スクーグシュルコゴーデン

スウェーデンの首都ストックホルム郊外にある「スクーグシュルコゴーデン(森の墓地)」は、ストックホルム市が1912年に行った霊園設計の国際コンペで採用された2人の若い建築家、アスプルンドとレヴェレンツにより設計された。

墓地は1917~1920年にかけて造営されたが、その最大の特徴は古代・中世の北欧の死生観や埋葬の習俗をみごとに表現した景観にある。北欧には「人は死んだら森に還る」という考え方があり、スクーグシュルコゴーデンの墓石は実際に森の中に配置されている。墓石は背が低く、森の景観に溶け込んで点在しており、その間を縫うように細い道が伸びている。1920年に完成した最初の礼拝堂である「森の礼拝堂」(アスプルンド作)は35人収容の小ぢんまりとしたものである。

霊園にはその後1923~40年にかけて、さまざまな礼拝堂や管理部門の建物が建設されていった。この時期の建物は、当初のものとは異なり、やや大型で芸術的な要素が強い。入口付近の花崗岩の十字架は宗教的シンボルとしてではなく、死と復活の暗喩として設置されたと言われる。十字架の脇には楡の木が植えられた小高い丘があり、「瞑想の丘」と名付けられている。この丘と十字架の間に伸びる石畳を888m奥に進んだところに、新古典様式の礼拝堂「復活の礼拝堂」(レヴェレンツ作)がある。

1940年には、「森の火葬場」と称されるスウェーデンで初めての火葬場が建設された。