仏陀の生涯は、誕生の地・ルンビニ、悟りの地・ブッタガヤ、仏教成立(最初の説法)の地・サールナート、入滅の地・クシーナガラという、4つの土地と特に深くかかわりをもっているとされる。これらの地は、四大聖地として仏教徒の巡礼の対象となっており、そのうちのひとつであるルンビニは、1997年に世界遺産登録されたインドとの国境付近にあるネパール南部の村である。
前6世紀ごろ、シャカ族の王妃マーヤーは、6本の牙をもつ白い像が胎内に入り込む夢を見る。10ヶ月後、故郷へ向かう途中のルンビニの園で、無憂樹に右腕を伸ばして枝をつかんだ際に、右脇から生まれたのが釈尊、後の仏陀であったといわれる。
現在、仏陀誕生の地は史跡として整備されており、アショーカ王(在位前268頃~232頃)が建てた石柱や、仏陀が生まれた正確な場所を示す石、マーヤーが出産前に沐浴したとされるプスカルニという池などを見ることが出来る。また、ルンビニの寺院地区には、多くの国々の仏教組織が僧院、寺院、堂塔を建立しており、現代仏教の多様性をうかがうことができるだろう。