昌徳宮
韓国の首都ソウルに位置する五大王宮の一つ、昌徳宮(チャンドックン)は、1405年、李氏朝鮮第3代の王太宗によって、景福宮(キョンボックン)の離宮として造営された。ソウルでは16世紀末の壬申・丁酉の乱(文禄・慶長の役)で王宮の大半が焼失したが、17世紀初頭に昌徳宮がいち早く再建されると、正宮である景福宮に代わってここで政務が行われ、以降約270年間、国政の中心拠点となった。
東西500m、南北800mに及ぶ広大な敷地には、13棟の宮殿が建つほか、16世紀の焼失を免れた敦化門や、韓国最古の石橋である錦川橋、広大な回遊式庭園の秘苑(ビウォン)など、周辺の自然景観と調和した、極東の宮殿建築とその様式を現在までよく伝える遺産である。
◆仁政殿(インジョンジョン)
正殿の仁政殿の前では、石柱が示す位に従って、臣下が並んで儀式が行われていた。
内部は吹き抜けの高い天井になっており、中央には堂々とした玉座がある。歴代の王はここで外国の使節などと対面した。
玉座の背後には朝鮮時代の王の象徴である日月五峰図(イロルオボンド)が飾られている。これは陰陽五行説に基づいた絵で、右には王を表す太陽、左には皇后を表す月の光が描かれ、それらが2筋の瀑布が流れる5つ峰、一番前に植えられた松といった山野の風景を照らしている。
(韓国の1万ウォン札の世宗(セジョン)大王の後ろにも日月五峰図が配されている)
◆熙政堂(ヒジョンダン)
歴代の王の寝殿として建てられた、正殿の脇にある、華麗な装飾を施した建物。昌徳宮の最後の主であり、518年続く朝鮮王朝最後の王でもある、第27代のスンジョン(純宗、1874-1926)は、ここで晩年を過ごした。
◆秘苑(ビウォン)
歴代の王が散策した庭。造園技術の粋を集めた名園で、広大な敷地に池や小川が配され、東屋が点在する。
・小学館2009『小学館DVDマガジンNHK世界遺産100』No.22「アジアの王朝②クメール王朝盛衰の謎」小学館
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