シャルトル大聖堂

フランスのゴシック建築の中でもっとも美しいとされるシャルトル大聖堂は、パリから南西へ80キロ離れた都市シャルトルに位置している。建造開始は1145年であるが、1194年の火災によって大部分が焼失。その後、1194年から1220年のわずか26年間で再建されている。シャルトル大聖堂は中世の作であるにもかかわらず、保存状態が非常によく、多くの巡礼者や観光客を惹きつけている。

聖母マリアに捧げられたシャルトル大聖堂の中にはサンクタ・カミシア(Sancta Camisia)が所蔵されている。これはイエスが生まれたときに聖母マリアが着ていたとされる衣服で、カール大帝が大聖堂に贈ったものであると伝えられている。また聖堂内、西正面には、「シャルトル・ブルー」とその輝きを称えられる三連窓のステンドグラスが配されている。

また、シャルトル大聖堂が位置する場所は、聖堂が建築される以前から巡礼の対象となっていた。それは聖堂の地下にあたる部分に「サン・フォールの井戸」と呼ばれる井戸があり、その中に殉教者の遺体があると信じられていたためである。

もう一点、シャルトル大聖堂で有名なのが床に彫られた迷宮である。十字軍の時代にはエルサレムへ行けなかった巡礼者がこの迷宮をたどることで巡礼を追体験していたとされるが、中世以降はそうした用いられ方はされなくなった。1980年代には、シャルトル大聖堂の迷宮にヒントを得て開発されたスピリチュアル・セラピーが米国で流行し、現在ではこの迷宮が「スピリチュアル」に興味をもつ人々の間で良く知られるようになっている。カトリック信徒のみならず、こうしたさまざまな背景をもつ人々が、歴史あるこの教会を「聖地」とみなし訪れている点は興味深い。

参考文献リスト

シャルトルの迷宮をたどる人たち

シャルトルの迷宮をたどる人たち

シャルトル大聖堂