北海道・北東北の縄文遺跡群

「北海道・北東北の縄文遺跡群」は、北海道、青森県、岩手県、秋田県の1道3県にまたがる17の縄文時代遺跡群から構成される。

縄文時代とは今からおよそ1万5千年前から2千4百年前までの期間を指す日本独自の時代区分であり、この時期にはそれまでの旧石器時代における遊動生活から、ムラを形成する定住生活への移行が進んだと考えられている。「北海道・北東北の縄文時代遺跡群」を構成する17の遺跡はそれぞれ3つのステージ(定住の開始、定住の発展、定住の成熟)に位置付けられ、定住生活やその形態の変遷を辿ることができるようになっている。

遺跡には土器や石器などの遺物、また集落や墓地、祭祀・儀礼の場である環状列石(ストーンサークル)などの遺構が数多く残され、当時の生活実態や人々の複雑な精神性を今に伝えている。

【北海道】

北海道には垣ノ島遺跡(函館市)、北黄金貝塚(伊達市)、大船遺跡(函館市)、入江貝塚(洞爺湖町)、キウス周堤墓群(千歳市)、高砂貝塚(洞爺湖町)の6つの集落の遺跡が登録されている。垣ノ島遺跡では子供の足あとがつけられた土版が副葬品として出土しており、この地域特有の精神文化を示しているとされる。

【青森県】

青森県には大平山元遺跡(外ヶ浜町)、田小屋野貝塚(つがる市)、二ツ森貝塚(七戸町)、三内丸山遺跡(青森市)、小牧野遺跡(青森市)、大森勝山遺跡(弘前市)、亀ヶ岡石器時代遺跡(つがる市)、是川遺跡(八戸市)の8つの遺跡が存在している。竪穴建物、土坑墓、貯蔵穴、道路、土偶を伴う盛り土などのほか、膨大な土器や石器、動物の骨、遠隔地との交易品などが多数出土している大規模な拠点集落の三内丸山遺跡や、国の重要文化財に指定されている「遮光器土偶」が出土した亀ヶ岡石器時代遺跡がよく知られている。

【岩手県】

岩手県には焼かれた動物の骨や、栗・胡桃などの堅果類、土偶、土製品、石製品などの出土から、火を使用した祭祀が行われていたことを示す御所野遺跡(一戸町)がある。

【秋田県】

秋田県には伊勢堂岱遺跡(北秋田市)と大湯環状列石(鹿角市)の2カ所の遺跡が登録されている。特に大規模な2つの環状列石を伴う遺跡である大湯環状列石では、2つの環状列石の中心と中心を結ぶ線が夏至の日没の方向と一致しており、当時の人々が太陽の動きを意識していたことが窺えるという。


参考文献

「世界遺産 北海道・北東北の縄文遺跡群」公式ホームページ(https://jomon-japan.jp/)