ファウンティンズ修道院遺跡群を含む

スタッドリー王立公園

イングランド北部のノースヨークシャー州にあるスタッドリー王立公園は、18世紀に造成された風景式庭園である。この庭園には当時作られた運河、広大な池、カスケード、芝生、生垣、門、ギリシャ様式のヴィラ、彫像などがほとんどそのままの形で残され、ヨーロッパ大陸にも大きな影響を与えたイングリッシュ・ガーデンの様相を伝えている。しかし、とりわけこの庭園の景観を特徴付けているのが、1132年にベネディクト会の修道士たちによって建てられたファウンティンズ修道院の廃墟である。

ファウンティンズ修道院はのちにシトー派の修道院となり、イングランドでも指折りの富と権勢を誇った。しかし、イングランドではヘンリー8世による1530年代の修道院解散法により、国内すべての修道院は土地や財産を没収され、取り壊しや略奪が行われた。この施策は当時財力を蓄えていた修道院やカトリックの勢力を削ぎ、王室の財政を立て直すことが目的のひとつであった。修道院のなかには都市部にあったため修道院解散法を経ても大聖堂や教区教会として維持・利用され続けているものもあるが、ファウンティンズ修道院とその領地はこの解散法によって売却され、現在では廃墟として公園の一部となっている。しかし、修道院としてのかつての威容はその残された遺構からも十分に見てとることができる。

敷地内にはほかに、ファウンティンズ修道院の石材を一部に使用して1611年に建てられたファウンテンズ・ホールや、1871年に建てられたヴィクトリア朝ゴシック様式の聖メアリ教会などがある。

参考文献リスト

UNESCOのページ:

https://whc.unesco.org/en/list/372/