アルビはフランス南西部、タルヌ県の県庁所在地である。城壁のある司教館・ベルビー宮殿や南仏ゴシック様式のサント・セシル大聖堂を含む都市の景観が世界遺産として登録されている。これらの建物は、アルビジョワによって生じた大混乱ののちに建てられたものである。
アルビは、キリスト教の異端・カタリ派の存在と、それを討伐するために組織されたアルビジョワ十字軍によって歴史に名を刻むこととなった。カタリ派は、中世ヨーロッパにおいて一時有力になったキリスト教の一派である。その中で12世紀ごろから南フランスのアルビやトゥールーズを中心に展開したものが、アルビの地名をとってアルビ派(アルビジョワ派)と呼ばれる。カタリ派は善神と悪神の対立を想定し、霊界は善神に現実世界は悪神に属するものとした。旧約聖書の神を悪神とするなど、ローマ教会との差は大きく、1208年、この異端を討伐するために十字軍が組織された。1244年にアルビ派最後の拠点モンセギュールが陥落するまで、長きにわたって十字軍による戦乱がつづき、虐殺や異端審問による火刑が行われた。
結果としてアルビ派は衰退し、フランス王権(カペー朝)は南部にまで進出することになった。異端の地であったアルビは、戦乱の後にローマ・カトリックの司教都市として栄えることとなった。この地に現存するレンガ造りの荘厳な建築群はその繁栄を物語っている。
一方で、アルビ派はその後14世紀の著名な異端審問官ベルナール・ギーらの活躍によって消滅することとなる。
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CERC「映画と宗教文化」のページ