バミューダ島の古都セント・ジョージと

関連要塞群

北大西洋に浮かぶバミューダ諸島、その北端のセント・ジョージズ島にあるセント・ジョージの町と、バミューダ諸島各地の要塞群は、イギリスが海外で植民地を形成した最も初期の例を残す世界遺産である。構成資産としては、歴史的な都市であるセント・ジョージの町と、23の関連する要塞や砦、砲台などをあわせ、合計で24箇所が登録されている。

バミューダ諸島の名前は、1503年にスペイン人探検家ジョン・バーミューダがこの無人島に上陸したことにちなむ。しかしそれからおよそ1世紀後の1609年、北米のヴァージニアへ向かう途中で嵐に遭難したイギリス人たちが漂着したことをきっかけとして、バミューダ諸島はイギリスの植民地として発展していくことになる。1612年にはバミューダ諸島最東端のセント・ジョージズ島に、イギリスが新世界に建設した初めての植民都市として首都セント・ジョージの町が作られた。その後、首都は1815年にバミューダ島のハミルトンに移されるものの、数々の歴史的建造物や当時の景観を残したセント・ジョージの町は、その歴史的な価値が高く評価されている。

例えば歴史的な建造物の一つとして、新世界の英国国教会としては最古の聖ピーターズ教会が挙げられる。これは17世紀初めにバミューダ杉を使った茅葺き屋根の簡易的な教会として建てられたが、のちにハリケーンにより損壊し、1713年に石灰岩を使用した石造の教会として建て直された。本国イギリスからセント・ジョージに移住したピューリタンたちの当時の信仰の姿を伝える教会である。

またバミューダ諸島は、植民地防衛のため入植が始まった17世紀の初期にはすでに要塞化が進められており、諸島の各地に多くの要塞や砦、砲台が建設された。これらの要塞群は新型大砲の発明など軍事工学の発展に伴い改築が繰り返されており、イギリス軍の技術発展を跡付ける建物として貴重である。


参考文献

St. Peter's Church 最終アクセス2022年10月5日