ラサのポタラ宮の歴史遺跡

チベットの中心地ラサの北西にはポタラ山があり、そこにチベット仏教の寺院・宮殿であるポタラ宮が建てられている。ポタラとは観音菩薩が住むとされる山、補陀洛を意味しており、浄土であると考えられてきた。この地はチベット仏教の聖地であり、またチベットの政治・文化の中心でもある。

チベット仏教は、思想や修行実践等の面でインド仏教の流れを受け継ぎ、それらを保持しているとされる。また、輪廻思想に基づく転生活仏信仰も盛んであり、その代表が観音菩薩の化身とされるダライ・ラマである。現在のダライ・ラマは第14代目となる。ダライ・ラマはチベットにおける宗教的・政治的最高指導者であり、ポタラ宮殿を建造したダライ・ラマ5世の時代にその地位が確立された。それ以来、ダライ・ラマの住むポタラ宮殿はチベットにおける宗教と政治の中心地として機能してきた。

しかし、1959年、中国による支配からのがれるためにダライ・ラマ14世はポタラ宮を離れて、インドへ亡命する。その後、彼を中心にインドのダラムシャーラーに亡命政府が組織された。ダライ・ラマ14世は現在でもチベットの人々の精神的支柱である。またそれと同時に、その発言や行動は今や世界中の注目の的となっている。彼の活動によりチベット仏教に高い関心を寄せる人々が欧米各国で増えており、その影響力は大きい。一方、ポタラ宮は、ダライ・ラマの亡命後中国政府に接収され、現在は博物館として一部公開されている。

参考文献リスト

UNESCOのページ

http://whc.unesco.org/en/list/707/gallery/

CERC「映画と宗教文化」のページ