古都奈良の文化財
710年から784年にかけて奈良には都が置かれ、唐の都長安に倣って平城京が造営された。南北4.8㎞、東西4.3㎞の範囲に碁盤目状に道がひかれ、その中に宮殿、寺院、神社、その他の公的建物が配置された。
遺産には国宝25棟、重要文化財53棟、計78棟の建造物群が含まれ、その範囲は遺産本体の面積が616.9ha.、緩衝地帯などを含めた合計は3118.4ha.にも及ぶ。
遺産を構成する建造物は、8世紀に中国大陸や朝鮮半島から日本に伝わり、定着したのちに独自の発展を遂げた仏教建築群で、その後の仏教建築の規範として影響力を保ち続けている点、また、神道や仏教といった日本の宗教空間の特質を表している点が高く評価された。奈良時代の木造建築技術とその希少性も評価されている。
東大寺【華厳宗大本山】
聖武天皇の発願によって8世紀に建立された官寺。奈良の大仏として知られているのは聖武天皇が造立した本尊、盧舎那仏である。
興福寺【法相宗大本山】
710年平城遷都の直後に藤原不比等が建立。以後藤原氏の氏寺として機能し、一門の崇信をあつめる。五重塔や阿修羅像がよく知られている。
元興寺【真言律宗】
日本最古の仏教寺院である飛鳥寺が平城遷都にともない移築されたものである。
薬師寺【法相宗大本山】
天武天皇の発願により建立し、平城遷都にともない飛鳥の藤原京から移築された。東塔は唯一創建当時から残っているものである。
唐招提寺【律宗総本山】
759年の鑑真によって戒律を学ぶための寺として創建される。金堂、講堂、宝蔵、経蔵はいずれも奈良時代に建設されたものである。
春日大社
710年に藤原不比等が氏神である鹿島の武甕槌命(タケミカヅチノミコト)を春日の御蓋山(みかさやま)に遷したことが興りとされる。
春日山原生林
春日大社の神体山。ただし、春日山に対する信仰は春日大社と結び付く以前から存在していた。
平城宮跡
平安遷都1300周年(2010年)を記念した大規模な復元事業が実施され、整備が行われた。