バチカン市国

世界最小の国として、またカトリックの中心地として知られるバチカン市国は、ローマの北西部に位置している。人口は800人程度であるが年間を通して多くの巡礼者、観光客でにぎわっている。カトリック教会にとって最も重要な聖地であり、その最高位にあるローマ教皇がバチカン市国の国家元首となっている。

4世紀以降、バチカンはキリスト教の中心地としてみなされるようになったが、バチカンに存在している古代ローマ文明やルネサンス芸術の遺産は、カトリック信徒のみならず多くの人々をこの土地に惹きつける理由となっている。

バチカンの中心は、16世紀から17世紀にかけて再建築されたサン・ピエトロ大聖堂である。サン・ピエトロとは「聖ペトロ」の意であり、その名はこの教会がイエスの使徒ペトロの墓地の上に建っていることに由来している。新約聖書外典「ペトロ行伝」には、使徒ペテロが迫害にあい、逆さまに十字架に貼り付けられ殉教したと記されている。ローマ教皇はこの使徒ペトロの後継者であるとされる。4世紀には、この地に聖ペトロに捧げられた最初の聖堂が建てられたという。その他にも、サン・ピエトロ大聖堂の地下にはローマ皇帝カリグラとネロの競技場の遺跡や多くの殉教者が埋葬されている地下墓地などもある。

現在のサン・ピエトロ大聖堂は床面積2万3千平方メートルの世界最大級の教会堂建築である。サン・ピエトロ広場を囲む楕円形のコロネードが最後に作られ、1667年に完成した。設計をしたベルニーニは、「全世界のキリスト教徒を包み込むカトリック教会」をイメージしたという。

イタリアルネサンス期の著名な芸術家、ミケランジェロも大聖堂の設計に携わっており、彼の代表作「ピエタ」(十字架から降ろされたイエスを抱きかかえ、嘆き悲しむ聖母マリアの像)もここでみることができる。

参考文献リスト

UNESCOのページ

http://whc.unesco.org/en/list/286/gallery/

CERC「映画と宗教文化」のページ

バチカン市国

バチカン市国

サン・ピエトロ大聖堂の内部(1)

サン・ピエトロ大聖堂の内部(2)

サン・ピエトロ大聖堂の内部(3)

サン・ピエトロのピエタ(十字架から降ろされたイエスを抱えている聖母マリアの像)

サン・ピエトロ(聖ペテロ像)