イェリング墳墓、ルーン石碑と教会

イェリングはデンマークのユトランド半島中部、ヴァイレの西に位置する小さな町である。この地には、歴史的にきわめて重要なルーン石碑とイェリング教会、および墳墓が存在している。ルーン石碑はヴァイキングの名で知られているデーン人が用いていたルーン文字を刻んだ石で、主に王や有力者の事績などが記されている。

同地には2つの石碑が建てられているが、大きな「ハーラルの石碑」にはハーラル青歯王がデンマークとノルウェーを獲得し、デーン人をキリスト教に改宗したと記されている。これは、デンマーク人がキリスト教に改宗した最古の記録である。より古く小さな「ゴームの石碑」はゴーム王がその妃を記念して建てたものだが、そこで「デンマーク」という言葉が初めて言及されており、「デンマークの建国記念碑」と呼ばれている。

イェリング教会はデンマークに典型的な壁面の白いシンプルな教会で、12世紀に建てられた。ゴーム王とハーラル王の時代にも、木製の教会が建っていたことが明らかとなっている。内部はプロテスタント改宗以前の面影を残し、多数の装飾が行われている。

教会とルーン石碑を挟むように2つの塚が築かれており、かつての墳墓だと考えられている。墳墓のある区画を上空から見ると船の形をしており、死者を死後の世界に運ぶ役割を象徴するものだとされている。デンマークの教会の内部には教会船(Kirkeskib)がしばしば飾られていることからもわかるように、船はデンマーク人にとって身近なだけではなく、来世への安らかな船出を担うものでもある。

教会の近くには博物館Kongernes Jellingがあり、同地の歴史やヴァイキングの文化について学ぶことができる。


参考文献

ハーラルの石碑

ゴームの石碑

イェリング教会

博物館、ルーン石碑のレプリカ