オークニー諸島の

新石器時代遺跡中心地

スコットランド・オークニー諸島に残る4種の新石器時代の遺跡(メイズハウ、ストーンズ・オブ・ステネス、リング・オブ・ブロッガー、スカラ・ブレイ)から構成される世界遺産。オークニー諸島はイギリス諸島の北東沖合、スコットランドの行政領域に属する諸島郡で、行政府のあるメインランド島を含めたおよそ70の島々からなる。以下4つの世界遺産登録遺跡はいずれもこのメインランド島に存在する。保存状態の良さが評価されており、残された住居や墓地、神域等の遺跡からは当時の人々の生活と宗教文化を垣間見ることができる。

メイズハウ

新石器時代に作られたオークニー諸島最大の古墳であり、芝に覆われた小高い丘のような形状をしている。ストーンズ・オブ・ステネスやリング・オブ・ブロッガーと同様、周囲を堀と土手で囲まれている。内部中央には開けた石室と、中央石室壁面の三方に作られた小さな石室がある。入り口から中央石室へ続く狭い通路は、冬至の日の夕陽が真っすぐ入り口から入って中央石室の壁面を照らし出すように設計されており、死と再生を象徴しているのではないかと言われている。

ストーンズ・オブ・ステネス

最大で高さ6メートルにも達する巨大な石柱によって構成される直径44メートルのストーン・サークル。少なくとも紀元前3100年に建てられたとされ、この種の遺跡としてはイギリス諸島で最も古い遺跡とされている。周囲を堀に囲まれているが、北方の集落に向かって開口部が設けられている。中央にはスカラ・ブレイの住居にもみられるような石造りの炉が残されている。ストーン・サークルのうち今日では4つが残っているが、もともとは12本あったと考えられている。何らかの儀式の場であったと言われている。

リング・オブ・ブロッガー

現存する27の巨石からなる直径104メートルのサークルで、もともとは60もの巨石があったとされている。ストーンズ・オブ・ステネスよりも現存する石の高さは比較的小さい(2.1~4.7メートルほど)。石を切り出して作られた堀に囲まれているが、その南東と北西にそれぞれと開口部と通路が設けられている。2000年代初頭、リング・オブ・ブロッガー南東の島峡部、ネス・オブ・ブロッガーと呼ばれる場所に大規模な新石器時代の遺跡が発見され話題を呼んだ。

スカラ・ブレイ

メインランド島西岸に残された新石器時代の集落跡。1850年に起こった大嵐によって初めて発見され、1920年代~30年代にかけ発掘が進み、現在では8つの石造りの住居跡が見つかっている。4000年以上も砂に埋まっていたために保存状態が極めて良い。オークニー諸島では木材の入手が困難だったため、食器棚やドレッサー、ベッドなど様々な石製の家具が使われていたことがわかっている。また、オークニー諸島の冬は長く厳しいことから、それぞれの住居には中央に四角い石造りの炉が設けられている。


参考文献リスト