新型ミサイルで国防力を強化する中国

© Collage: The Voice of Russia

最近実施された中国の大陸間弾道ミサイルDF-31Bの実験は、こうした システムの発射・飛行実験としては2度目のものである。

さらに一連の打上げが迫っており、何よりもミサイルが兵器として採用される事は明白だ。ロシア戦 略・技術分析センターのスペシャリスト、ワスィーリイ・カーシン氏は「中国はロシアに続き、複数の弾頭を持つ移動式固体燃料大陸間弾道ミサイルを製造可能 な第二の国となるだろう」と指摘している。

DF-31は、1980年代半ばから開発されており、潜水艦発射弾道ミサイルJL-2(巨浪2号)と基本部分を共有している。製造しているのは南京の企業CASIC(南京晨光集团有限责任公司)だ。

2000年代の半ばに軍備に加わったDF-31の最初のタイプは、射程およそ8000キロで、米国本土の主要都市は攻撃できなかった。とはいえ、その開発 は重要な成功であった。これによって中国は初めて、移動式固定燃料弾道ミサイルを手にし、米国の側からの「相手の抵抗を不可能にする」攻撃に対し反撃する 術を持ったからだ。

2000年代末、中国は、DF-31Aミサイルの展開に着手した。すでにそれらの射程は1万キロ を超え、米国本土の巨大都市を攻撃できる能力を持っていた。とはいえ同時に、これらのミサイルは、その一連の性能においてまだ、人民解放軍第二砲兵部隊を 完全に満足させるものではなかった。

例えば、DF-31もまたDF-31Aも、機動性を保証するためトラクターに よって牽引される大型のセミトレーラーを利用している。その機動性は、そう大きくないし、しかるべき道路のないところには配置できない。なお、CASIC の傘下にある特別車両製造企業「ワンシャン」(万山特种车辆有限公司)は長年にわたり、ベラルーシの首都ミンスクにあるトラクター工場と密接な関係を維持 していることで知られている。

このミンスクのトラクター(車輪付きのもの)工場は、ロシアの大陸間弾道ミサイル用の自走式発射装置のシャーシーを製造する主要メーカーである。

また中国で、ロシアの「トーポリM」ミサイルの発射装置のベースとなったシャーシーの中国版の製造作業が行われていた事は周知の事実だ。さらに高い機動性を持った新型自走発射装置の利用は、中国の移動式大陸間弾道ミサイル発展の明らかな方向性の一つと言ってよい。

もう一つの方向性は、複数の弾頭を持ち、敵のMD(対ミサイル防衛)システムを克服できる能力を強化したミサイルを装備する事である。多くの観測筋は、 DF-31A用にも複数弾頭の装置が取り付けられるだろうと予想していたが、そうした場合、ミサイルは十分な射程を持てなくなってしまう。エネルギー的に 不十分なのだ。

おそらく中国は、複数弾頭ICBM「RS-24ヤルス」へと発達したロシアの移動式固体燃料弾道ミサ イルを改良してゆく道を進んでいると見られる。こうしたミサイルが展開されれば、移動式弾道ミサイルに取り付けられる弾頭の数は増えて行き、当然のことな がら、中国の総核戦力の拡大につながる。最後にまた繰り返すが、中国は、複数弾頭を持つ移動式液体燃料大陸間弾道ミサイルを製造する能力を持つ、世界で2 番目の国となるだろう。ロシアと中国を除いて、そうしたクラスの武器を所有している国は、他にはないし、近い将来もそうであり続けるだろう。

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