スイスの北東にあるベネディクト会の修道院。現在の建物は19世紀に改築されたものだが、元の修道院は8世紀に建てられ、19世紀初頭に至るまでヨーロッパの文化の中心地であった。ザンクト・ガレンの修道院において見所となっているのは以下の二点である。
まずは、当修道院に9世紀に贈られた「ザンクト・ガレンの修道院計画図」である。この建築計画図は羊皮紙で描かれた図としては最古のもの。当時、理想のベネディクト会修道院を完成させるために描かれたこの図版には341にもわたる註が含まれており、修道院に図書館と写字室を付属させるという発想も、この時初めて提案された。そして、この理想の建築様式にもっとも近いものとしてザンクト・ガレンの修道院は建設された。
二つ目は、世界最大の中世期文献の蔵書を誇るザンクト・ガレンの修道院の図書館である。2,100ある写本の内、400程度は紀元1,000年以前に書かれたものである。2009年から始まったデジタル化のプロジェクトの成果によって、436の写本がザンクト・ガレンのバーチャル図書館(http://www.cesg.unifr.ch/en/index.htm)経由でアクセスできる。ページを彩る飾り文字は目にも美しく、当時のキリスト教文化の一端を感じることが出来る。