ゴール旧市街とその要塞群

ゴール旧市街は、スリランカの西海岸、コロンボの南115㎞にあり、14世紀にアラビア商人の貿易都市として栄えた港町。

16世紀には欧州列強の植民地となり、オランダが築いた城塞都市は後のイギリスによる支配の拠点となった。南アジア・東南アジアでヨーロッパ人によって建設された要塞都市の代表例であるとともに、現在でもムーン要塞や教会、スリランカ最古の様式ホテルなどが残り、ヨーロッパの建築様式と南アジアの伝統との相互作用、文化交流を示している。

◆ゴール旧市街と要塞の歴史

14世紀よりアラビア商人たちの東方貿易地として栄えたゴールにおいて、初の砦が築かれたのは1589年、ポルトガル人の手によってである。これがゴールにおける外国支配のきっかけとなり、1640年にはオランダが砦を拡張、その中に街を築き、これが現在のゴール旧市街の原型となった。18世紀にその発展のピークを迎えたゴールは、イギリス植民地時代にも支配の拠点として重要な位置を占め、堅固な砦をもつ城塞都市として完成されてきた。そのためゴールの景観はそのままスリランカにおける被支配の歴史を反映したものだといえる。

◆建造物群

旧市街はインド洋に突き出た小さな半島(フォートエリア)になっている。大航海時代には、ポルトガルやオランダから多くのヨーロッパ人が訪れ、彼らによって城塞都市が築かれていった。そのため現在でも、東インド会社のマーク(VOC)のついた建物(オールド・ゲート)や、オール・セインツ教会、オランダ教会、メーラ・モスク、ヨーロッパ調のホテルアマンガッラ(前進は植民地時代に開業したアジア最古のホテル)などが残り、ヨーロッパの人々の文化や宗教と入り混じる交易の様子をうかがうことができる。スリランカのほかの町と比べて、仏教的空間が少なく、教会やモスクが目に付くのが、ゴールの景観の特徴である。

参考文献

・「地球の歩き方」編集室編(2019)『地球の歩き方D30 スリランカ2020~2021版』ダイヤモンド・ビッグ社