デルフィの古代遺跡

ギリシャ中部、パルナソス山の南麓にあるデルフィは、古代ギリシャにおいてアポロン(オリンポス山に住むとされた12の神々のうちの一柱)を祀る聖地とされていた。この地が最も栄えたのは、ポリス(都市国家)の最盛期であった紀元前8世紀から後3世紀である。

当時、デルフィのアポロン神殿で行われていた神託はギリシャはもとより、古代エジプトを含むオリエント諸国でも有名であった。神託はピュティアと呼ばれていた巫女を介して行われていた。巫女は、地底から浮かび上がる霊気を吸うことによってトランス状態に入り、神の言葉を伝えていたと言われる。巫女の発するメッセージは常に多義的であり、神官たちによって翻訳されて人々に伝えられていたという。神殿やその周辺の遺跡は、当時の政治や芸術、また哲学にも多大な影響を及ぼしたデルフィの神託の舞台であった。

世界遺産に登録されているデルフィの考古遺跡には、神託が行われていたアポロン神殿(前4世紀)、古代劇場、ピュティア競技場(オリンピア競技大会と並んでギリシャで最も重要とされていたピティア競技大会が開催されていた場所)等が含まれている。

参考文献リスト