古都京都の文化財*
京都は794年に平安京が建てられて以来、1000年以上にわたって都であった。長きにわたり日本文化の中心となったこの都市では、宗教建築と日本庭園が発達した。平安、鎌倉、室町、桃山、江戸の各時代に建立されてきた建造物、庭園からは、その発展の過程をたどることが出来る。そして、これらの遺産を生み出した技術が、伝統的行事とともに現在でも生活に深く関わっている。
文化財としては以下の17件が登録されている。
賀茂別雷神社(上賀茂神社)
賀茂別雷大神を祭神とする。7世紀末の創建。下鴨神社とともに葵祭を例祭とする。
賀茂御祖神社(下鴨神社)
上賀茂の別雷神の親神である建角身命と玉依媛命を祭神とする。
宇治上神社
内殿は現存する日本最古の神社建築(平安時代の作)である。
823年嵯峨天皇によって空海に下賜され、真言密教の道場となった。五重塔で知られる。
清水寺【北法相宗総本山】
坂上田村麻呂の建立(798年)とされる。「清水の舞台」として知られる懸造りの本堂に十一面千手観音を本尊として祀る。中世以来、西国三十三所巡礼の札所としても栄える。
延暦寺【天台宗総本山】
788年最澄によって開創された。9世紀中頃には仏教界最大の勢力を誇った。山法師と呼ばれた延暦寺の僧兵(武装した兵)は、思い通りにならないものとして、白河天皇に「賀茂河の水、双六の賽、山法師、是ぞわが心にかなわぬもの」と嘆かせたほどの力を持っていたという。
醍醐寺【真言宗醍醐派総本山】
847年の創建。室町時代から当山派修験道の拠点となった。豊臣秀吉が晩年にここで花見の宴を催したことで有名である(「醍醐の花見」)。
仁和寺【真言宗御室派大本山】
宇多天皇が888年に完成させる。天皇や皇族に庇護され、創建から鎌倉初期にかけて特に栄えた。
平等院【天台浄土系の単立寺院】
藤原頼道によって1052年に建立される。極楽浄土を具現する寺として造営され、鳳凰堂(阿弥陀堂)は現世の浄土と称された。
高山寺【真言宗御室派別格本山】
かつては荒廃した寺院であったが、1206年明恵によって再興される。『鳥獣戯画』を有する。
西芳寺(苔寺)【臨済宗】
奈良時代に行基が畿内に建立した49院の一つ。夢窓疎石作の庭園で知られる。庭一面を覆う苔から、「苔寺」とも呼ばれる。この庭を手本として金閣寺、銀閣寺の庭園が造られた。
天龍寺【臨済宗天龍寺派大本山】
1339年、足利尊氏が建立に着手。室町前期が全盛期で、現寺地の10倍以上の広さがあった。
鹿苑寺(金閣寺)【臨済宗相国寺派】
足利義満が造営した北山殿が、義満の死後、舎利殿(金閣)を中心として禅寺に改められ鹿苑寺となった。金閣は金箔の貼られた3層の楼閣建築となっている。
慈照寺(銀閣寺)【臨済宗相国寺派】
足利義政を弔うために、義政の東山殿を禅寺に改めたもの。東山文化を象徴するこの寺院は、北山文化の代表である金閣寺と対で扱われる。
龍安寺【臨済宗妙心寺派】
1450年の開創。枯山水の庭園は世界的にも著名なものである。
本願寺(西本願寺)【浄土真宗本願寺派本山】
1272年に建てられた親鸞廟を起源とする。2011年には親鸞聖人750回大遠忌法要が行われた。