年10月末を期して80兆円の追加緩和、ECB(欧州中央銀行)は3月から140兆円の 緩和を始める。FRBが緩和を止めた後、日銀も欧州中央銀行も競って緩和(通貨増刷)を続けるので円もユーロもドルに対して価値を下げ続けると同時に国債 利回りが下げ続けている。日本の短期国債は既にマイナス、ユーロ圏では国債残高の30%、ドイツでは60% がマイナス金利になっている。現金より国の借金証書の方が信用度が高いという理に合わない現象が起きている。

日本もイタリアも潜在的国債デフォルト(不履行)国。会社で言えば将来不渡りになる事が決まっている手形を発行しているのも同然。一方アメリカの財政も潜 在的に破たんしているがアメリカは国際通貨(世界のマネー)の自由裁量権を持っているので米国債のデフォルトは有り得ない。デフォルトがないアメリカの 10年物国債利回りが2.0%なのにイタリアの10年物国債の利回りは1.67%、日本の10年物は0.42%。デフォルトが決まったような国債の信用が デフォルトがない国債より高いという信用逆現象である。

「信用の逆現象とは現金(貨幣)の過剰減価」の結果であり、過剰金融緩和。

景気を良くするために.通貨の過剰発行で貨幣の価値を下げて資産の表面価格を上げ、物価を上げるために商品・サービスの需給を改善することなく過剰通貨で 貨幣価値を下げて商品・サービスの正札価格を上げようとする中央銀行の価格操作。現金が借金(手形)より価値が無くなったら、一体誰が価値の無い現金を稼 ぐために高くつく借金をするだろうか。誰でもマイナス金利の金を借りて株式市場と言う名のカジノに行くに決まっている。だから世界中の株価が上がり続けて いるのである。マイナス金利の市場に更なる緩和(増刷)が続き、マイナス金利がさらに加速すると市場はどんな反応を示すだろうか。

プラス金利の債権の希少化が加速、中央銀行の国債過剰保有の為流動性が希薄になった債券市場で一気に債券売りが起き、債券暴落、金利高騰で為替市場も株式市場も収拾がつかなくなるだろう。

そのクライマックスは3月末から6月末に変わった。

今後の私からの情報にご注目下さい。

第969号(2015年3月2日号)

偽の通貨(Fiat Money)と偽の経済(Bubble Economy)

恩師舩井幸雄先生はすべからく「本物」がお好きであった。

今の日米欧経済はすべからく「偽物」である。

今日の経済を支えているのは経済が産み出した本物の資本ではなく、白紙に国が兆単位の借用書(国債)を印刷し、中央銀行が、これまた白紙に兆単位の通貨を 印刷して新たに印刷された国債を買い続けることにより無価値の国債価格を吊り上げると同時に国債利回りを下げて市場金利をゼロに集約する。

では先進国がむやみに発行する国債に価値があるのだろうか。

日本の国債総発行高の財務省発表2014年GDP比は232%(小数点以下四捨五入)、アメリカ106%、英国110%、ドイツ83%、フランス116%、イタリア147% 。

いずれの国も毎年財政赤字で改善の余地も可能性もない。

債務のGDP比が最大、かつ財政健全化の夢も希望もない最悪の国が日本。

主権在民の民主政治の宿命国民迎合(ポプピュラリズム)で歳入が伸びないのに福祉予算ばかりを伸ばしてきた結果いずれの国の国債も潜在的債務不履行に陥ってしまった。

FRB主導の金融緩和とは不渡り手形に現金より高い価値を与えようとする政策である。

アメリカは奈落の底の一歩手前で偽金融政策を止めたが、日本と欧州は更なる金融緩和で景況感を煽り続け、止められなくなってしまった

長年堆積されて出来た大氷山の雪崩で都市ごと海に押し流されようとしている。

氷山の表面(短期債)の重さが無くなって(マイナス金利になって)飛び去り、続々と深部へ離脱が進みやがて氷山は総崩れとなる。

ニセモノの風が氷山の表面を次々に剥がし、遂に大氷山総てが崩れる。

ニセモノの世界から二歩下がって本物の世界が戻って来るのを待つ時が来た。

第970号(2015年3月6日号)

尖閣諸島領有権

尖閣諸島の領有権をめぐって日中双方とも「固有の領土」との主張を繰り返してきたが自民党は3月5日、1969年中国の国家測量局(日本の国土地理院に相当)が尖閣諸島を「尖閣群島」と記し日本国領としている地図を入手、外務所省に提出した。

中国の公式な地図だけに日本の主張を裏付ける有力な証拠として注目される。

尖閣諸島を釣魚島として領有していると主張する中国の公式サイトの取り消しを求めた日本に対して、中国は拒否している。

今後日中双方の領有権主張合戦が活発になるだろう。

知っておかねばならぬことは第二次大戦直後から尖閣諸島は沖縄と共にアメリカに領有され、アメリカ合衆国憲法の下でアメリカの行政管理区域に置かれた事実と、1972年のアメリカからの沖縄返還にあたって尖閣諸島は返還されなかった事実。

日中の尖閣諸島領有権主張に対して「尖閣諸島問題は日中両国の問題」がアメリカの態度である事実。

アメリカが沖縄返還時に故意に尖閣諸島を除外したのは先行き日中尖閣諸島領有権争いに誘導し、アメリカがその裁量権を握る為であった

尖閣諸島領有をめぐって日中が争えば争うほど両国にとってアメリカの意向が大きく影響する。

将来中国の軍事力、経済力がアメリカに逼迫してくることを読み自国の軍事力も経済力も使わず中国を牽制する為の布石である。

このことは何度か「小冊子」で解説してきた通りである。

今回の中国の国家測量局の地図で尖閣諸島の領有をめぐって日本の主張が有利になれば中国は尖閣諸島周辺の対日軍事威嚇を強化する。

日中関係が険悪になればなるほど両国に対するアメリカの発言力は増す。

またもや喜んでいるのはアメリカだけである。

第971号(2015年3月13日号)

日銀の100年に一度の「国民殺し」

昨年第4四半期の日本のGDP(国内総生産)はプラス1.5% で予想の2.2%より低かったが、何とか三期連続マイナス成長だけは免れた。

日銀は2013年4月の異次元金融緩和に加えて昨年10月末に年額80兆円の追加緩和を実施したが目標の物価2%は益々遠のいている。

かつての貿易立国日本の面影は無く、執拗な円安政策にもかかわらず経常収支は恒常的赤字になろうとしている。

財政を見ると歳入の倍以上の歳出を続けている。

年収500万円の世帯が毎年1,000万円支出しているのと同じである。

ゼロ金利政策と異常な金融緩和で銀行の貸し出しを促すが、企業は250兆円になんなんとする余剰資金を持っているので銀行借入の必要はない。

相変わらず物価は上がらないので設備投資意欲もない。

日銀や年金資金等の公的資金は行き場を失い株式市場に向かわざるを得ない。

日本の株価が連日最高値を付けるのは緩和資金の市場流入と通貨価値が下がるので、企業の業績に一切かかわりなく相対的に株価を押し上げるからである。

つまり今日の株価高騰は日銀の緩和政策に名を借りた価格操作以外の何ものでもない。

今私は世界的有名な経済・市場専門機関であるOxford Clubの25周年記念コンファレンスに来ている。

昨日ラヂオもりおかの生放送にMr. Tres Knippaに出演してもらったので是非聴いてもらいたい。(http://radiomorioka.co.jp/streaming/sakate_katsu/)

GDPの230%もある日本の国債が払われる可能性は太陽が西から昇るほど。

日銀の物価目標2%は緩和を重ねるほど遠のいて行く。

日銀の異次元緩和もアベノミクスも既に失敗に終わっているが、それを隠すため日銀と年金資金等国民からの預り金でやがて紙くずになる株と債券を買い、株価高騰で景気を煽り日本経済がリセッションでデフレ進行中であることを隠そうとしている。

Oxford Club参加者300名、講師等経済専門家20名の内日本経済が大丈夫だと言う者は皆無である。

今日もニッケイは15年来の最高値19,300円台を付けた。

歴史的最高値を続けたと言うことは、投資家は全員屋根の上に追い上げられ梯子を持っていかれたことを意味する。

屋根から落ちて来る投資家に地獄行きのバスが待っている。

第972号(2015年3月18日号)

AIIB(アジア・インフラ投資銀行)とIMFの国際通貨制度改革

私は「小冊子」(Vol.64)でIMF(国際通 貨基金)が進めているSDR(特別引出権)を中心としたドルに代わる新基軸通貨について述べ、当時(2010年)基軸通貨ドルとFRB(連邦準備理事会) の金保有高に疑問を表明していたIMF専務理事ドミニク・ストロス・カーン氏が破廉恥罪容疑でニューヨーク市警に逮捕され、フランスへ送還されたが、後に 事件がでっち上げであったとNY地裁が発表した事件や、当時財務大臣でありカーン氏と親交深い中川昭一氏(不慮の死)も外貨準備のドル資産一辺倒に危機感 を持っていたことなど述べた。カーン氏のIMF専務理事失脚後の2011年6月、現在の専務理事ラガルド氏とカルテンス・メキシコ中央銀行総裁と専務理事 の座を争ったが中国はラガルド氏を強力に支持した。以後ラガルド氏は毎年3月中国とIMF改革の為の会合を持ち続けてきたが、今回の訪問は3月19日から 23日の予定。IMFは5年ごとにSDRバスケット(現在はドル、ユーロ、ポンド、円が参加)の検討をすることになっていて、今年はその年に当たる。 IMFの報道部は人民元をバスケットに加える交渉が行われると発表しているが、もし採用になれば来年2016年1月から実効となる。SDRバスケット入り には輸出高と通貨の流動性が条件になっていて、前回2010年のSDRバスケット見直し時では中国の輸出高は問題なかったが人民元の流通性が低かったので バスケット入りは果たせなかった。

中国は2010年以降積極的に国際貿易における人民元の占拠率を高めていて、さらに本年10月以降人民元を自由化するので人民元がSDR主要バスケット通 貨に加わることは確実である。中国がAIIBを本年発足させるのと人民元がSDRバスケット通貨になるのとは深い関係がある。

IMFはドル基軸をSDR基軸に代えるべきだとし、中国はSDRバスケットをG20まで広げるべきとしている。AIIB発足は国際通貨制度改革、つまりド ル基軸制の終焉が前提であり、ドルを基軸とした国際金融機関から中国を中心に後進国、新興国、先進国が参加する新通貨制度(SDR)をベースにした国際金 融機関を目指している。つまりAIIBの発足は、アメリカ一国の意志で返済不能の米国債と株式を買って見た目をごまかすために発行されるドルを世界通貨に しておくわけにはいかないという世界のコンセンサスに基づいている。

アメリカは昨年から日本、韓国、豪州等同盟国やEU主要国にAIIBに加盟しないよう訴えていたが、英国を筆頭にドイツ、フランス、その他の先進国は加盟 を決めた。菅官房長官はアメリカの国務省のスポークスマン発表を正確に翻訳した通りのコメントを発表して、加盟に消極的発言をしたためアメリカと日本だけ が取り残された。私は昨年から英国はもとよりEUの主要国が加盟することは分かっていたので、アメリカの反対を押し切ってでも、いの一番で加盟宣言をする ことを自民党の大物と財務省の知り合いの高官に進言していた。そうすれば日本主導で先進国がAIIBに参加するような形になり、アメリカもアジアで孤立出 来ないのでやがて参加すれば中国は日本に感謝し日本を最重視せざるを得なくなる。しかし結果は「猫に小判」でした。このまま日本がアメリカ隷属ならアジア で孤立し、将来アメリカと共に参加すれば日本は中国に軽蔑されると同時に最も軽視される。日本の政治年齢はマッカーサーのGHQ時代は14歳だったが今は マイナス7歳。私の政治力学の才能がアメリカ、欧州、中国ばかりで生かされ日本で全く使えないのが残念である。

第973号(2015年3月25日号)

「小冊子」(Vol.66)

本日やっと入稿出来た。

内容はアカデミック(学術、専門的)に追求した表と暴露情報の裏から成り立っている。

第1章のブレトンウッズ体制からニクソン・ショックまでは史実に沿っているが、ニクソン・ショックの裏話は誰も知らないだろう。

ドル信認が崩壊しかねないドル・金交換制廃止を決断した裏に何かがあったことは確実である。

ニクソン大統領の指示でサウジアラビアに飛んだ密使キッシンジャー(当時)国務長官暗躍をことごとく暴いた。

キッシンジャー氏とはNYでよく会うが、その話をすると、「そうだ俺がアメリカを救ったんだ」と言って喜ぶ。

全貌を明かしたので、お楽しみに。

第3章の政治編ではウクライナについて詳しく述べている。

もちろんオバマ大統領も、誰よりプーチン大統領が一番熟知していることだがウクライナの真実を知れば皆様は「びっくり仰天」請け合い。

世の中にはアマチュアとプロのマフィアがいるが、ギリシャはアマチュア、ウクライナはプロ。

何のことかよくわからないでしょうが、一例を挙げれば、2014年2月22日に欧米支援ゲリラに殺されそうになってロシアに亡命したヤヌコビッチ大統領は最も国民から支持されている大統領であると同時に強盗、婦女暴行で有罪、禁固刑を受けた前科者。

彼を追い出す為の活動資金をジョージ・ソロスからもらった超美人のティモシェンコ前首相は10億ドルほどの公金横領。

服役中だったがヤヌコビッチが亡命、親欧米政権になったので釈放、大統領選に出馬も敗れる。

勝利した「チョコレート王」のポロシェンコ大統領の本職はウクライナのもう一つの顔、暗黒の世界の主(マフィア)。

大体日本を除くどこの国も似たり寄ったり。

私は裏(真実)を直感する才能を持っているので(恐ろしい)アメリカにアドバイスが出来る。というわけで中東欧のかなりの真実を述べましたのでご参考下さい。

冷戦や新世界通貨制度の裏話も述べますが、川の面の話はテレビや新聞に任しておけばいい。

8,000年前から人類を動かして来た「因子」を現在に見出さなくては面白くないと思いますがどうでしょうか。

第974号(2015年4月1日号)

「3月末あたりから日米株価は調整期に入る」!

と私は年初からあらゆる機会を通じて述べてきた。

NY市場は3月23日から、ニッケイは3月27日から一転して下げ幅を拡大してきた。3月上旬までは、下げても反発力が勝り、高値更新が続いたが、3月後半からは様相が一転、下げ幅を上回るだけの買いの勢いが弱まった。

日本の株式市場の60%以上のシェアは「外人」。買い手(Bull)に有利な流れを作るのも売り手(Bear)に有利な流れを作るのも外人の自由裁量権。

ニッケイが下がると引けの数分前に先物市場に成り行きの買いを入れてプラスで終わらせる。これを外人が年初から敢行した結果日本の投資家の中に「下げても必ず上がる」と言う神話が生まれた。

ニッケイは高値更新を続け「2万円に向けて」前進を続けた。

私は3月27日の「ここ一番!」とインターネット・セミナーで「今日から外人は踵を返す」ことを知らせた。

日本の投資家を屋根の上まで上げたのでこれから「梯子を外す番」と言うこと。

本日(27日)外人は先物市場に若干の買いを誘い、上がりきったところから売り叩き、終わり前にどれだけ反発するかを計り3月30日からの下げを確実なものにしようとしていると述べた。

実際27日は前場で150円以上上げてから急速に下げ一時340円まで下げた後150円ほど戻して終わった。

30日は27日の戻しを受けて買戻しが続いたので外人は放置して再び反発力を計ることになった。

31日はNYが反発したのを受け、さらに前日(30日)の買戻しの流れに乗って上げて来るのは必至と見て外人は敢えて先物市場で単発の成り行き買いを入れ ニッケイを170円高まで誘導したところで、計算通り買い方が手も足も出せないスピードと量の断続的空売りを浴びせた結果プラス170円からマイナス 204円まで370円以上の下げ、買い方無抵抗の下がりっ放しで終わった。

今まで外人はニッケイを先物市場で高値に誘導しながら現物市場で売ってきた。

売り玉が無くなれば「買うべき安値」までニッケイを下げるのが筋。

公的資金と素人さんの資金が外人さんに取られた後は、また公的資金と投資家の資金が入りやすい水準までニッケイを下げ、再び屋根までご案内しますと言うのが日本市場を牛耳る外人。私は外人に相談を受ける立場だから外人さんの手口など先刻承知のこと。

「ここ一番!」は正に「ここ一番!のホット情報」、「インターネット・セミナー」は世界の何処からでも飛んでくる情報速報。

この世の中にはお金に代えられないこともある。

第975号(2015年4月7日号)

通貨(円)が紙くずになる!

黒田日銀総裁の追加金融(2014年10月31日 実施)で円の価値が103円から120円(2015年4月現在)まで約17%も失われた。その為消費税増税で一段と成長が落ちた日本経済の指標(ニッケイ 平均)は15,000円から19,700円まで30%も上昇したが、実は株式の価値が上がったのではなく株価を示す通貨(円)の価値が下がった為の現象に 過ぎない。株価上昇で自社株のフェイス・バリュー(表面価格)が上がり孫氏(ソフトバンク)、三木谷氏(楽天)、柳井氏(ユニクロ)の個人資産が数百億円 増えたと当時の海外ビジネスメディアが伝えていた。しかし円が紙くずになれば三氏の名もフォーブス等の長者番付表から消える。

世界のメジャー通貨はドル(世界基軸通貨)、ユーロ(EU19か国共同通貨)、ポンド(英国)、円(ローカル通貨)であるが、ドルやユーロのように一定の 経済圏の共通通貨はその経済圏の貿易量が通貨需要を支えるが、円のように共通通貨市場を持たないローカル通貨は黒田日銀のような見境なき増刷が続けば紙く ず(破綻)になる。アメリカとEUの財政は共に破たん状態だが共同市場が存在する限り通貨の破綻は免れるが、GDP比240%の負債がさらに増え続けてい るのに日銀は通貨(円)を刷り続ける。Short Japan (日本売り)が世界の金融プロの合言葉になっている所以である。日本の財政破綻、円崩壊はあるかないかではなく「何時」の問題である。

ところで破たんし難いはずの通貨ドルに今崩壊の危機が迫っている。

現在発売中の「小冊子」(Vol.66)で1971年8月15日のニクソン・ショックによるドル信認喪失を補てんしても余りあったPetrodollar System(原油・ドル・連結制)について述べ、また最近中国とIMF(国際通貨基金)が中心になって進めているドルに代わる国際新機軸通貨、さらに今 日までアメリカが不当に享受し続けてきたドル基軸のメリットが終わろうとしていることについて述べた。

中国は年内に二つの大事業を成し遂げる。その第一は、世界の通貨決済システムであるSWIFT(Society of World Interbank Financial Telecommunications)に代わる中国独自の国際決済システムCIPS(China International Payment System)の開設でドルに代わって人民元を中心にした国際通貨取引システムが導入されようとしている事実。

第二は10月以降の人民元の自由化が発表されることである。人民元決済高は2014年中で102%、2015年になると月間20%以上のピッチ。人民元自由化を待たずシェアが急増している。

IMFのSDR(特別引出権)のパッケージ通貨に人民元を加える準備も進んでいる。

購買力ベースでは中国のGDPも消費もアメリカを超しているので中国経済は今や世界で最も大きな影響力を持ち、2020年には世界市場は丁度終戦直後のア メリカのように中国の覇権下になる事が確実視されている。アジア・インフラ投資銀行(AIIB)、BRICS Bank等々でアジアのみならず世界中を中国中心の国際金融機関に巻き込もうとしている。

人民元自由化の今年からドルが国際基軸通貨の立場を追われ始めるのは確実。

今日のドルを中心としたNY市場は衰退し上海市場に移り、かつてのロンドンのようにアメリカの英国化が進む。ドルが衰退する時、潜在的破綻国家である日本 の通貨(円)など見る影もないだろう。日本は戦後から一貫したアメリカ追従で国益の為のあるべき国家戦略を考えようともしなかった。当然のことながら財政 破綻、円崩壊という天罰を受けることになる。

「転ばぬ先の杖」。「小冊子」(Vol.66)をご参考下さい。

第976号(2015年4月10日号)

トロイカ承知の上の「ドロボーに追い銭」!

私が予定した3月末の株式市場調整が小規模かつ短期間に終わりそうなので「世紀の大暴落」の時期が早まった、大暴落のきっかけは「外部要因」だと「ここ一番!」の読者に述べた。

外部要因の一つはギリシャ債務不履行問題である。

世界を騒がすどんな出来事もすべて「裏」があるものである。

5年前(2010年5月)トロイカ(EU、ECB、IMF)はギリシャの緊縮財政(3年間で300億ユーロ削減)、年金カット、公務員増員・昇給据え置 き、消費税増税(23%)等の履行とトロイカによる定期的財政監視を条件に1,100億ユーロ(約14兆円)の融資を決めた。

実はこの時トロイカ(特にEU)は「どんなに支援してもギリシャ経済が再生する可能性は皆無」と判断していたし、また同時にギリシャも「いずれローマ時代 からの通貨ドラクマに戻って国際競争力を付けよう。EUを離脱すれば困るのはEUでユーロ圏経済が壊滅的打撃を受ける。だから融資の条件は何でも飲んで取 れるだけトロイカから資金を取り、また4年後にEUから離脱するぞと脅かして連続融資を受ければいいではないか」と高を括っていた。

そこで今年になるとトロイカの融資条件を真っ向から否定するチプラス極左内閣が誕生、ギリシャは、「条件は守らないがカネよこせ」と「盗人猛々しい本性」を露わにしてきた。

4億5,800万ユーロのIMFへの返済額の期日4月9日の前日チプラス首相はロシアに飛びプーチン大統領と会談、EUの対露追加経済制裁にギリシャが拒 否権行使をするからロシアに短期資金の融資を頼むかのように演出してEUを脅迫。実はロシア迂回、ギリシャ経由でカスピ海原油・天然ガスをパイプラインで 欧州に送る計画についてロシアに将来の約束をするのが本命の話し。

現在欧州需要30%の天然ガスはロシアからウクライナ経由でパイプライン輸送していることからウクライナ内戦は欧州エネルギー支配をめぐる争いである。

欧州は対露エネルギー依存を軽減するため「南エネルギー回路」(カスピ海・アゼルハイジャン、グルジア、トルコ、ギリシャ経由でイタリアに抜ける回路)を 計画中。ギリシャはやがてウクライナと同じ欧州向けの最後のエネルギー中継地になる。ウクライナの親欧米派として知られながらチョコレート王としてロシア 系マフィアのボスである正体を隠しているポロシェンコ大統領は欧米とロシアの両旦那を相手に見事な「芸者振り」を見せているが、ギリシャが目指すは第二の ウクライナである。トロイカから借りられるだけ借りまくってやがてデフォルト(不履行)し、借金を踏み倒し無借金になってからEUを離脱しないでドラクマ 通貨に戻り欧州とロシアを手玉に取ろうと考えている。

トロイカはここ5年間でギリシャをEUから追い出す準備を完了しているが「南エネルギー回路」の為切ろうに切れない。ギリシャはウクライナのように国土の 30%(東ウクライナロシア語圏)をロシアに売るような手でなく、何時までもEUに泣きつきながら、事実上の欧州エネルギー支配でどこまでも資金をむしり 取ろうとしている。

アメリカ、サウジアラビア、ロシアが繰り広げるエネルギー争奪戦を睨みながらドロボー猫を演じようとしているギリシャ。

ところが気が付いてみたら中国という世界一の大旦那がギリシャに手招きをしていたという話し。面白いですよ!

音を立てて変動する世界を分かり易く解説する「小冊子」(Vol.67)をご参照下さい。

第977号(2015年4月13日号)

戦後70年と天皇陛下のお言葉

「先の戦争で亡くなったすべての人々を追悼し、そ の遺族の歩んできた苦難の道をしのびたいと思います」。これは天皇陛下念願のパラオ共和国ご訪問に際してお話になったお言葉である。戦後70年に際し、敵 も味方も含めて「すべて」の戦争犠牲者を哀悼する天皇は日本の天皇であると同時に世界の天皇になられたのだと感じました。

天皇陛下は日中国交正常化20周年(1992年10月27日)には中国をご訪問、さらに、2005年4月25日にはパラオに勝るとも劣らない激戦地サイパンをご訪問、米国の戦争犠牲者、韓国の犠牲者の慰霊碑に献花し追悼をされています。

20世紀の戦争は数百万人の犠牲者を出し、敗戦国は言うまでもなく戦勝国さえも多大な経済的損失を蒙り、「全く無意味な戦争」の連続でした。

「こうした戦争を二度と起こしてはならない」という世界の天皇のお言葉は正に20世紀の戦争の時代の終わりを告げる歴史的なお言葉であると考えます。

「歴史の終わりに」当たって

では20世紀の無意味な戦争の歴史は何故終わったのでしょうか。

私の過去の「小冊子」で述べたように、民主主義の思想とその啓蒙運動は17世紀から18世紀にかけて英国をはじめ欧州で起きた産業革命による産業の近代的 工業化の必要性からでした。人口の80%以上であった農奴を工場労働者にする為には奴隷を人間にする必要があり、「人間は神の下に平等である」ことを被支 配階級に啓蒙する必要があったのです。「人間になって何時か支配者(エリート)になって富裕層になりたい」という気持ちは労働生産性に効果的でした。

しかし経営者(支配階級)と労働者(被支配階級)の所得格差と優越感と劣等感から階級闘争が国内外に起き内戦と対外戦争が絶えず国家体制が度々脅かされました。

では何故無意味な内戦、外戦の戦争の時代が終わったのでしょうか。

それはアメリカの支配階級(エリート)が欧州に先駆けてのエリート又は貴族的特権を放棄したからです。このアメリカの世襲的、伝統的支配階級の特権放棄に 基づく民主主義は最早産業革命や時の経済に好都合な民主主義ではなく、人種、宗教、文化、伝統を超えて世界に支持されたのです。最早階級闘争や劣等感によ る国粋主義などを動機とした戦争が起きなくなったのです。

今後この民主主義思想と民主主義国家体制に勝る思想も体制も有り得ないと言うコンセンサスから「歴史が終わった」という結論が出るのです。

さて私が今執筆中の「小冊子」(Vol.67)で、20世紀の「無意味な戦争」が終わった今、新たに21世紀の「有意義な戦争」が始まったこと、そしてその展開を述べることにしています。

第978号(2015年4月20日号)

G7共同声明の駆け引き

共同声明で、世界経済の課題として「特にユーロ圏と日本で最近改善している」と言及した。

FRB(連邦準備理事会)が2014年10月末を緩和出口に時を合わせて即日日銀が追加緩和(80兆円)を発表し、ECB(欧州中央銀行)も同時に本年3月からの緩和を発表したので以後欧州、日本の株価は高騰を続けている。

緩和を止めたアメリカの優良企業指数は年初来1.8%の上昇にとどまっているが(S&P500は1/20が17,514ドル、4/17が17,826ドル)、ニッケイもFTSEユーロファーストもわずか3か月で20%近く上げている。

「日欧とも最近(年初来)改善している」のは経済ではなく株価である。

欧州経済はマイナス成長をやっと脱したところ。又内閣府の発表による2014年度の成長率は0.0%で欧州と同じく日本経済はゼロ成長である。

G20の声明は全くの「デタラメ」だが、何か意図があってのことだろう。(当然だが日欧を早く高値で売れと言うサイン)

今回のG20で中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)は参加国最大の関心事であったが正式議題にならなかったのは裏で「駆引き」があったから。

本年はIMF改革の年(5年目毎)で中国とIMF(国際通貨基金)は人民元をSDR(特別引出権)のパッケージ通貨(現在:ドル、ユーロ、ポンド、円)に加え中国の出資比率増でアメリカの発言力を押さえたいと願っている。

IMFの決議に唯一アメリカは議会決議による拒否権を持っている。

その為アメリカに対し、中国など新興国の出資比率を引き上げるための決議を「可能な限り早期に批准することを強く促す」と声明文に加えた。

AIIB参加を見送ったのは参加先進国中アメリカと日本だけ。

もし中国のIMF出資率増にアメリカ議会がNOと決議すればG20国からもアジアからもアメリカは完全に孤立する。

だから中国はAIIBを議題にしないことに理解を示し、アメリカにG20はもとより世界の圧力を掛けるのが国益と判断したのである。

中国の米国債保有高は世界一だったが今や日本がトップで中国は2位になり、中国はさらに米債保有を減らす傾向である。

中国が大量の米債を市場で売ればドルは暴落、NY市場は壊滅。

アメリカ議会が中国に対抗して自殺の道を選ぶか、習近平主席「お誘い」の通り米中二大国(G2)でアジア・太平洋の秩序を仕切ることを選ぶか決める時が来た。

IMFでの中国の地位向上を米議会が承認すればアメリカはG2(米・中)体制に巻き込まれ、最後は中国のGDP(購買力平均ベースでは中国はアメリカを抜いている)と消費力(2016年中のアメリカを抜く)がモノを言う。

IMFがドル基軸からSDRに代える準備をしている以上、「既にドル(アメリカ)の時代は終わろうとしている」のである。

今後「円高になる理由」は本日のインターネット・セミナーで解説します。

第979号(2015年4月22日号)

$57 Trillion Global Debts since Financial Crisis.(信用喪失危機以来5,700兆ドル負債増)

世界的著名なグローバル・コンサルティング会社、マッキンゼイの最新調査によると、アメリカのサブ・プライム・ローン焦げ付きが発端で2007年末から起きた世界信用危機以来世界の債務は約7,000兆円増加した。

ここで言う負債は一国の政府、金融機関、企業、家計の負債を加えた合計。

調査対象は先進国22か国、発展途上国25か国である。

2007年末から2014年末までの世界の総債務の増加をGDP(国内総生産)比で見ると269%から286%の増加。国により債務の増加が分野(政府、金融機関、企業、家計)によって異なっている。

アメリカの場合、2007年から16%債務が増えGDP比では233%の増加。

内訳を見ると、家計18%、金融機関24%、企業2%、合計で44%債務を減らしているのに全体で16%債務が増えたのは政府債務が増えたからである。

日本の場合を見ると、同じ期間債務は64%増加、金融機関、企業、家計とも債務を減らしていて、債務を増やしたのは政府だけでGDP比は何と400%。

事実上財政破綻状態のギリシャ(約100%)の4倍、アイルランド(約130%)の3倍である。

中国の債務は同期間83%増加したがGDP比は217%、率としては全体で日本よりはるかに低い。

IMF(国際通貨基金)の「グローバル・金融安定に関する報告書」は「ある国の金融政策により2014年10月末から世界の金融制度のリスクが増大した」と名指しはしないが日銀の追加金融緩和(10月末発表)をリスク増大の主因にしている。

世界の良識は、黒田日銀総裁就任時「黒田氏の気は確かか?」などと言っていたが、最近は「黒田氏はゾンビ」(得体のしれない動物)に変わり、「諦め」に変わった。

日銀と公的年金運用機関の資金を市場におびき寄せておいて、ありがとうございますと頂く為にニッケイを操る外資は株価を上げたり下げたり忙しい。

世界の経済史上これほどひどい経済政策(財政・金融)はないとIMFから信用リスク元凶と決めつけられた国の株価の上昇率が世界一と言うことはどういうことか考えた方がいいのだが。

第980号(2015年4月30日号)

嵐の前の静けさ

ここで言う「静けさ」とは市場のことで、値動きが静かか、静かでないかはVIX(ボラティリティ・インデックス)別名恐怖指数で表され、市場参加者の心理を表す。

VIX指数が低ければ値動きが小さく、指数が大きければ値動きは乱高下であることを示す。現在のNY市場のVIXは10‐13で2006年以来最も低い。

2007年末から始まった暴落の前夜は今日と同じくVIX指数は最低であった。

Bloombergの最近のアメリカにおけるLeveraged lending(株式売買信用貸付残)の指標によると2006年のピーク100は2008年9月の暴落時には60まで下がったが現在は100に戻り、正に暴落前夜の様相。

FRB(連邦準備理事会)は2008年から600兆円相当の緩和資金を、資金を必要としない市場に国債を買う形で投入、資金インフレによる金利上昇を人為的に押さえてきた。

もし各先進国中央銀行の超大緩和が無ければ、株式、債券、不動産価格の上昇は有り得なかった。

FRBは支払い不能の米国債と心中することは出来ないので緩和(国債買い)を昨年10月末に止め、今や利上げ時期を模索している。

中央銀行が国債を買うから安心して国債を買ってきた結果短期国債の利回りはマイナスになっている。潜在的不渡り手形を割り引くと、金利を払うどころかご褒美として金利がもらえるのである。

FRBが言う「正常に戻す」とは、不渡り型手形であろうと、一流手形であろうと割り引くには金利を払わなくてはならない状態に戻すということである。

世界の中央銀行としてのFRBが世界の金利を上げると言うことである。

ロシアと中国は米国債の値がピークの現在盛んに売りながら外貨準備から米国資産を減らしている。

日本の公的資金で米国債を買い続けているが、日本の資金が間接的にロシアと中国に取られていることになる。今後起きることは国際的米国債の売り圧力。

米国債10年物利回りが2%を超えて上昇し始めると、一斉に米国債売りの流れが加速し、国債市場、株式市場、不動産市場が暴落に向かうだろう。

「米国債市場が暴落の発端になる」と私が言ってきたが、その通りの様相になってきた。

今後の戦略的ナウな情報は「ここ一番!」と増田俊男の「目からウロコのインターネット・セミナー」をご参考下さい。

第981号(2015年5月11日号)

世界通貨戦争の勝敗は決まった!そして「資産価値に地殻変動」が起きる!

2020年頃になると、「2014年7月15日」が「アメリカ(ドル)世界一極支配の終焉」を決めた記念日として歴史に残るだろう。

2014年7月15日、ブラジルのフォルタレザで新興5か国BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)に「アメリカの裏庭」と言われる中 南米諸国首脳がオブザーバー参加してBRICs首脳会議が開催され、2015年に向けてアメリカ主導のIMF(国際通貨基金)と世界銀行に代わるブリック 開発銀行、アメリカ・日本主導のアジア開発銀行に代わるアジア・インフラ投資銀行(AIIB)、さらに世界的金融危機に対処する安定化基金の創設を決め た。プーチン大統領(ロシア)が会議に先立ち、「現在の国際金融制度はドルに、より正確に言えば、アメリカ政府の通貨・金融政策に過度に依存している。 我々BRICs各国は、この現状を変更したいと望んでいる」と述べたように、フォルタレザ宣言は正にドル基軸通貨体制に対するBRICsの挑戦であり、宣 戦布告でもあった。

BRICs諸国の人口は世界の半数、GDPは昨年現在で世界の30%だが2020年には50%を超すことは確実。人口においても経済力においても、今までのアメリカ中心、日本を加えた欧米勢力を圧倒する。

アメリカと言うよりアメリカのFRB(連邦準備理事会)の創設(1913年)を主導し連銀の大株主である勢力(R系独占資本)は、ドル一極体制のリスクを 回避しようとする動きには手段を選ばず徹底的に制裁してきた。基軸通貨の特権(第三国間の交易はドル需要に貢献する)とペトロダラー(OPECの原油の取 引通貨はドル独占)のドル価の下支えが無ければドル崩壊は自明だからである。

殺人を含むいかなる犯罪行為もドルと言う生命が脅かされれば正当防衛という哲学である。OPECの盟主サウジアラビアの新国王キング・サルマン(2015 年1月アブドラ国王死去後王位継承)は輸出量激減のアメリカから逆に激増する中国に傾倒、原油決済通貨ドル独占の是非を検討し始めている(ペトロダラー崩 壊の危機)。サウジアラビアの安全保障と引き換えにドルを原油取引通貨にしているにもかかわらず、オバマ政権はサウジの敵国であり最大の脅威であるイラン に課した経済制裁を解こうとしている。又IMF(国際通貨基金)は既に10年前からドル基軸通貨に代わる新国際通貨の研究と準備を続けている(ドル基軸制 終焉の可能性)。

2009年2月のG7に出席した中川昭一財務大臣(当時)は、当時南欧諸国の財政危機救済のため日本に対IMF出資を求めていたストロス・カーンIMF専務理事と会談、1,000億ドル(当時約9兆円)の出資を約束した。

私は中川氏とパリでお会いしたり、日本での諸会合で意見交換をする機会があったが、氏は日本の外貨準備ドル資産一辺倒のリスクを心配し、何とかしなくては と考えていた。「ドルが何時までも基軸通貨であるとは限らない。日本はドル(アメリカ)と心中してもいいのか」が口癖だった。中川氏にとってIMFへの 1,000億ドルの出資は「渡りに船」であった。当時の麻生総理と中川財務・金融大臣は1,000億ドルの米国債(米資産)と同額のIMFのSDR(主要 4通貨と交換出来る債券)と交換することにより外貨準備から米資産を減らすことに成功したがアメリカは激怒した。日本は戦後一貫してアメリカの借金(米国 債)を買い続け、決して手放さないのでアメリカにしてみれば日本が保有する米国債は一切流通することなく(売られることなく)、また返済の必要もなかっ た。

ところが1,000億ドルの米国債が日本の外貨準備からIMFに渡るとIMFから流通する可能性が生じる。結果日本のIMF出資の発表と同時にドルは 100円から75.50円に向け急速に下落し始めた。日本の外貨準備から米資産を減らすことを画策した中川氏と、それに協力したストロス・カーンIMF専 務理事は早速R系独占資本から制裁を受けることになった。中川氏は2009年2月、ローマ(イタリア)でのG7期間中財務省のT国際金融局長、S財務官、 Y新聞経済記者(女性)同席のテーブルで睡眠薬入りワインを飲まされ、その後強引に記者会見会場に連れて行かれ、酩酊記者会見、帰国後中川氏は国際的恥さ らしとして財務大臣辞任に追い込まれた。日本の財務官僚TとSに一連の指示を出していたのはR系独占資本子飼いの世銀総裁ロバート・ゼーリックである。T もSも所轄大臣の不始末の責任を問われるどころか、Tは財務官に、SはIMF副専務理事に出世した。一方中川氏はその後不慮の死を遂げることになった。中 川氏のドル資産減らしに協力したストロス・カーン氏はニューヨークのホテル滞在中対女性従業員婦女暴行容疑でNY市警に逮捕・留置された後本国(フラン ス)に送還されたが後に原告の女性はある人物に頼まれて偽証したと告白した。

では2014年7月15日のドル体制廃止へのBRICsの挑戦に9/11(セプテンバー・イレブン)を陰謀・実行するほど実力を持つ勢力は一体何をしたのだろうか。

BRICs首脳会議当日の7月15日モスクワ鉄道爆破事件、プーチン大統領帰国中の飛行機が上空にいた7月17日、ウクライナ上空でマレーシア航空機撃墜 (NATO米軍レーザー照射による撃墜)。7月23日、中国と国境を接する台湾領で航空機墜落。7月24日BRICs会議オブザーバー参加国アルジェリア で航空機墜落。7月15日から7月24日までの10日間にこれだけの連続事故を起こすことで「見せしめ」にしようとしたR系独占資本の旧態依然の脅しに他 ならない。

2015年3月31日の中国主導AIIB参加申請締め切り前にR系独占資本が中央銀行設立を主導したイギリス、フランス、ドイツ、イタリアが参加を決めた。

このことは「歴史の終わり」を意味する。

R系独占資本は今日までアメリカとドルを道具として世界の富を吸収してきたのでドル防衛に徹してきたが、これからは中国と人民元を利用して世界を支配する ことを決めたのである。(1月27日発行「小冊子」Vol.64第2章24ページで予告)世界の基軸通貨がドルからIMFのSDR(特別引出し権)に移る 前に先ず人民元がSDRのパッケージ通貨に加わることを決め、さらにSDRパッケージ通貨をG20諸国通貨にまで拡大する。世界の主要国通貨がSDRパッ ケージ通貨になり、SDRが為替(FX)市場で取引される時が「ドル基軸制終焉日」である。

2016年1月に人民元がSDRパッケージ通貨になり、かつ自由化されるとドル基軸は揺らぎ、金融資産はもとより不動産、動産、ソフト資産等すべての資産価値が大変動する。当然先読みの市場は本年中に大暴落となる。

この大動乱の時に、我々の持てる資産を守るだけでなく、変化の波に乗って増大化をはかるために何をしたらいいのか。今後数か月以内に我々の人生、子孫、蓄積してきた資産はもとより我々のビジネスにとっての死活問題が起きる!

今後「ここ一番!」で下記の要領で解説する。

前場‘(さわり):ごく最近開かれた米FRB、財務省、Pentagon(国防総省)、CIA、Wall Streetの各代表の「ドル崩壊の善後策」についての超極秘会議の内容について。

第一話は、前財務長官、元ゴールドマン・サックス会長(R系独占資本の代理人)がリーマンショック(2008年9月)直前の6月NY証券取引所の秘密会議 室で30名のエリート達に述べた、「6年後に大暴落が起きるが、その時はFRBも米政府も一切Bail out(救済)しない」と言った言葉の意味を解説する。

それを知れば日本が今どんな「罠」にはめられているか、そしてその結果どんな悲劇が待っているがわかる。

第二話は、R系独占資本の承認のもとに傘下のイギリス、フランス、ドイツ、イタリアが中国主導のAIIBにこぞって参加、中国は大歓迎だが、中国が得るものと失うものを解説する。(失うものの方が大きい)

第三話は、ドル衰退と崩壊に至る過程を時間(年)差で解説する。

第四話は、ドル崩壊と大暴落の過程ですべての国と国民が悲劇のドン底に落ち込む中で「ここ一番!」の読者が未曾有の利益を上げる道筋を指導する。

第982号(2015年5月15日号)

今日のお話は:「オイル戦争」です。

原油価格は2014年6月のピーク105ドルから 徐々に下げ11月27日のOPEC(石油輸出国機構)の総会日前後は80‐85ドルでした。市場関係者もアナリストも当然OPECは減産で価格下落を止め るだろうと予測していましたが、現状維持だったため以後原油価格の下落が続き、同年1月には1バーレル45ドルまで落ち込みました。このサウジアラビア主 導のOPECの決定はアメリカに対する経済的挑戦です。2013年12月の時点でのアメリカのサウジアラビアからの原油輸入量は1日あたり150万バーレ ルでしたが、1年後は半減しています。サウジアラビアやロシアの原油生産は国営ですから原油の市場価格にかかわらず生産量の自由裁量権がありますが、アメ リカの原油生産は市場価格がコスト以下になれば生産を止めることになります。アメリカはシェールガス・オイル革命で原油生産量が2005年以来急速に伸 び、現在では天然ガスではロシアを抜き世界一、原油もサウジアラビアの世界シェア13%(ロシアも13%)に肉薄する11%にまで上がってきているのでサ ウジアラビアにとってアメリカは大事な輸出国から恐ろしい競争相手になってきたわけです。

サウジ主導のOPECが減産せず、原油価格を暴落(62%)させることでアメリカの原油生産に歯止めをかけようとしたのです。確かにその効果はあり、アメリカの原油井戸60%が一時生産停止に追い込まれました。

もう一つのサウジアラビアの対米政治攻略は4月22日、イエメンで勢力を拡大しているシーア派のフーシ派武装集団に対するOPEC加盟国を中心にした有志 連合による空爆です。シーア派支援のイランは空母2隻をイエメンのアデン港に覇権し、サウジアラビアが最も恐れるイランとの対決の様相が深まってきまし た。このサウジアラビアとOPEC諸国の危機に対してアメリカはサウジアラビアに軍事情報提供はするが一切軍事支援はしません。

4月27日発行「小冊子」Vol.67、第2章「エネルギー資源・市場争奪戦」の15ページで解説した通り、ドルが崩壊しない理由の一つは「ペトロ・ダ ラー」(OPEC諸国の原油取引通貨をドルのみとする)であり、それはアメリカがサウジアラビアを中心としたOPEC諸国の脅威の対象であるイランとイス ラエルからの安全保障が条件でした。アメリカはイランの核能力制限について6月30日にIAEA(国際原子力機関)の確認を得て最終合意に達することに なっています。そうなると対イラン経済制裁は解かれ、中東第二の産油量のイランの原油が市場に出ることになり、サウジアラビアにとって軍事脅威だけでなく 経済脅威にもなります。イスラエルは政治的、サウジアラビアは政治・経済両面からアメリカに対イラン制裁解除反対を唱えてきました。サウジアラビアと OPEC諸国のイエメン空爆はアメリカの対サウジアラビア等OPEC諸国に対するアメリカの安全保障をテストすることでもあり、アメリカに代わって OPEC諸国にとって最大の原油輸出国になった中国に人民元で原油を売る為の政治的下準備でもあります。サウジアラビアのキング・サルマンが6月の訪米を ドタキャンしたのは更なる原油増産で原油価格を下げアメリカの原油生産にストップをかけ、一方ペトロ・ダラーに揺さぶりをかける作戦の一環です。

「ドル暴落の日は近い」!と言うことです。

次回の「小冊子」Vol.68は「エネルギーとマネー戦争特集」です。

世界の政治・経済はエネルギーとマネー戦争の過程と、既に見えてきた結果で大きく変わります。大げさに言えば今回の「小冊子」は「今世紀必読」の書になるでしょう。

「ここ一番!」の情報発信についてのおことわり。

実は「ここ一番!」と言う私の情報誌に貴殿から聞 いた4月17日、Pentagon(国防総省)L室で開かれた秘密会議情報の一部要約を掲載しようと思うが、どの辺までなら大丈夫かと聞いたところ、「私 からの情報を経済的、政治的に増田さんが活用するのは一向構わないが、例え一部でも会議の内容として公表するのは困る。自分が言ったいろいろな具体名も記 録に残さないでほしい」と友人から注意されたので当然のことなので従うことにしました。

従って来週月曜(5月18日)の「ここ一番!」の「さわり」は、私の所見として「ドル崩壊とNY大暴落を想定したアメリカの戦略」と題して述べます。

第一話:2008年9月のリーマンショック前の6月、ヘンリー・ポールソン財務長官がエリート30名を集めて、「6‐7年後に起きる大暴落ではFRBも政 府も一切Bail out(救済)しない」と言った通り、これから起きる大暴落の救済は他国(日本を含む)に押し付けることなっている。狙われた日本はどうなる。

第二話:アメリカの意向に反して中国主導AIIB:アジア・インフラ投資銀行に参加を決めたイギリス、フランス、ドイツ、イタリアと中国の利害関係と今後

第三話:ドル基軸の崩壊の過程

第四話:世界金融システム崩壊と新システム誕生の変化の過程で誰もが資産を失う中で「ここ一番!」の読者が大変化に乗じて巨万の富を手にする方法

についての変更はありません。

第983号(2015年5月18日号)

大阪都構想

私は毎日(月―金曜)のラヂオもりおかの放送(http://radiomorioka.co.jp/streaming/sakate_katsu/ ) で、一週間ほど前に大阪都構想について聞かれ、「政界引退まで決意してご自分の信念を貫こうとしている橋下市長は立派だが、大阪を5つの特別区に分ける構 想はいただけない」と述べ、市であれ国であれ、政体が強くなりかつ競争力を持つには「分散ではなく集中」であり、「中央集権主義」があるべき民主主義の基 本だと述べた。

国体で言うなら、フランスをはじめとした欧州諸国を見れば分かる。

フランスの労働組合は強力で中央政府は太刀打ちできない。

オランド大統領自身も社会主義者である。

中央の権力を地方に分散し、高額所得者に増税し、低額所得者を手厚く救済。

結果若者の失業率は二ケタで、彼らは雨の日も風の日も年中失業保険事務所や福祉事務所に群がっている。

一方アメリカの高額所得者の税金は減り続けている。

結果アメリカは世界経済一人勝ちである。

日本の地方分権主義者はフランスから何かを学ぶべきだろう。

新情報満載、「小冊子Vol.68」の目次が決まりました:

はじめに:世界経済見通し(Outlook)

原油価格下落と世界経済:先進国、新興国、発展途上国の経済はどうなるか。(アメリカ、中国、ユーロ圏、ロシア、日本、アジア、中東、中南米、アフリカ)。アメリカ、ユーロ圏、中国を集中解説。

第一章:サウジアラビア決死の対米挑戦

第二章:ドル叩きの中露とアメリカの反撃

第三章:想定内暴落の最大犠牲国、日本

第四章:新基軸SDR(IMF特別引出権)をめぐる米中欧の葛藤

第五章:ドル・株式暴落に備える資産配分50:40:10法

第六章:変化に乗って巨万の富を得る方法(何を売り、何を買うか)

おわりに:もう一度「資本の意志」を聞いてみよう。

第984号(2015年5月21日号)

世界株式市場史上最高値!

ニッケイも年初来高値を抜き、最高値を抜けばまたNYも連日最高値。

欧州、中国(上海)市場共に年初来高値更新!

アメリカのファンダメンタルズはFRB(連邦準備理事会)が上げを真剣に考えるほど良いが、日本を始め欧州も中国も経済成長は鈍化し、IMF(国際通貨基金)が2015年の見通しを下方修正したほどだ。

世界の株式市場は完全に実体経済から乖離している。

その理由は先進国のみならず中国を始め新興国や発展途上国まで通貨安競争に専念しているからだ。実体経済に新たな資金需要は無く、企業は余剰資金の使い道 がなく自社株買いや社債の前倒し返済をしている。経済に資金需要がないのに何故日本を筆頭にマネタリーベース(市場に出回っていた資金)の数倍もの金融緩 和を続けているのだろうか。黒田日銀総裁もドラギECB総裁も「インフレ目標2%を達成するまで緩和を続ける」と言っているのだから「緩和の目標は物価」 と言うことになっている。これこそ正に「世紀の欺瞞」である!

実は黒田総裁もドラギ総裁も「いくら緩和をしても物価は絶対に上がらない」ことは百も承知なのである。アメリカ(FRB)が日銀が異次元金融緩和を始めた 2014年の4月4日の直後(5月)から緩和縮小を始め、10月末で完全に緩和を止めた。それは「緩和で物価を上げることが出来ないことが緩和政策5年の 経験で分かった」からである。だから前述の通り日銀もECBもいくら緩和してもインフレ・ターゲットは達成出来ないことを承知の上で追加緩和に走っている のである。それは何故か?「アメリカ(FRB)が緩和を止めて利上げを予定している」という情報を執拗に世界に流し、日銀を筆頭に全世界の中央銀行が緩和 をし、全世界緩和オンパレードになったらどうなる?

そこでアメリカを除く世界の中央銀行が緩和で通貨を刷りまくればどうなる。

通貨は「資本の意志」に従って、ゼロやマイナス金利の国から10年物国債の利回りが2.3%もしている国アメリカはNew Yorkへ飛び立つ。

ニッケイ平均が最高値になるのもユーロ・ネクスト(欧州市場)が上げ続けるのもNew York行きの飛行機を待っている待合室の混雑と同じだ。

飛行機が来たら全員飛行機に乗ってNYに飛び立ち、待ち合室は人っ子一人いなくなる‐‐‐日経平均大暴落!

日銀はFRBの日本支社、日本の財務省はアメリカの財務省第四課。黒田総裁がFRBのトリックを承知で「物価の為の緩和」など根も葉もない発言を繰り返しながらFRBの指示に従っている姿は哀れなものだ。

ニッケイが上がれば上がるほど暴落が近くなることを一時たりとも忘れてはならない。「世界の損はアメリカの得」!

「ここ一番!」で、表に現れないお話しをすることになっています

第985号(2015年5月25日号)

株価バブルの陰謀

上図はアメリカの中央銀行FRB(連邦準備理事会)のマネタリーベース(市場に流通する通貨量)の推移である。

マネタリーベースは1800年代からニクソン大統領がドルと金の交換制廃止を発表した1971年8月15日までほとんど増えることなく一定のレベルを保っている。

それは事実上の金本位制のもとでは市場が必要としない余分な通貨を発行出来なかったからである。FRBは2008年から金融緩和を始めたが日本では、 2014年4月4日黒田総裁が異次元金融緩和をするまでの6年間白川前総裁は「日銀券ルール」を順守し余分な通貨の発行を差し控えたのでマネタリーベース は138兆円台で安定していた。

その後黒田総裁がマネタリーベースの約2倍、270兆円の緩和に踏み切ったのはご承知の通り。

FRBの第一次緩和(QE1)前のマネタリーベースは$1.1 trillion(約130兆円)であったが、2014年10月末の第三次緩和(QE3)終了時は約4倍の$4.3 trillion(約510兆円)に達していた。

上図は1900年台からの生産性と労働者賃金の推移である。

生産性は技術・情報革命等と人員整理(レイオフ)により右肩上がりで伸びているのに比して賃金の伸びはほとんどない。

生産性の伸びとレイオフにより創造された資産増からコストである賃金を差し引いた膨大な富はどこへ消えたのか。

忘れてはならないことは1971年のニクソン・ショック以来労働者の共働きが増加し続けてきた事実である。

今や1971年の倍も働いているのに所得は増えていないと言うことだ。

生産性を上げた張本人の働く者が当然得るべき富を奪ったのは誰だ!

それは通貨発行の自由裁量権を持つFRB(中央銀行)と国民1%の市場権威者(エリート)との共同謀議の所産である。

FRBは生産性とレイオフにより創造され資産から賃金所得を差し引いた富に相当する通貨を市場に供給する。

スマートマネーと言われる1%のエリート特権階級は、FRBからまるで天から降ってくるが如く市場に供給される通貨を競い合って懐にする。

1%のエリートが巨万の富を得ているのを見て、99% が有り金をはたき、出来る限りの借金をして市場に参加してくると株価が最高値を更新し始める。

すると必ず元財務長官やFRBの元議長(金融・財務官僚の代理人)などが市場のエリート達を集めて暴落の予告をする。(2008年のリーマン・ショック時の3カ月前の6月30日と2015年4月17日に秘密会合が持たれた)

予告後からFRBもエリート達お抱えのアナリスト達も一斉にアメリカ経済のGood Newsばかりを吹聴する。99%はまだまだ株価が上がると信じ、さらに買い増すため借金を増やしながら株を買い続けるから株価はさらに高値更新。エリー ト達は99%の精いっぱいの借金による精いっぱいの買い増しで株価が上がれば上がるほど売り続ける。

そこでFRBがネガティブニュースを流すと株価が大きく下げ、極度に借金をしている99%は追証に陥り、売りが売りを呼んで暴落となり一瞬の内に99%は全滅する。

借金だけが残った99%は安い給料で一生懸命働かざるを得なくなる。

夫婦揃って低賃金で一生懸命働くからまたもや生産性が向上し、5年も経つと生産性向上による資産増と賃金所得の差が拡大し、株価が再び上昇気流に乗る。

そしてまた、、、223年前NY市場発足以来の同じ歴史が繰り返される。

エリート達は金融資産や不動産資産、高価な芸術品を所有する。

通貨の購買力は通貨発行高に応じて減価するからエリート所有の資産価値は相対的に増大化するが、所得が伸びない労働者は資産価格の上昇に追いつけない。

だから緩和を採れば必ず貧富の差が拡大するのである。

永遠に変わらぬ「市場のカラクリ」を頭に入れておくことが大事。

増田先生はエリートなのですか?とよく聞かれる。

私はエリートではないが、毎回秘密会議に出席している友人がいる。

最近はエリートになったつもりで友人にアドバイスをすることもある。

私の使命は「99%を1%にご案内すること」だと思っている。

*本日は「増田俊男の『目からウロコのインターネット・セミナー』」で、経済に最も大きな影響を与えるエネルギーについて「原油価格のカラクリ」として面白いお話をします。

第986号(2015年5月28日号)

本日「小冊子Vol.68」発送開始!

新しい情報を追加したため入稿が2日間ほど遅れたが、内容が濃くなった。

【内容】

はじめに:世界経済見通し

世界経済全体の見通しと、アメリカ、欧州、中国、日本の2015年経済見通し。

第一章:サウジアラビア決死の対米挑戦

揺らぐペトロダラー(中東原油の取引通貨ドル独占でドル価を支えてきた)

アメリカとイランの雪解けがサウジアラビアに与える政治経済インパクト

第二章:ドル叩きの中国・ロシアとアメリカの反撃

中国・ロシアは外貨準備のドル資産売却を続けるのに何故ドル価上昇が続くのか。

第三章:計画された暴落で日本が最大の犠牲国にされるカラクリ

日本に政治圧力を使わず、市場圧力で日本にアメリカ救済を強制

第四章:将来の新基軸SDR(IMFの特別引出権)をめぐる米中欧の葛藤

中国に接近するIMFとIMF改革を5年間遅らせたアメリカの真意

人民元逆ペッグを狙うアメリカ、人民元と固定相場化を狙う欧州

人民元に草木もなびく。

第五章:ドル・ニューヨーク暴落に備える50:40:10財産配分法

どんな資産にどのように配分したらいいのか、何を売って、何を買うべきか

おわりに:もう一度「資本の意志」を聞いてみよう

独占資本が動く、世界経済秩序が変わる。

*今回はかなりアカデミック(専門的)に書いたので、乞うご期待。

*本日の「ここ一番!」はいよいよ第三話:「ドル基軸崩壊の道筋」についてと、日本の株価について、「価格操作はいつ終わるのか」。

*本日の増田俊男の「目からウロコのインターネット・セミナー」は、「暴落の時期」について

第987号(2015年5月29日号)

超円安は暴落の兆し

2013年4月4日、黒田日銀総裁は異次元金融緩の名の下に2013年末のマネタリーベース138兆円の倍に当たる270兆円の緩和を発表。

さらに日銀はFRB(米連邦準備理事会)が第三次緩和(QE3)を止めたその日(2014年10月末)に80兆円規模の追加金融緩和を実行に移した。

日本の度重なる金融緩和と言う名の通貨安政策で国際競争力を付ける日本に対抗して欧州中央銀行もアジアの新興国も利下げと緩和に走った。

その結果アメリカだけが緩和を終了、さらに利上げを予定しているので、資本の原理に従って価値の下がる通貨から価値が上がるドル市場へ世界の資金が一極集中した。

日銀が緩和を続行する限り、対ドル円安は続く。

私は2カ月前「ここ一番!」の読者からの質問に、「対ドルで円はやがて125円になる」と答えた。

ギリシャ問題も未解決、もしギリシャがデフォルト(債務不履行)になればさらにドル高が進行する。

ドルが高いのも、NY株価が高値更新を続けるのも日銀を中心にした緩和続行の為である。

FRBは本年9月に利上げを予定しているようだが、明確な発言は避けている。

おそらく本年6月17日のFOMC(連邦公開市場委員会)で9月からの利上げをかなり明確にするだろう。

9月利上げが決まると、一斉に国債が売られ、金利が上昇に転じる。

ゼロ金利時代、Fiat money(紙切れ通貨)時代の終焉である。

ゼロ金利で自社株買いと社債の買取りで財務状態を好転させてきた企業は金利負担が増幅、とたんに赤字増大。

売れ続けてきた住宅はストップ。

企業利益は下がり始める。

失業率は増加に転じる。

ローソクは消える寸前に輝くが、今がその時である。

6月17日までの運命!

第988号(2015年6月2日号)

Momentum(勢い)

「勢い」は何時までも続かない。

2013年4月4日の異次元金融緩和以来日銀は国債を買って金利をゼロに集約しながら市場に流通する資金量(マネタリーベース)の二倍に当たる270兆円 の資金を市場に供給、さらに2014年10月末に80兆円に及ぶ追加緩和を行ったため、私が言い続けてきたように、円通貨の価値(購買力)が下がった分だ け株価と不動産価格が上がっている。

日本の株価は日本経済に何の関わりも無く、株価が上がる「こじつけ理由」として経済情報が必要なだけである。

従って株価の先行きを知るには経済ではなく株価を押し上げてきた緩和量と緩和出口を知ればいい。緩和政策は本来不況時の「カンフル剤」であって不況の原因を改善し経済を通常に戻す働きはない。

不況の原因を改善するのは金融政策ではなく「財政政策」である。

日本政府は世界の群を抜いて経済史上最大のGDP比230%の債務を抱えていながら毎年数十兆円の赤字国債(会社で言う融通手形)を発行している。

日本の国債はギリシャ以下の潜在的不履行債券である。(ギリシャの主な債権者はIMFや欧州諸国)

日本がギリシャのように国債不履行にならないのは債権者(国債保有者)がほぼ100%国民であって、国民は国債償還不能になるまで保有し続ける。

日本の国民は「日本の国債は潜在的不履行債権であり、利回りを考慮すれば保有すればするほど損をする」ことを承知しながら決して売らない世界に例のない愛国者だから。

「ここ一番!」で「今週(6月1日)からは下げ相場」と述べたが、NY市場も日本市場も「疲れが出てきた」。

カンフル剤を飲まされると最初は驚くほど効いて気分が良くなるが、2013年4月4日から毎日飲まされたら慣れてしまってあまり気分の良さが感じられなく なった。そこで昨年10月末の追加投与でカンフル剤の分量が増えたので気分爽快になったが、また効かなくなりつつある。緩和は麻薬と同じで慢性化する。

ニッケイは外人が意図的に場が閉まる寸前に先物で成り行き買いを入れ続けているから12連騰だが、上げ幅はわずか20‐30円で勢いがなくなってきた。

「笛吹けど踊らず」で、NY市場も同じである。

黒田日銀総裁は、追加緩和は考えないと言う。

ではどうなる?!

第989号(2015年6月10日号)

増田俊男の「時事達観」

私は「下山の哲学」という言葉を創った。

21世紀になり先進国の生活水準はピークに達し、モノやサービスの需給関係がやや供給過剰になり物価は上昇せず、下落気味(デフレ状態)に陥り、インフレ調整後の経済成長はゼロまたはマイナスになった。

先進国の経済成長の停滞と時を同じくして政治覇権競争の時代が終わった。

人類の経済成長・政治覇権拡大が頂点に達した20世紀の時代から経済低成長・政治非覇権の21世紀に移ったのである。

正に時代は「登山の時代」から「下山の時代」になった。

私はかつての「小冊子」で「時代の変化による価値観の変化」と「変化に対応する生き方」につき解説している。

1944年7月アメリカのニューハンプシャー州ブレトンウッズ市に連合国44カ国が集まり、IMF(国際通貨基金)をはじめとする戦後の国際金融体制を決め今日に及んでいる。

しかしブレトンウッズ体制の中心的存在であったアメリカの経済成長は停滞、軍事予算は毎年削減でオバマ大統領が「アメリカは最早世界の警察ではない」と宣言したようにアメリカは既に世界政治覇権を断念している。

日本を筆頭に先進国の歳出は常に歳入を上回り結果公的(中央・地方)負債は返還不能に陥っている。

先進国に課せられていることはマイナス成長から脱出するため技術開発(イノベーション)と政治・経済構造改革による生産性向上と競争力強化以外にない。

2008年9月のリーマンショックから世界は不況入りしたが、本来成長が止まった時代の不況対策は、不況を放置して落ちるところまで落として自律回復を待 つのが本来であるが、FRB(連邦準備理事会)の主導で世界中が金融緩和に走り今日の資産バブルを招いた。安易な「緩和政策は生産性の敵である」。

緩和は生産性向上でなく通貨安で競争力を付けようとする邪道の政策である。

今の好況感は、実際には存在しない「仮想資産」を反映しているに過ぎない。

バブルは何時までも続かない!

第2四半期に入って欧州、アメリカ、日本等先進国のGDP(国内総生産)が年率で3%だとか4%だとか囃しているが、年率と言うなら過去1年の「傾向」を見なくてはならない。

先進国の経済成長は明らかに低迷が続いている。

「2カ月連続マイナス成長なら不況」、「2カ月連続プラス成長なら景気回復」と言うのはBear(売り方)とBull(買い方)の宣伝文句でしかない。

今先進国経済は不況下にあること知りながら利上げを目論むFRBの真意のほどは今回の「小冊子」(Vol.69)で学んで欲しい。

第990号(2015年6月12日号)国会議員号

安保関連法案違憲騒動の非常識

「日本の常識は世界の非常識」とは恩師竹村健一先生のお言葉である。

集団的自衛権や安全保障関連法案の違憲・合憲論議が盛んだが、「一から十まですべての議論は世界の非常識」である。

アメリカ(GHQ)の占領下にあり、主権が無かった1946年に骨子が出来た日本国憲法、特に憲法第九条はアメリカ(マッカーサー)が当時の日本政府の反 対を押し切って法制化したもの。だからサンフランシスコ平和条約(1952年)で日本が主権を回復した時点で改正すべきものであった。

何処の国でも時代の流れに沿って変化する政治、経済に適合すべく改正を続けるのが世界の「憲法の常識」である。

日本は戦勝国から与えられた憲法を一言一句変えることなく後生大事に守り続けている世界の超非常識国家である。

アメリカをはじめ世界のいかなる国の憲法も「Amendments(改正)」の文字、文章で満ち溢れている。

終戦後のGHQ支配下の日本と主権を回復した日本とでは国体が180度異なる。

何故憲法は改正されなかったのか。

日本の通貨である円が1ドル=360円の固定相場で「アメリカにおんぶにだっこだった時代」から瞬く間に「”Japan as No.1”(日本は世界一)」に変わったのに何故憲法は変わらなかったのか。

現在国会で展開され、マスコミも論議する安保関連法案の違憲・合憲論議がナンセンス(無意味)なのは、国会議員、憲法学者さらにマスコミは「日本の憲法は 今日の日本を司り得る憲法ではない」という認識と「憲法とは何か」、「憲法の存在意義」の大前提の持ち合わせがないからである。

正に「憲法の為の憲法」の揚げ足取り合戦に明け暮れしている。

「憲法は国家と国民の為に存在するもの」であって、時代の変化にそぐわない憲法の条文も字句も意味は無く、議論には当たらない。占領下の日本ベースの憲法 を持つ日本では「政治主導」を徹底しないと国家と国民の為にならないのである。国会は政治の場であってアメリカの占領下時代の憲法を重視したり、軽視した りする場ではない。

憲法9条は日本がアメリカの支配から独立し、主権を回復した1952年に本来改正されるべきであったのに出来なかったのだから、今日政治の場で憲法9条を盾に議論するのは1952年前の議論であって現実的でなく、また正しい政治とは言えない。

今日の世界の安全情勢を正確に分析して、国家と国民の生命と財産を守るために「必要最大限度」の防衛政策を構築するのが「政治の責任」である。

これが「日本の常識」である。

第991号(2015年6月22日号)

ギリシャ危機の真実

かつて本誌で「ギリシャは北朝鮮並の政治国家」だと述べた。

北朝鮮がアジアの小国であるようにギリシャも欧州の小国でそのGDP(国内総生産)は欧州連合の3%にも当たらず、例えギリシャが国債デフォルト(不履行)でユーロ圏から離脱しても世界経済に与える影響は小さい。

ところが連日ギリシャ問題は世界のトップニュースになっている。

今日まで5カ月間も債権者トロイカ(IMF、ECB、ユーロ同盟国)と再支援の合意が遅れている原因は、ギリシャがトロイカから要求されている年金改革 (削減)と財政削減等支援条件を拒否しているのと、直接、間接最もギリシャに支援し、トロイカで大きな発言力を持つドイツの金融大臣(Wolfgang Chaeuble)と何とかGrexit(ギリシャのユーロ圏脱退)を避けたい首相(Merkel)との間で意見対立があるからである。ギリシャのデフォ ルト(債務不履行)は、アメリカはもとより日本、中国等アジア経済に直接影響は少ないが、共同通貨ユーロの信頼が揺らぐばかりか第二のギリシャが後を絶た なくなる可能性が高いからユーロ圏としては、Grexitはどうしても避けたい。ギリシャはトロイカの弱みを突いて支援条件を受け入れず、さらに民間債権 者(金融機関)にヘアカット(債務減免)を要求している。

明日月曜(22日夕刻)のギリシャ・トロイカ間の最終段階前の18日チプラス首相(ギリシャ)はロシアを訪問、プーチン大統領と会談しロシアのギリシャ支 援を話し合ったが公式には否定(トロイカのギリシャ支援からの逃げを封じる為)、さらに2017年までに完成予定のロシアとカスピ海周辺国の天然ガスをト ルコ、ギリシャ経由で欧州へ運ぶパイプライン建設の合意書に署名した。

やがて欧州エネルギー供給源の首根っこを押さえようとする意図。チプラス首相もプーチン大統領もしきりに両国は同盟国であるべきだと強調、ギリシャがユー ロ圏メンバー(軍事的にはNATO)からロシア側に移ってもいいのかと圧力をかけた。時を同じくしてロシアは大量の戦車をロシア派の東ウクライナへ送り込 み、さらに2014年3月に併合したクリミアに核施設建設と大陸間弾道弾基地を移動、アメリカの原油精製施設が集中するメキシコ湾を標的にしていると公言 した。プーチン大統領はチプラス首相に「100万円借りた場合は借りた者の問題だが、100億円借りたら困るのは貸した方だ」と言い、「一切心配すること はない、困るのはトロイカ側だ」と述べ、まるで労働組合の委員長のように「要求貫徹!」とチプラス首相を励ました。これでギリシャの勝ち!

マスメディアに出る世界政治・経済の表面〈大衆誘導情報〉と裏〈真実の情報〉については今回の「儲かる為の小冊子(Vol.69)」をご参照下さい。

第992号(2015年6月26日号)

政治・経済の大局

川に浮かぶ笹船が滝つぼに落ちるか、その前に風を利用して岸辺に着くか、今や正に運命の分かれ目の時である。

水の流れと風向きを知る者はエリートと呼ばれ、好況と不況が繰り返される中で常に生き残り繁栄する。

今回の「小冊子」(Vol.69)で何故FRB(連邦準備理事会)はバブルを仕掛け、バブルを崩壊させる時期をエリート達に事前通達するのか、その事実と理由を解説した。

資本主義・市場経済を司るのは資本と経済成長である。

資本の流れはアメリカの3倍、日本の10倍の人間がアメリカや日本並みの生活を求めて日夜働きながら成長を続け、富の増大が進む中国へ向かう。

軍事覇権の必要性は資源確保の必要性に正比例するからアメリカから中国へ移る。

やがてドルの国際基軸は終わり人民元主流になるが、あれほどドルを死守してきたアメリカがドル潰しに専念する中国との二大国関係(G2)を求めるのは何故か。

欧州先進国は何故アメリカの意向を無視して中国主導のAIIB(アジア・インフラ投資銀行)へ殺到したのか。

「世界の政治・経済の流れと風向きを知れば怖いものなし」!

今回の「小冊子」(Vol.69)は滝つぼへ転落する前の必読書。

第993号(2015年6月29日号)

ギリシャとトロイカの猿芝居

私は6月16日の「ここ一番!」と本誌6月22日 号でIMFと欧州(債権者グループ)とギリシャとのギリシャ支援をめぐる堂々巡りはシバイであると述べた。ギリシャ政府は2014年末現在で約3,200 億ユーロの負債を抱え、その約6割はユーロ圏、1割はIMF、他は債券発行による負債で一部はECB保有、他は民間金融機関保有である。6月30日、 IMFへ1.6 billion euro(16億ユーロ)、7月20日ECBへ3.5 billion euro(35億ユーロ)、8月20日ECBへ32 billion euro(32億ユーロ)と次々と返済期日が来る。ギリシャと債権者グループ(IMF、ユーロ18カ国、EC委員会、ECB)の最終合意を目指す会議が6 月27日(土)に予定されていたが、チプラス首相(ギリシャ)はIMFと欧州グループの提示条件は屈辱的と言って債権者グループ案を全面拒否、最終会議を ボイコットし7月5日選挙で国民の信を問うと発表した。その為債権者グループは6月30日で期限切れの未実施支援額7.2 billion euro(72億ユーロ)につきチプラス首相の選挙後までの期限再延期願いを全会一致で葬った。IMFと欧州グループとギリシャの合意条件交渉中ギリシャ の民間銀行からの連日のように資金が流出し、銀行群は資金ショートを来したが、ECBは緊急流動性支援法(ELA)に基づき三回にわたり約5 billion euro(50億ユーロ)を支援してきた。今回のチプラス首相の合意交渉売り切り宣言で支援の望みが絶たれたので今後ECBはギリシャ国債を担保に使えな くなり銀行支援(ELA)は行われない。

したがって6月30日からギリシャのデフォルト(返済不履行)は確実。

既に「ここ一番!」(6月16日)で指摘した通り、もとよりギリシャもIMF、欧州グループもギリシャ支援合意などあり得ないと考えていて、チプラス首相の選挙宣言はサプライズ(驚き)などではなく予定のコースであった。

IMFと欧州側は合意に至らなかったのはギリシャの責任であるとして「ドロボーに追い銭」を避け、一方ギリシャは6カ月間もじらしながら6月末の期限まで いかなる理由でも相手から取れるだけ資金を引き出すことに専念してきた。チプラス首相は最終会合前にロシアを訪問して将来ロシアとカスピ海周辺の原油・天 然ガスをトルコ・ギリシャ経由で欧州へ送るパイプライン建設計画合意書に署名、将来ロシアと共にエネルギーで欧州に圧力を掛ける方針。

プーチン大統領は若き(40歳)チプラスに「100万ユーロを借りたら君の責任だが10兆ユーロ以上借りたのだから、涼しい顔をしていればいい」と元気付 けている。ギリシャは今後欧州グループにもIMFにもデフォルト(返済不履行)を続けるがユーロ圏離脱は絶対にせず加盟国としての特権をフルに活用する。 欧州憲法(リスボン条約踏襲)によりギリシャはEU離脱を強制されることはない。

ロシアは併合したクリミア半島でアメリカの石油精製基地が集結するメキシコ湾地帯を標的にした大陸間弾道弾ミサイル基地の建設を急いでいる。更にプーチン 大統領は数百台のタンクをウクライナ親ロシア派に送り込んで内戦をロシア側有利にしている。これに対して欧米は対露追加制裁を行おうとしているが欧州憲法 によりEU加盟国全員の賛成が必要である。ギリシャはチプラス首相とプーチン大統領との密約により対露制裁に反対するから欧米は身動き出来ず、ウクライナ や東欧におけるロシアの攻勢は一層強まる。

ギリシャ問題はかねてから私が指摘してきたように単なる財政危機問題だけではなかったのである。さらに言うなら、6月27日前までギリシャのデフォルトと ユーロ圏離脱はないと市場に思わせ株価が上がったところを上手に売り逃げた(売り掛けた)スマートマネーがあったことも忘れてはならない。

ギリシャのデフォルトで下がったところを買い戻すというわけ。

こうなると欧州グループは貧乏くじを引かされたようだが、とんでもない。

こうでもしないとアメリカを欧州戦場に引っ張り出すことが出来なかったということ。6月29日はワシントンDC、Capitol Hillsで防衛会議があるが、ロシアの攻勢にアメリカがどう出るかが決まる。

物事はすべて予定通りに、しかもスムーズに流れている。

第994号(2015年6月30日号)

ギリシャ対債権者グループの猿芝居はギリシャの勝ち!

6月27日のギリシャ支援の是非をめぐるギリシャ と債権者グループ(IMFと欧州債権者群)の最終会議は、チプラスギリシャ首相が、債権者グループの支援条件は「欧州の価値観に反する最後通告であり、ギ リシャ国民を侮辱しようとしている」と非難し、債権者グループからの財政緊縮条件は現政権としては受け入れられない、従って7月5日に選挙を行い国民に受 け入れるか否かの信を問うと発表したことで債権者グループが求める要求は一旦反故にされた。

失業率が25%に達し不況下にあるギリシャに対する債権者グループの支援条件は、現行63才の年金支給年齢を70才に、公務員数と給与の削減、主要産業である観光の消費税増額等々でまるで「死人の足を引っ張るような条件」である。

従ってギリシャ国民は7月5日の選挙で債権者グループの条件受け入れを拒否するのは確実である。

チプラス首相は6月30日が期日のIMFへの返済額16億ユーロの返済を拒否しているのでIMFが期日延期を認めない限りギリシャのデフォルト(返済不履行)は時間の問題になる。

市場が昨日パニック化したのはギリシャの債務不履行とEU(欧州連合)離脱を同列に置いていたからである。

ギリシャのEU離脱はギリシャが望む場合のみ可能で欧州債権者がギリシャの離脱を強制することは欧州憲法上出来ないことになっている。

本書で北朝鮮を例に出して「ギリシャは一流の政治国だ」と述べたが、債券者グループへの「義務」(債務)は履行しないがEU加盟国としての「権利」だけは履行させるのだから今回の猿芝居の勝者は北朝鮮並の一流の政治国ギリシャである。

ギリシャにこうでもしてもらって欧州債権国の金融資産激減(欧州株価暴落)に追い込んでもらわないとギリシャの言いなりの支援条件に対する議会(国民)支持は得られない。

ギリシャがもし債権者グループのお国の事情まで思い計っていたなら超一流政治国である。

***2015年6月末まで終了***